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僕は暗殺者。俺は下っ端。そして私は…  作者: 秋村 楼
僕は暗殺者
1/6

最初の電話

この作品は三部作となっております。

 …一体何がどうしたらこうなるんだ!

 

 (ひたい)には汗を滝のようにドバドバ流しながら、誰かに追われているようだった。


 ちょうど一週間前だ。あの電話から(いそが)しくなったんだよなぁ、ほんとどうなってんだ?

 

 男は必死に逃げる。

          ・

          ・

        一週間前

          ・

          ・

 まだ夏は本番とお天道様(てんとさま)が見栄(みえ)を張り、セミは季節はずれの紅白歌合戦でもしてるんじゃないかと五月蠅(うるさ)い八月下旬の木曜日である。何気(なにげ)なく畳四畳半(たたみよじょうはん)の一室で仰向(あおむ)けになりながら、天井を見つめていた時だった。


 プルルルル…プルルルル…


 仕事用携帯から、着信音(ちゃくしんおん)が鳴り響く。半月ぶり程の仕事だろうか、ここ少しばかりは平穏(へいおん)に過ごせると思ったのにな。(せみ)より(わずら)わしい折り畳み式携帯をパカッと開く。


 「もしもし?」

 「あっも、もしもし…人殺しの仕事屋さんでしょうか?」

 声は若く、弱々(よわよわ)しい女性であった。

 【人殺しの仕事屋さん】という、まるでお花屋さんと同等に近くストレートな呼ばれ方をされ、僕は困惑(こんわく)気味(ぎみ)

 「まぁ、暗殺業で金食ってるものです。ご依頼でしょうか?」

と受け流した。


 「は、はい…どうしても殺してほしい相手(ひと)がいるんです。だから依頼の電話をさせて頂きました。」

 「了解しました。本題の前に、まず報酬額(ほうしゅうがく)の方から話をさせてください。」

 僕の暗殺依頼は報酬から入る。なぜなら、金こそ信用に(あたい)する物理的条件であるのと、先に依頼内容を聞くと断りにくいからだ。何故断りにくいかだって?それは話を散々聞いた後に金額も聞いて、断るなんてできない。つまり、僕の性格の問題である。そしてポリシーもある。私情を聞かないことだ。大体は身内殺しの復讐(ふくしゅう)隠蔽(いんぺい)などだろう、やってる内に理由(ワケ)は察しが付くものだ。聞いてしまうと情が移ってしまうこともあるからだ。じゃあなんでこんな仕事やってるんだろうね?まぁ、金さえ手に入ればいい話だ。話が()れたが、女性は金額を()げた。

 

 「じゅ、十二億でどうでしょうか?」

 「なるほど、了解しまsってえ?!えええええええええ!!」 ゴトッ

 あまりの桁違いに、携帯を落とす。

 「ど、どうかしましか?」

 女性の返答には聞こえず、即座に拾い上げ、レスポンスする。

 「マジで十二億ですか!」

 「は、はい…何か問題でも?」

 「い、いえめっそうもございません。私がしっかりきっちりと任務遂行する所存(しょぞん)でございます!」

 露骨(ろこつ)に態度を変える。

 

 「そうですか、それはありがたいです。」

 「それでは本題のほうに移りましょうか。」

 「そうですね、あなたに暗殺してほしい人は.....


 


「依頼の詳しい内容はメールを送るのでそちらで参照(さんしょう)してください。それでは失礼いたします。」ピッ


 話が終わり、座ってふーっと一息。己を落ち着かせるつもりが、身体から爪先まで(ふる)え上がっている。成功すれば十二億、こんな大金は初めてだ。もしかして、いままでのやつらには甘く見られていたのではぁ?まあ、いまはそんなことどうでもよい。()ずは落ち着いて作戦を考えよう。


「よーーーーーーし!!気合い入れるぞおおおおおおお!!」


 この時、自分は暑さでおかしくなったのかもしれない。セミの鳴き声も励ますかのような一種の音楽のように聞こえた。

 こうして奇妙(きみょう)な一週間が始まったのだった。

お久しぶりです。初めましての方はどうも

書きたいものがやっとかけました。毎日更新するのでどうぞよろしくお願いいたします。

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