表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄に至る病  作者: 緊那羅
1/1

プロローグ1

臨終病(正確な学名はまた別であったはずだが長いので忘れた)が広がってからしばらくたち、初めの方は気にする余裕がなく、そのままなあなあにしていたが、この病がどこからどのように広まったのかふと気になったので自慢の弟に聞いてみた。


弟は「今更聞くのか…」みたいな雰囲気をプンプンさせながらも教えてくれた(ただ、俺としてはそこまで詳しく聞くつもりが無かったので、話長いなと思いながら聞いていた。その話し始めるとなかなか終わらないところは直した方がいいと思うぞ弟よ)。


弟は国が公的に臨終病を発表する前からこの病について知っていたらしい。

話は次のようなものであった。




初めにこの病が世間に知られたのはあるネット上での書き込みからだったはずだ。

この投稿は書き方が真に迫っていて、割と印象に残ってて覚えている。


書き込みとしては、


私は今日、自身を死体であると言う血だらけの女性に話しかけられた。この女性に詳しく話を聞くと、「私は先ほど誰かに刺されて死んだはずである。地面に倒れてゆっくりと体が冷たくなり、意識を失ったのを覚えている。だというのに、こうやって私は話して動けている。この死体として動ける時間は後わずかだとなぜかわかるので、だれでもいいから看取ってほしくて声をかけた」と言った。

私は自称死体の女性を見ながら、こいつ何を言っているんだと思いつつ救急車を急いで呼んだ。女性の止血をしようとしたが、傷口は固まった血のせいで服が張り付き見ることが出来なかった。その際体に触れると、ぞっとするほど冷たく、それこそこんなに姿勢よく立っていられるのが不思議なくらいであった。そうこうしているうちに病院が近く、すぐに救急車が到着したが、車が到着したと同時ぐらいに、糸が切れたかのように急に女性が崩れ落ち、そのまま一切動かなくなった。女性は本当に私と会った時には死んでいたのかもしれない。


細部は微妙に違うかもしれないがこんな内容だったと思う。


ネットで「動く死体の話」として広まったこの投稿は、当初これを見た人間のほとんどの中では与太話として伝わった。さすがにこんな子供騙しの投稿では誰も引っ掛かりはしないのだ。投稿者の臨場感のある文章が少し評価されはしたが、それだけだった。それだけで終わるはずであった。同じような話がそこかしこで見られるようになるまでは。


しばらくして、国が緊急の記者会見を行うことになり、その様子がニュースで発信されることになった。

この記者会見は兄貴も見ただろう。

え、見てないのか?……。

ま、まあ、あの時期はちょうど母と父が死んで俺たちも大変だったし仕方ないか。

とはいえ、もう少し世の中の情勢について興味を持った方がいいと思うぞ。

この前も ーーー



ここから先の話は説教になったので話の内容は覚えていない。

また、適当に時間を見つけて続きを聞こうと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ