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第十五話 ユズと、お出口はあちらです

視点が不安定ですが、許してくだされ。

 

 アマハのレベルは、生産時から変わらず40。俺の攻撃を止めるくらいだし腕力はそこそこだが、俺やガオウの膂力をもってすれば、強引に振り払うことくらいはできる。

 しかし、それは為されない。虚をついた戦況の硬直は、熱暴走しかかっていた脳を一気にクールダウンさせていた。


 ある程度状況を把握した俺に対して、ガオウはまだ混乱しているらしい。突如どこからともなく現れた全身鎧が闘争を止めたのだから無理もないが。

 だが、俺からしたら混乱している今がチャンスだ。一気に場を支配できるかもしれない。


「なあガオウ」

「あ、んだよ」

「勝負は一旦、預けておかねえか?」

「は?」


 完全に想定外だったのだろう、ガオウが気の抜けた声を出す。


 最後は特に、俺もハイになり過ぎていたらしい。アマハに止められていなければ、本当に最期まで勝負を決めかねなかった。

 そもそもラゼには、できるだけ殺さないようにってお願いされているのだ。話し合いで平和的に解散できるなら、それに越したことはない。


 だが、ガオウには腹に据えかねる提案だったようだ。アマハの腕を振り切り、叫ぶ。


「ざっけんな! それで勝ち逃げしようったってそうはいかねえ!」

「いやいや、その論争したくないから()()()()って言ってるんじゃんか」

「ともかく、やるなら最後までだ。何だか分かんねえが、そこの鎧もテメエの仲間だってんなら容赦はしねえ。二人まとめてかかってこいや」

「ねえ、ひょっとしてコイツ馬鹿では?」

「戦闘以外はからっきしなタイプのようですね」


 傍らのアマハと小声で会話する。


 ともかく、勝利への渇望のせいで敵を増やそうとしているガオウを、どうにかして説得して、撤退の方向へと仕向けなければならない。言葉選び次第で地雷を踏めば、本当にどちらかが死ぬまでの戦いにもつれ込む。


「そもそも、いいのかよ。こんな状態で勝負を決めちまって」

「こんな状態、だぁ?」

「お互いに感情に(しがらみ)がある状態で、勝ち負けを決めて納得できるのか、って話」

「……シラガミって何だよ」

「テンポよく話が進まねえ!」


 語彙力のなさに頭を抱える俺の代わりに、アマハが言葉の意味を教えている。


 一応素直にアマハの話を聞いていたガオウは意味を理解したのか、ゆっくりと脳で咀嚼して、


「んなもんソイツの勝手な言い訳に過ぎねえだろうが! 闘争で余計な事を考えた奴なんざ、負けて当然だ」

「微妙に論点ズレてる割に微妙に正論なの、マジで何?」


 話を余計にややこしくさせた。

 ガオウは戦闘面以外での察する能力が以上に低いらしいということは分かった。もう結論からはっきり言ってしまった方が早いらしい。


「魔王ヴィランは部下に、()()()()()()()()()()命じている」

「――――な」

「それで、合っているな?」


 すぐに返答はなかったが、その驚きの表情がすべてを物語っている。


 ――――魔王ヴィラン、およびその部下であるガオウは、俺たちを殺さないようにしている。ソウさんからそんな情報は聞かされていなかったが、俺はこの予想は正しいと踏んでいる。


 その予想の始まりは、襲撃の直後。具体的には魔王ヴィランの妨害で対峙した瞬間だ。

 俺だって戦闘経験の浅い雑魚だが、牢獄迷宮で剣の達人と一度戦っている身だ。本来はヴィランになすすべもなくブッ飛ばされるほど鈍ってはいない。俺が絶対に勝てないと確信した理由は一つ。魔王ヴィランが欠片も殺意を込めていなかったからだ。


 そしてこれは、ガオウとの闘いでも感じていたこと。ガオウに勝てない理由の四つ目だ。

 殺意がないから、殺し合いではない。必然的に、俺の調子は上がらなくなる。だからドーピング殺意とか(こす)い手でちまちま削っていかなきゃならなかった。


 ただし最後、銃を使い始めて以降は別だ。ガオウの中で、勝利への渇望が魔王ヴィランの命令を上回ったのだろう。あれらの攻撃には殺意がこもっていたし、というか『殺さなきゃならない』とか自分で言ってたし。

 あの時は俺も殺意に当てられてテンションが上がってしまった。あのまま行けば、ラゼのお願いすらも完全に忘れてしまっていたかもしれない。もしその場のノリでガオウを殺してしまっていたら、切腹しなきゃならないところだった。


「つーわけで、お前が全力を出してないのは知ってる。そんで、俺もラゼの言葉のおかげで、殺す気で()れてねえ。今、互いにこれ以上戦っちまったら、多分その期待を裏切る羽目になる。なら、改めて違う場所で戦った方が良くねえかって話をしてんだ」

主様(マスター)。ラゼ・カルミアが襲撃においての心構えを提示していることを伝えては、魔王連合の作戦が以前から割れていたことが露呈してしまうのでは」

「え? …………あっヤバ、そうかも」


 アマハの小声に、俺は焦って反応する。


 ラゼの言葉は、魔王連合の襲撃を予知していないと起こりえない発言だ。別に、魔王連合の作戦の漏洩そのものがバレることはまだいい。問題は、それによってソウさんの存在が明らかになることだ。

 あの人の固有スキルは切り札。簡単に知られるわけにはいかない。


 だが、当のガオウは何か難しい顔をしているだけで、気付いている様子はなかった。やっぱりコイツ馬鹿だ。

 まあたとえ気づかれたとしても、そもそもハピアと下村が都合よく接敵している時点で一部には作戦の漏洩がバレていそうなものではあるし、今更そんなに結果は変わらなさそうだが。なお実際は、こちらも想定外の接敵なんですけどね!


 ……なんか頭痛くなってきた。ぶっちゃけ俺も頭を使うのは苦手なのに、色々と考えすぎた。さっさと終わらせよう。


「いつか必ず決着はつける、けどそれは今じゃない。殺したいけど殺せない、そんな不安定な状態でやることじゃねーよ」

「……そりゃ、テメエのことだろ」

「――――へえ」


 正直、かなりびっくりした。あまり急に勘を鋭くするな。

 ガオウもガオウで、戦っている最中の俺に、何か感じ取るものがあったらしい。


 ガオウは、不機嫌そうな目で俺を睨んだ後、何やら唸り始めた。ガオウなりに考えているのだろう。

 そして数十秒が経ち、静かにため息をついた。


「あ˝ぁー、めんどくせえ。やめだ」

「! それって」

「うるせえ。次合った時には、絶対俺が勝つ。とっとと消えろ」


 銃を懐へと仕舞い、うなだれながら中指を立て、こちらに向けてきた。


 こうして、意外なまでにあっさりと、ガオウは戦線から離脱することが決まった。俺が思っていた以上に、ガオウの魔王への忠誠心が高かったのだろう。自分の欲求を、抑え込むことが優先されるくらいには。


「やったぜ、アマハ」


 俺は隣のアマハにまたも小声で語り掛けると、アマハの感情のないはずの顔が、疑念で埋められているかのように見えた。


「このような口約束を、はたして守るでしょうか」

「守るでしょ。今ガチで萎えてるし。魔王に対する忠誠心は本物っぽいし、流石にそこは自衛するよ」


 魔物限定のメンタリズム解析は定期的に役に立つ。

 今の心情は複雑で、多分本人も理解しきれていない。だが、今のガオウは嘘を言っていない。それだけは分かる。


「じゃ、そういうことで。他のところに加勢したりするなよ」

「しねーよゴミクズ」


 暴言が適当になってきている。

 ガオウ本人も、これ以上誰かと戦えば、取り返しのつかないところまで戦ってしまうと理解しているようだ。

 本当は拘束したいところだったが、今刺激すると、せっかく作り出したこの状況が水の泡になりそうなのでやめよう。退いてくれるだけで万々歳だと思わなきゃね。


 俺はガオウに背を向ける。それは、つい数分前まで戦っていた相手に、大きな隙を見せるに等しい行為。だが、背後から殺意も敵意も迫ることはなかった。

 その代わりに、その背後から声を掛けられる。


「おい、テメエ、待て」

「何?」

「……名だけ、聞かせろ」


 あれ、名乗ってなかったっけ?

 …………言われてみれば、名乗ってなかったような気がする。


「俺の名前は――――ヒガミ。そう呼べよ」

「……!?」


 俺がそう名乗った途端、アマハが信じられないスピードでこちらを二度見してきた。

 ユズって名は基本的に、仲良くなれそうな人にしか呼ばせねーから。残念ながらガオウは不合格です。お祈り申し上げる。


「んじゃね」


 俺とアマハは再び背を向け、歩き出した。

 ガオウはそんな俺にもう声をかけることはなく、ただ一人で静かに呟いた。


「次は、絶対に、勝つ…………」


 …………()()


 ●


 ユズとアマハの背中が遠くなるのを、ガオウは淀んだ目で見送っていた。

 ガオウはゆっくりとため息をつくと、ユズに吹き飛ばされたもう一丁の銃を拾い上げ、自分で蹴り倒した木の切り株に腰を下ろした。


 腹立たしいが、本当に腹立たしいが、ユズの言う通り、次に誰かと戦えば、ガオウは自分の本能を止められないだろうことを自覚していた。

 魔王ヴィランには、たくさんの恩がある。彼の指示を裏切ることは、ガオウも望んでいなかった。だからこそ、その場に留まることをガオウは選んだのだ。


 魔王連合が撤退するためには、ソフィの固有スキルが最適。だが、ソフィが今どこに待機しているのかを、ガオウは把握していない。正確に言えば、事前に説明はされていたのだが、それを全く記憶していなかった。

 だが、ガオウも自身の内に魔力が備わっていることを知っている。それが感知されれば、自分はいつか回収されるだろうと考えていた。


「…………クソが」


 自分の発想の中で、自然と魔力のことが勘定に入っていることに嫌気がさす。


 もう一度、大きなため息をつく。

 身体を動かしていないと、余計なことを考えてしまう。否応なく嫌な記憶がよみがえってくる。

 そうしてガオウは数時間前の、ヘラヘラと笑う鍛冶師、シャトルとの会話を想起する。




(…………というわけで、この銃は引き金を引くと、装備した奴の魔力を勝手に吸い上げて魔撃を撃ってくれます。フヘヘ、どうです? ガオウさんにピッタリだと思いませんか?)

(要らねえ)

(な、なーんでですか! これがあれば……)

(直接殴ればいいだろ。俺はそれで事足りる)

(えぇー……)


 一度は突っぱねたが、シャトルは無駄に食い下がってきた。


(ガオウさん自身、遠距離攻撃があれば格段に強くなれるのは分かっているでしょう? 私はそれをプレゼントしに来たんです!)


 そして、決して言ってはならない言葉も、口にしてしまった。


(というかぶっちゃけガオウさん、直接殴ったり蹴ったりするより、遠くから魔撃撃ちまくった方が強いですよ!何を拒否する理由があるんですか!)

(……ッ!)


 知ったような口ぶりのシャトルの顔、そしてそいつから受けた屈辱に、ガオウは弾かれるように動いた。目の前の腹立たしい存在を、生かしてはおけなかったから。


(ちょっ、待って! それは流石にマズいって!)


 振り上げた拳は背後からミラに止められ、ガオウとシャトルの間にイノーズが割り込んで阻止する。

 しかし、彼ら彼女らが見えていないかのように、そのままガオウは口を開いた。


(理由があるか、だ? あるに決まってんだろ)


 ガオウの脳裏に蘇る人生の記憶は、ろくでもないものばかりだ。過酷な環境に生まれ、信じられるのは自分の実力だけ。勝ちにこだわる性分も、その時培われたものだ。

 望みのままに生を()()取るため、ガオウは必死に強くなった。その間、もしも遠距離での攻撃が可能になったらなどと、考えなかったわけじゃない。

 だが、時には割り切ることだって大事だ。遠距離攻撃ができないなら、それが必要なくなるほどに、膂力を鍛えればいいと。


 ガオウはそう信じ、一心不乱に己の体を強化していった。

 ――――必死に、必死に、必死に。


 その死に物狂いの努力を、自分でも感じ取れないような力と、他人から渡された訳の分からない武器があれば、少し指を動かすだけで凌駕できてしまう。

 そのような屈辱が、あっていいはずがない。


 それを、ガオウがシャトルに対して語ることはない。

 だが、シャトルはその必死の形相を見て、譲歩した。


(…………分かりました。ガオウさんの気に障った発言をしてしまったことは謝りましょう。ですが、こちらも魔王様の指示で動いています。『受け取ってもらえなかった』で、すごすご帰るわけにはいきません)


 ヘラヘラと笑っていた先程までの表情から一変し、真面目な表情でガオウに語り掛ける。


(ですから、これは受け取ってください。使っていただかなくても構いませんから)

(あ? それに何の意味があんだよ)

(これは、闘争です)


 その言葉に、ガオウは目を見開く。


(闘鬼王ガオウ、あなたが闘争に、そして勝ちにこだわる性分だということは知っています。何らかの理由があって、この銃を使いたくないのも理解しました。ですが、私としては何としてでも受け取ってほしい。そして何より鍛冶師として、あなたにとって最適に作った武器を拒否されるのはプライドが許しません。ですから、闘争です。あなたが銃を使ってしまうか、銃を使わずに闘い切るかの、闘争だと思ってください)

(……テメエとの、かよ)

(いいえ)


 シャトルはゆっくりと首を振って。


(あなた自身との、です)




 脳が混乱して、記憶に残っているのはそこまでだ。

 想起を打ち切って、虚無感に沈んでいく。


「何が、無敗だ……」


 ――――闘鬼王ガオウは、闘鬼王ガオウに負けている。

 ――――闘鬼王ガオウは、ユヅキ・ヒガミに負けている。


 無敗は、叶わない。

 何より、ガオウ自身が、敗北を認めてしまっていたから。


 ●



主様(マスター)。これから、どういたしますか?」


 今俺は、森林を走っている。


 あの後、正式に『野園印の超回復ポーション』を使用し、両腕も含めて完全回復した。変にプライドを刺激しそうだったからガオウが見ていないところまで行かないと使えないのが地味にキツかった。それに、これでもうしばらくは、回復はできない。


 だが、だからといってここで俺も戦線離脱というわけにはいかない。並走しながら聞くアマハに答える。


「とりあえず、動ける間は他の奴らのところに加勢しまくって、撤退させまくる」

「上手くいくでしょうか」

「ガオウと違って妙な拘りがなかったら大丈夫だろ。俺たちの乱入で形成が崩れれば、不利を悟って撤退する可能性もある」


 俺が相性不利な相手に当たってしまったら、人質にされてトータル不利になる可能性もあるけど。まあアマハもいるし、どうにかなるべ。


 しかし、肝心の居場所が分からないことには、どちらにしろ意味がない。先程から戦闘の音を感知しようとしているが、もう少し効率よく回りたいものだ。


「急がねえと……お?」


 頭を悩ませていたそのとき、上空から()()が近付いてくる。

 それは陽光を反射しながら、体をくねらせて宙を舞う。端的に言うならそれは、ガラスの魚だった。


「確か、シハロの固有スキルのやつ」


 シハロが持つカメラとドローンを足して2で割った性能の固有スキル、その一匹が、俺の方へとやって来た。

 魚はぐるぐると俺を何周かすると、俺らを先導するかのように森林の先へと進んでいく。


「ついてこいってことかな?」

「……そのようですね」


 この魚は遠隔で映像をシハロへと送ることは可能だが、会話機能といった便利なものはない。一方的に撮影されるだけだ。

 だが、シハロがすべてマニュアルで動かしているがゆえに、残り4か所の視界と連携することで、戦場の全体像を特定することができる。こういった状況での先導として、右に出る者はいないほど優秀なスキルだ。


 身体能力がぶっ壊れているニンカやレトさん、全知一歩手前のソウさんに加え、五体同時マニュアル3次元操作ができるシハロ。アネモネさんも大城たちを守る重要な役割を任されているわけだし、包帯メイド服軍団は揃いも揃って逸材ばかりだな。


 ともかく、これで誰かのもとに辿り着ける。今は1分1秒が惜しい。早く皆の許へと急がねば。


「行こう、アマハ」

「……了解しました」


 後ろのアマハに振り返り、俺は魚に続いて走り始めた。

 一方アマハは、何か言おうとしていたのか、アマハが少し歯切れの悪い返答をする。

 ――――そういえば、アマハってもしかして鈍重なタイプか?


 いかにも無機物な見た目だが、アマハはれっきとした魔物だ。そこには、ステータスが存在する。

 仮にも全身鎧のゴーレムだし、耐久方面のステータスが低いとは考えづらい。そして、レベルは上の俺の拳を止めるくらいのパワーもある。レベル40の魔物とは思えないほど、優秀すぎる。

 つまり、アマハのあの芸当は、スピードのステータスを削ったゆえにできたパフォーマンスなのではないか?


 確か下村の話では、この魚はかなりのスピードが出せる。準戦闘要員とはいえ、スピードに特化した下村が言うんだから間違いないだろう。

 かくいう俺もスピードにはまずまず自信がある。牢獄迷宮で回避主体で戦うと、自ずと俊敏性が身につく。多分魚に追いつくくらいは訳ない。

 だが、もしかしたらアマハはそうではないかもしれない。


 なるほど、アマハの所有者として、配慮が欠けていたようだ。


「どうする、アマハ。一旦俺のインベントリに戻るか?」

「いえ、問題ありません。インベントリを再展開するよりも、手間を省くことを優先しましょう」


 ……どうやら違ったらしい。あれえ? 俺の魔物メンタル診断が鈍ってんのか?

 というかさっきまで、全力ではなかったとはいえ俺と並走してたんだし、最低限の速さはあるか。


「アマハ、俺に何か言いたいことがあるなら、遠慮なく言えよ?」


 何とか察しようとしたが、よく考えたら俺はアマハの所有者なんだし、気を使うことなんてないな。直接的に聞いてしまおう。

 アマハは、少し黙ったのちに、音声を発した。


「随分、焦っていらっしゃるな、と」

「俺が?」

「はい」


 鎧の頭が頷く。

 確かに、俺はまさに急いでいる。けど、それってそんなに不思議なことか? 友達が今もどこかで戦ってるんだし、普通のことだと思うんだが。


「私はインベントリの中で、主様(マスター)の記憶と精神を解析していました」

「あー、俺を所有者だと認識させるためのー、ってやつか」

「その通りです。ですから、主様(マスター)の性格も少なからず理解しています」


 タスクから手渡された時に言われたプロセスのことだろう。というか記憶読み取ってんのか。それってゲームの中で出来ていいことなの? プライバシー的なの大丈夫? 別に俺は構わないけど、商品として販売できなくない?


 アマハは追随しながら続ける。


主様(マスター)は、ご友人たちのことを、相当に高く評価しています。それこそ実力に関して、全幅の信頼を置いているといっても過言ではないほどに」

「確かに、我ながらその節はあると思ってる」


 姉御に指摘された、有吾に対しての異常な神格化に近いもんだろう。転生し始めがどん底だった影響か、俺は基本的に『あいつらなら大丈夫だろう』と思いやすい。


「それが、焦ってる今の俺と結びつかないって?」

「はい」

「……それは、俺の記憶から読み取れなかったの?」


 確かに端から見たら不思議かもしれないが、俺の記憶を解析したアマハならわかりそうなものだが。


「あの時、主様(マスター)がガオウとの戦いに熱中しているようだったので、解析を切り上げて戦闘を中断することを優先したのです」

「ご迷惑をおかけして大変申し訳御座いませんでした」


 最後の殺意に当てられて我を忘れかけた俺のせいでした。道理で出てくるの早いなあって思ったんだよ。ダメなマスターでごめんなさい。


 しかし、それならアマハが知らないのも納得だ。正直話したくなかったが、アマハに言うだけなら問題ないだろう。


「えーっとね、できれば内緒にしてほしいんだけど…………」


 そして俺は、アマハへと本心を語る。



なんと章ボス戦を終わらせたのに、第2章はまだ終わらないんですねえ。なんせまだ十の戦巡りしてないんでねえ。

少し尻切れトンボな感じはありますが、ここで次話。

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