ドラパレ攻略⑥
一つ目の島に着くと海亀は動きを止めた。
降りろと言う事だろうと海の中へ飛び込み浜辺へ歩く。
熱帯雨林のような島には、一つの集落のような村があった。バナナの葉をした屋根、細い木を太いつる草で縛ったような家々が並ぶ。
「おー、ren。お前もここに来たか」
「白影、ここ何がある?」
「ただの村だなー。でも、結構いい情報もらえたぞ」
ただの村だと聞いて意気消沈しかけた私に白影は、そう言うと色々と教えてくれた。
ドラパレのボスは、私の狙い通りドラゴンだった。
その名も、暴風のウラガーン。
頂上の頂きの一角にウラガーンの寝床があり、そこに踏み込むとウラガーンが怒り攻撃してくると言う。
この情報が得られただけでもかなりありがたいのだが、白影は他にも情報を寄こしてくれる。
群島での販売品は、外の世界よりも十倍ほど高いこと。しかもゼルではなく、専用の金塊が必要になるそうだ。
倉庫は無く、ゼルと金塊の交換所が別の島にある。
交換比率は、十ゼル=金塊一個。
この群島の中にある狩場で狩れば、ゼルではなく金塊が落ちると言う。
そして、一番大事なことが……。
この群島から出る方法についてだった。
夕日が沈む頃、地平線まで海亀で走り抜ければいいらしい。
「走り抜けてどこに出るの?」
「さぁ? 鰐のあれじゃねーの?」
「……一生ここに居ようかな……」
「それは無理だな」
出口が予想通りなら、ここに住みたいと言う私の言葉を白影は無理だと即否定した。
村人が言うには村人以外が、ここに居られる時間が三日――約十二時間と決まっているせいだ。時間を過ぎるとどうなるのかは分からないそうだが、必ず消えると言っていたらしい。
「あぁ、じゃぁ狩りできなくない?」
「ま、十二時間でどれだけ狩れるかだな。あと鰐も湧きの周期があるらしいぞ」
「そうなの……まぁ、とりあえず狩りに行って金塊探したい」
何を買うにも金塊が、必要なのは変わらない。と言う事で、私と白影は二人連れ立って浜辺へ戻る。
狩場の場所は白影が情報収集済みみたいなので、私は彼について行くことにした。
浜辺に着くと春日丸と村雨が、連れ立って海亀から降りる所に出くわした。事情を白影が説明すれば二人も一緒に行くと言う。
四人もいれば十分だろうと海亀に乗り、狩場へと向かった。
白影に連れられてついた場所は、島なのに砂漠と言う変わった島だ。
見える限り広がる砂漠に、熱系のデバフを予想しつつバフを入れる。
「とりあえず、一匹引いてくるわ」
「了解」
「うむ」
バフが終わって白影が動き出す。目指す方向にはガラガラ蛇のような模様の羽付き蛇型のモブ《デザートケツアルカルト》がいる。
体長五メートルほどの蛇は、白影の接近に気付き首を持ち上げる。ピンク色の舌がちろちろと動いたかと思えば、警戒するようにコウモリ羽を広げた。
「アクティブだな」
「狩りやすいようなら範囲いけそう」
「蛇は基本HP低い。毒、マヒ以外めったにデバフない」
「範囲にはもってこいだ」
村雨と春日丸と軽く会話を交わして、白影がヘイトを入れると同時に蛇に斬りかかる。
毒とマヒのデバフは当然として、HPは低いけど鱗――外皮が非常に硬い。砥石が必要になるほどではないけれど、近接の攻撃が非常に通りにくいかった。
魔法があれば倒せそうではあるけど……近接しかいない四人では範囲は厳しいと言える。
「範囲でやるのは厳しいな」
「ドロップは旨いけどなー」
「うむ」
ドロップは金塊二百個、毒肝、鱗。後は、レアらしい脱皮した皮だ。
ドロップに文句はないとはいえ、このまま四人で狩るのは時間がもったいないと言う事で、メンバー全員を呼び出すことに。
島の場所を教えて、皆が来るまで狩りをしながら待つ。
その間、地形を調べたりモブを調べたりと意外と楽しい時間が過ぎた。
続々とメンバーたちが集まり、狩りが始まる。
黒、白影、大和、ティタが引きを担当。
魔法攻撃とゲッターサークルスクの担当を決め、島をめぐりえた情報などを交換しながら狩りを楽しんだ。
ここに出るモブは主に蛇か蜥蜴と言った爬虫類。それとまれにムカデ、蜥蜴の大きいバージョン、ミミズが出る。
ドロップ的に美味しいのは後者の三匹なのだが、滅多に会えない。何かしら法則があるのかもしれないが、今は調べるより狩りがしたい。
なので、考えるのは後だ。
鉄男からの情報によれば、魔法書やスキル書は少なくとも一冊あたり金塊一千万個が必要らしい。
聞いた瞬間に、高い! と叫んだ私は悪くないと思う。
他のメンツも欲しいものがあったようで、狩りに意欲的だ。
四人が引きに行き、鉄男、先生、ベルゼが槍を構え他の前衛がゲッターサークルスクを使って纏めたら、スキルを飛ばす。
白や聖劉、さゆたんを始めとした魔法職は雷系の魔法を使っている。
がりがりと削られモブが、死んでいく。次から次へとタイミングを計り雛に餌を運ぶ四人は物凄く大変そうだが、ぜひ頑張って欲しいところ。
途中、トイレ休憩などを挟みつつ退去時間一時間前まで狩りをした私たちは、さっそく商店街があると言う島へ向かった。
堪った金塊は、一人あたり約七百万個。
一千万個には到底足りないけれど、狩場で落ちたドロップ品を販売すればもしかしたらがあるので一応……。
項垂れる私の横で、ホクホク顔なのはロゼと白、聖劉だ。奴らだけが、今回の狩りで欲しいスキルをゲットしていた。
恨めしい……。次こそは絶対手に入れてやる!!
お待たせしました。




