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最強は同盟の運営に尽力す㉑

大変長らくお待たせいたしました。

 キヨシたちが頑張って聞き出した情報を先生が簡潔に答える。それによると幼女犬の親=フォルタリア所属の怪人クリスと言うプレイヤーらしい。


「じゃぁ、怪人クリスってのが掲示板に書いたのか?」

「怪人ってまた痛い名前だなぁ~おい」

「怪人クリスってのが親か」

「ちゃんやら姫やら様なんてつける奴にろくな奴は居ねぇ」

「あら、それって私のことかしらぁ?」

「「……」」

「掲示板に書いたのはそいつじゃないぞ」


 黒の質問に、鉄男は違うという。ほかにもいろいろと会話がなされているが気にしない。私に助けてもらえると思うなよ白、ベルゼ。

 宮ネェの毒入― ―じゃなかった。美味しいクッキーを食べて悶絶する二人を放置して、ティタが話を切り出す。


「そいつは何したの?」

「怪人クリスってのが今回のクラッシャーをしかけたってことじゃないか?」

「そうなの?」

「多分な。ぶっちゃけ確証はないけど、幼女犬の言い方がそんな感じだった」

「会話を聞いてた印象ってことか」


 先生と宮ネェは、うんと深く頷いた。

 じゃぁ誰がとなったところで、例の名前が出てきた。

 私にとっては苦い過去を思い出させ、忘れられない名前だ。


「でもよー。なんで今更あいつが出てくんの?」

「んー、それ俺に聞かれてもわかんないw」


 確かにミッシェルの考えが鉄男にわかる訳がない。チカは、なんで聞いたのかな? まぁいいか……。


「うーん。あぁそういえば理由になるかはわかんねーけど、幼女犬がポロっと喋ってたな」

「あー! あれか! うちの連盟が出来てすぐに名前が売れたのがムカつくとか。自分たちのが古いのにロゼたちから声がかからなかった。本当は自分たちが同盟を組みたいと思ってたとか言うの?」

「そう、それそれ」


 すっとぼけてるようでちゃんと仕事をしてたらしいキヨシの言葉をチカが引き継ぐ。


 なるほど目立ったのがダメだったのか。これから先目立たないようにして生きていこう。でも私としては目立つことはしていない。うーん……目立たないって難しい。


 思い当たることがないので考えるのを諦めた。


「名前売れたのはまぁ、元が元だしなぁ」

「そうよねぇ。目立つことはしてないはずだものねぇ」

「ちょ、先生も宮ネェもちゃんと考えろ! 目立つことはしまくりだろう!

「「どこが?」」


 ロゼの言葉に先生と宮ネェの声が揃う。

 クラメンの全員が……あぁ、全員じゃなかった。ミツルギさん、ゼンさん、ヒガキさんはなぜか思い当たることがあるようで顔が引き攣っている。


「いやいや、やってるよね?」

「「例えば?」」

「火龍討伐。オリンピア優勝者続出。他にもクラン売店の販売物とかよ。思い当たらない方がおかしいだろ??」

「だよね? 二人の言葉の意味が分からなかった俺はおかしくないよね?」

「……毒されてるわいね」


 白影のツッコミが入り、雪継が自分の頭がおかしいと訴える。毒されてるって何に毒されてるのか教えて欲しいよ千桜。


 色々脱線しつつ結局鉄男が話を戻す。


「とりあえずだ。うちが色々やったっていうのはわかったから説明続けていいか? まずだ掲示板に書いたのはミッシェルで間違いない。このゲームってアカウントは一人に一個しか作れないのは知ってるよな?」


 VRゲームによって設定は違うだろうが、このビューティフルライフではアカウントの売り買いなどを防ぐため一人一アカウントと決まっている。垢BAN――アカウント利用停止やアカウント紛失などの場合五年間はアカウントを作ることができない。

 同じ建物に兄弟などがいる場合どうなるかは分からないけれど、個人番号のようなものを運営側が振り分けるとかなんとか聞いた記憶がある。実際のところ私も詳しくは知らない。


 ゲームを開始する前に個人情報の登録とデバイスの登録は必須で、その際に十六桁の番号が表示される。

 その番号はデバイスの不具合などで交換が必要になった場合は運営側に番号を伝え処理を依頼する。

 依頼すると1週間以内に運営から登録住所にデバイス用の個人専用カードが届く。

 そのカードの英数文字と十六桁の番号を入れることでデバイスの更新が可能らしい。


「でな、アカウント持ってるやつ以外は掲示板の書き込みできないのも当然知ってるよな?」


 鉄男の周りくどい質問に頷きつつ先を促す。


「実はゲームができた当初の話なんだが、他鯖の掲示板に悪質な書き込みをしてた奴らがいたんだよ。そしたらされた側のやつが書き込みしたやつを特定するソフトを開発した」

「やられたらやり返す精神だなw」

「まぁそういう事w それが今でも公開されててな、pcでソフト起動させて掲示板開くと英文字と番号が出るんだわ」

「それ違法の危ないやつじゃないわよね?」


 話を聞いていた宮ネェが慌てて鉄男に問いただした。


「あー大丈夫だ。運営にも利用は黙認されてる。IPアドレスとかそういうのがわかる訳じゃなくってただ、一人一人に振られた番号が見えるだけだから同一人物かどうかの確認が可能なだけ」

「ならいいけど、垢BANとかは困るわよ?」

「まぁ、心配はいらない」


 運営が黙認しているのであればグレー寄りの白なんだろう。でも今後は仲間が垢BANなんかになるのは嫌だから使用は控えるように注意しておこう。


「宮ネェ心配はわかるけど、話の続きを聞こう」

「そうね。ごめんなさい」

「俺さ、あの時……。renがクラン解散させた頃にミッシェルの番号見たことあるんだわ」

「まさか、同じ番号ってことか」

「そw」


 ニヤリと笑みを浮かべた鉄男は、親指を立てる。

 なるほどね。だから今回の書き込み犯がミッシェルだとわかったわけか。

 フォルタリアの怪人クリスだからはない理由は理解できた。でもまだやり返すための材料が足りない。できればフォルタリアとミッシェルの繋がりがはっきりわかればいいけど……。


 証拠集めとしては困難ではないかと考えているとやりきった顔の鉄男がキヨシとチカへ視線を向ける。


「で、お前らの方はどうだったんだ?」


 苦い顔でしばし黙り込む二人の代わりにその場にいなかった鉄男へ引率していた先生が作戦内容を語る。

 これについては私が発案だから、聞く必要はない。


 キヨシとチカにやってもらったことは簡単な事だ。幼女犬のかまってちゃんな部分を利用した無視からの持ち上げて良い子ちゃんだと構い倒すだけ。

 

 くすくすと笑う白や宗乃助の反応を見る限りまぁうまく行ったのだろうけど、二人には酷な内容だったかもしれない。それでもやり遂げて帰ってきているということは、きっちり仕事をこなしたと思っていいだろう。


「どうって言われてもなー。あの犬あんま話さなかった。けど――」

「新しい情報としては親の連絡先を教えてくれたぐらいかしらねw」

「「「「「「は??」」」」」」


 ニヤニヤと笑う宮ネェを、会話を知らないメンバーたちが凝視する。その中に私も入ったわけだけど、連絡先って……おいおい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新されて嬉しいです! 内容を忘れかけていたので読み直してきます
[一言] お帰りなさい。 更新再開を待っていた甲斐があったというものです。 またよろしくお願いしますね。 事件解決に一歩どころじゃなく前進した感じですかね、これはw
[一言] 待ってました!
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