表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は暗殺者。俺は下っ端。そして私は…  作者: 秋村 楼
僕は暗殺者
3/6

二つの目の電話

 土曜の朝、時計は10時近くを指してた頃だった。二日酔いでいびきをかきながら寝ている最中、電流が体に流されるが(ごと)く、黒電話が鳴り響いた。

 プルルルル…プルルルル… ピッ

 「ふぁー、もしもーし?」情けないことにあくびをかいていた

 「モシモシィ!聞こえんのかーー!!」

 

 怒鳴(どな)りつけられるような大きな声だった。寝起きのポンコツ頭には響いたらしく

 「うっせーぞ!コノヤロー!!!」と返してしまった。


 「お、お前それが客に対する態度なのか?!」20代前半くらいの若々しい男の声である。

 「きゃ、客?…あ」すぐさま

 「すいません!すいません!寝起きのもんで頭が回ってませんでした…」といつも通り、態度を変える。

 「そうか、まあいいけどよ。依頼の方をお願いしたい。」

 「了解しました。金額の方は?」

 「10万でどうだ?()()にしては(わり)にあってると思うが?」


 そういえば、実は探偵業も行っているのだ。小説のようなことはできないが、偵察(ていさつ)や張り込みなどが主である。物騒な世の中ではないので、暗殺一筋では少し厳しいものがある。

 もう一つの仕事に邪魔(じゃま)が入らないだろうし、立て続けに仕事なんてラッキーである。ここはやる他にない。

 

 「凄くいいですね!引き受けますよ。」

 「よし成立だな。男の偵察をしてほしい。情報はある、そっちでメモは取れるか?」

 「了解です。」タンスの中から紙とペンを取り出す。

 「準備しましたお願いします。」

 「わかった。相手の名は(みなもと)というロン毛の男だ。俺の大先輩にあたるやつでな、ここ最近なんか怪しい行動をしてる気がするんだよ。」

 「怪しい行動とは?」

 「それは言えないな、すまない。とにかく俺の兄n、いや俺の命が狙われてる可能性があるんだ。だから明日の昼の13:00から見張っててほしい。」

 「そうですか。わかりました。」

 「場所は○○駅前の最近できた喫茶(きっさ)店だ。俺が窓際のテーブルに誘い込むからわかるはずだし、俺は金髪で分かりやすいだろう。そっから18:00まで頼む。終わり次第報告の電話をして欲しい。」

 「了解です。」

 「それじゃ、俺はここで失礼する。なにか聞き逃したことはあるか?」

 「いやないです。」

 「それでは失礼。」ピッ


 受話器を置き、背伸びをする。しかし依頼人にしてはかなり丁寧な方だった。口は悪いが結構な苦労人(くろうにん)なのだろう。まさか人を殺す前に救うような仕事をするとは、暗殺に対する神のアンチテーゼなのだろうか。そこに深く考える必要はないな。寝るか、起きたら打ちに行こう。

 僕は布団(ふとん)に戻り二度寝をしようとしたが、セミのせいで気持ちよくは寝られなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ