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最強はクランを作る⑨

読んでいただきありがとうございます。

面白いと思われたのなら、ブクマ・評価・感想・レビュー 頂けるととても嬉しいです。

 さゆたんが到着したので一度宿屋を出て借り直す。このゲームでの宿屋は、入る際の人数で部屋の大きさが変わり、使用時間で料金が変わる。基本的には、全員で十二時間ぐらい借りて、一人頭1.5Kゼルとかだ。ベットはその町や街で変わってくるが、ここでは一人一つのベットが据えられている。白いリネンが肌触りは非常にいい。なんて話で、脱線してしまったので説明に戻るとする。


 誰かが後からやってくると判っている場合、多めに人数設定をして代表者が支払いを済ませ鍵を預かっておく。今回は来るかどうかが不明だったこともあり人数ギリギリで借りてしまっていた。その為さゆたんをPTに誘いカギを渡して宿屋の中へ戻る。状況が判らないさゆたんのために、いない間に決まったことを先生が報告する。


「うちのクラン(予定)。まだ名前は決まってないけど……。PK有り、レイド有り、攻城戦有り。で行くことになったよ。

 基本的に、人数少ないから追々はどこかと同盟組む事も考えてはいるけど、今のところパッとする血盟がないから無しな方向で。

 レイドは、二次の狩場の方ならこの人数でも余裕だしそっちをやろうってことで。

 攻城戦は、今温い状態だから、メンバー全員参加した状態で、落として、王座入り口防衛できる城なら余裕で城主になれると思う。

 メンバー募集に関しては、新しいの入れて寄生されるのも嫌だし、マスターが極度の人見知りだし……クラメンになる予定の、このメンバーの知人に限るってことになった」


「了解でしゅ。メンバーに関して、わたくちもあまり入れたくは無いでしゅね。なので同意でしゅよ。他は任せるでしゅ」


 一気に先生が、説明を終わらせると、ベットに膝から下を八の字にして女の子座り状態で聞いていたさゆたんが、了承してくれた。それ見て頷いた先生が、クラン名について話しを振る。


「ドラゴンスレイヤー!」

「既に在るわよ?」


 キヨシの案に、即座に宮ネェが答え却下された。


「やるぉ」

「何を?」


 まるでコントのような、やり取りを見せた黒とティタ。まさかとは思うが、やるぉがクラン名の候補なのだろうか? そんなクラン名のクランに誰が入りたいと思うんだろう……。


「Red Name とか?」

「それ、無差別PKクランみたいでござるよ」


 宮ネェの案に、宗乃助が突っ込みつつ難色を示す。私的には有りだと思うったが、駄目なようだ。


「英語名いいな……。Saber Tiger?」

「マスターヒューマンだし。メンバーに猫獣人一人しかいねーじゃん」


 シロは、猫科が好きらしいが、黒に正論で論破されてしまった。流石に、動物の名前はなしかな……。


「Bloodthirsty Fairyって言うのはどうでしゅか?」

「意味は?」

「血に飢えた妖精。renちゃんを想像できるでしゅ」


 さゆたんの案に、先生が興味を示し意味を聞く。

 血に飢えた妖精……。カッコイイから好きだけど、なんで私のイメージ? マスターやるとは言ってないよ?


「それいいでござるな!」

「って言ってるけど、皆はどう?」


 さゆたんの案が良いと宗乃助が伝えれば、先生が皆に確認をとっている。反対する者は居ないようだった。

 クランマークについては、現役でイラスト関係の仕事をしている。キヨシが書いてくれることになった。皆がいるうちに、頼むよ。と先生に言われたのだが、忘れてしまったのだろうか?


「待って……。マスター、決闘で決めるって言ったのに。私がマスター確定なの?」


 全員が、ハッとした顔をする。ま、まさか……そう思いつつ「まさか、全員忘れてたとか言わないよね?」と目を眇め、聞けば慌てたように、あらぬ方向へ視線を逸らすメンバーたち……。「約束したよね?」と少し低い声を出せば、ブンブンと音が鳴りそうな勢いで頷いた。


 宿を出て、街の北にある決闘場――決闘場の敷地内であれば、HPが0になっても経験値を減らすことは無い。また、殺した方もその名前が赤くなることはない。要は対人の練習場の様な場所だ――へと異動する。

 

 決闘場の側の鍛冶屋で、装備の耐久を確認し終わると入場料を1Kを払い中へ。

 体育館程の大きさ、広さの長方形の空間には、芝生が敷き詰められており、周囲を囲うように一メートル程の白壁がある。壁を伝い広場の四隅にはそれぞれ、杖を持った男性、剣を構えた男性、弓を持った女性、槌を構えた男性の像が飾られている。そして、天井部分は外の天気に関係なく青く澄み切った空が見える。

 街により決闘場の造りや色は違うが、広さや大きさはほぼ同じだ。


「総当り? それとも三つ巴?」

「三つ巴のが早くね?」

「なんでもいい」

「皆もそれでいい?」

「どうせrenが、勝つんだからなんでもいい~」

「いいわよ~」

「okでしゅ」

「承諾しただござる!」

「それで、いいぜ」


 マスターを決める方法は、黒の一言で三つ巴に決まった。

 面倒そうな顔をしてここまで移動していたはずのメンバーたちだったが、開始を前にやはり対人が好きなだろうと判るほど顔が真剣なものへと引き締まっている。

 三次職カンスト同士の戦いは、本当に技と作戦次第だ。皆がどんな風に考え、戦うのか楽しみでたまらない。このメンバーならば、負かされるかもしれない。そう思うと同時に胸が高まる。


 PTが解散されると、バフを自身にかける。装備を、軽鎧に変更し、杖を取り出す。詠唱準備をはじめると同時に、戦闘開始のカウントがはじまった。


「5……4……3……2……1……」


 数字が進むにつれ全員が臨戦態勢となり、視線がそれぞれのターゲットへと向いた。0のカウントの変わりに、イベントで貰った花火がヒュ~と音を立て先生から上がる。

 一拍置き、ドーンと大きな音を立て火の粉が大輪の花を咲かせた――。


 その僅かな間で、ティタが私へと突進し剣先で薙ぎ払いにかかってくる。それをギリギリで躱し、ティタのガラ空きの腹部めがけてブレス オブ アローを叩き込身体ごと吹っ飛ばす。すると今度は背後から、黒の剣先が左肩目掛け振り下ろされる。

 考えるよりも先に右手に持った杖を背後の黒へと突き出した。

  

 ガッ!!木と金属がぶつかり合う音が鳴る。

 

「チッ、クソッ!」


 黒の舌打ちと言葉で何とか止められたことを悟り、右へ回転しつつ状況を確認する。

 ティタは現在行動不能、黒は二歩進めば殴られる距離、宮ネェは静観、先生とキヨシがタイマン中。さゆたんとシロもタイマン中――。


 地面に片膝を着いて、傅いた体勢のまま、バインド(+25)を設置する。

 立ち上がり、右へ10歩のところで、スローレンジ(+5)

 後方へ10歩のところに、ポイズンクラウド(+20)を設置した。

 調度、折り重なる部分を作り上げ、その3歩後で黒たちを迎え撃つ。


 起き上がったティタが、走り寄る。スピードが違うな。そう思いながらもティタを迎えうつためその場に佇んだ。残り10歩程度のところで、ティタの周囲にほんのりと薄赤いオーラが立ち上る。ここで専用スキルを使うつもりなのだろう。そう判断した私は、急いでエレメンタルアップ(+15)を自身にかけた。

 

「ティタ!!」


 黒が大きな声でティタを呼ぶ。その声にティタがピタリと走りを止め、スキルを右へと放つ。

 

「チッ」


 折角あと二歩だったのに……。

 仕方ないと割り切り、二人の眼前に向って二次スキルファイアーボール(+25)を二発打ち込む。ファイアーボールは見事二人の視界を塞ぐ。

 それ見遣った私は、二人がファイアーボールを切り捨てる前にトランスパレンシーを使い姿を消した。


 二人が、ディティクションのスクロールを使うまでの数秒が勝負になる。

 近くで、キヨシと先生がやりあっているおかげで、多少足音を立てようとも気付かれることがない。走り、10M四方に設置型魔法をそれぞれ置き、敢えて設置場所とは違う離れた場所で待機する。


 ティタの近くでディティクションスクが放り投げられエフェクト――発光する強烈な光が上がる。その光が収まる前に、エレメンタルアップ(+15)をかけた。いかにもバレたと言わんばかりに数歩後ずさって見せ二人をおびき寄せる。


 ニヤリと笑ったティタと黒が、互いに視線を合わせ頷き合う。その早い移動速度を生かし急襲しようと近付いてくる。

 もう少し、後三歩……捕らえた!!


 二人同時に、罠へ足踏み込む。それを視界に収め、即座にバインド(+18)を発動させた。

 もろに設置型魔法の効果を受けた二人が、硬直し動かなくなった。容赦なく200%バフを乗せた、ブレスオブアローを二人にお見舞した。

数字ミスです。

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