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最強は壊滅を齎す⑰

 カリエンテの足元に辿り着いたところでさくっと、右手の刀をその全体が見えない前足? に差し込んだ。

 ダメージは普段、善悪で狩っているボスとほぼ同じだった。

 武器を使ったデバフは入るのか?そう思いつつ、ムラクモ×オハバリから斬り付けるだけで出血のデバフを与えるオニキリ×オニマルクニツナ持ち替え攻撃する。


 予備を含め五度ほどカリエンテを攻撃した。その場で棒立ちする訳にもいかず、カリエンテから少し離れ名前下に表示されたバフ欄を見ればデバフも入る事が分かった。


 ドラゴンに、アーマーブレイクは有効だろうか? ダメ元で試してみようと思い立つ。

 バフの事を考え試せるのは、入ってもレジられても十回までだ。そう自分の中で決めて試した。

 

 一度目はレジられた。二度目は、レジられた感覚は無かったもののエフェクトが見えず……。三度目を入れようとした所で、クラチャで待ったがかかった。


[[黒龍] renストップ!]

[[ティタ] あぁ、近接から魔法に変わったw]

[[ren] ?]

[[白聖] AB入れても俺らなんもできねーw]

[[さゆたん] 今がチャンスでしゅw]

[[キヨシ] いくぜー!]

[[カフェオレ] 頑張るわw]

[[風牙] もっと早く……AB入れてくれれば……]

[[シュタイン] renらしいのであるw]


 どうやら、ABは普通に入っていたようで、カリエンテのバフを見ていた黒がMPを無駄にしないよう止めてくれたようだ。

 それと同時に、カリエンテが魔法防御から近接防御へ変更したらしくABを入れるタイミングが悪いと、嘆きの声がクラチャで続々あがった。


 そんなクラメン達の声をスルーして、バフを更新する。

 さゆたん・キヨシ・カフェオレ・小春ちゃんにはエレメンタル アップ(+15)を追加した。

 

 近接が攻撃できない間に、近接PTの回復がMPPOTを飲みつつ自身のMP回復を図る。そんな様子を眺め私もまたMPPOTを大量に飲んだ。

 

 今の所順調に討伐は進んでいる。進んではいるが、なんだろう? 順調な事が逆に不安になる……。

 こう言う時こそ注意が必要だ。


『全員攻撃注意』

『おぉ! renがしゃべったwww』

『いや、大分前から普通に話してたろ?w』

『は、はい!』


 え? 私しゃべったらだめだったの? つか、こう言うのこそロゼがやるべきなんじゃ?

 私が言うべきじゃなかった。そう思いながら仕切り直そうとPTチャットでロゼに注意を促すよう伝えた。


『ちょww 仕切り直すなw』

『やべ、笑い過ぎて手元くるいそうw』

『やめてー! renちゃんやばいでしゅw』

『うははははw』

『ここも相変わらずなのかw』

『草生えたw』

『天然だわいねw』

『ボケかますところも可愛いわん♪』

『あぁ、こう言うの良くあったよ……PK中とかPK中とかPK中とか』

『相変わらずの天然で安心したにゃw』


 すると真面目な顔でカリエンテに向かっていたはずの元クラメン達が次々と私を貶す。

 あぁ、殺してやりたい!! 今すぐこいつら沈めたい!


『それ位にしとけ?

 じゃないと、多分カリエンテにカリエンテぶっ放すぞw』

『お前ら、renを弄りすぎるな?』

『そうだぞ!

 renは身内以外、ドラゴン召喚しないって言ったんだぞ!』

『GMすらビビってたからなw』

『あぁ、あの時は酷かったでござるw』

『平の青木さんでしゅw』

『あぁ! グランドロールの時かw』

『そんなこともあったわね~w』

『あの時、青木さんのビビり方半端じゃ無かったなwww』


 止めに入ったはずの現クラメン達が、グランドロール戦を懐かしむように青木さんの名前を連呼する。

 それに対し周囲は、若干私たちから距離を取るよう全体的に一歩引いていた。


『ま、と、とりあえず弄るのやめよう?

 魔法職停止。近接攻撃開始!』

『ren AB入れて!』

『k』


 ピリピリする私の空気を読みとったらしいロゼが、弄るのを止めるよう言いながらカリエンテに対する攻撃の切り替えを指示した。それに反応した風牙にアーマーブレイク(+25)を要求される。


 バフの様子を見ながら、五回までと決めABを詠唱し発動させた。

 すると今度は、中々ABが入らない……。舌打ちしつつ最後の五回目を詠唱し発動したところで漸く、カリエンテに鎧の砕けるエフェクトがあがった。


『きたぜぇぇぇ!』と村雨の声が轟き、がむしゃらにカリエンテに対し『キイィィヤァァァ』などと奇声を発し攻撃をする姿は、まるで修羅のようだと、前に誰かが言っていた気がする。


 それに周囲が唖然とするなか慣れているらしい元クラメン達は、あぁ、始まったなと言わんばかりの塩対応だった。


『HPの減りが予想以上に速いな。

 魔法職、先に防具、武器のメンテナンスと補充済ませて!

 魔法職終わったら、弓・投具。それ終わったら入れ替わりで、PTごとに近接でよろしく!』

『黒、砥石とPOTどんな按配?』

『砥石が後100で尽きる! POTはrenが撒いてるのあるから、まだいける。大和と雷、今の内に補充いっとけ』

『了解~』

『了解なのです!』

『うんじゃ、俺がその間補佐するわw』

『俺も付いとくね~w』

『私の砥石1000置くから拾って、そのまま補充に行く』

『さんきゅ』


 ロゼの指示に従い、魔法職が入り口に向かう。

 それとは別に、先生が黒の砥石などを心配して質問すれば、残りはあまりないようだった。

 黒の言葉に先生が、その短い足で自分の持つ砥石を黒の足元へと運ぶ。


[[黒龍] 先生……鈍速すぎね?w]

[[大次郎先生] これでも、目一杯走ってる!]

[[大和] 見てて可哀そうになるドワ]

[[雷] ドワの宿命なのです……南無]


 遠目からでも見て分かるほど遅い先生が、余りにも可哀そうなだった。優しさから無言で、マジック オブ ウォーク(+25)を追加した。

 追加したところで、大して変っているようには見えないけどね。


 なんて事をやっている内に、魔法職の補充が終わり飛道具組と大和と雷が補給へ向かい戻ってくる頃、カリエンテの様子が一気に変化した。


 第三段階だろうと思える色合いになったカリエンテが、鱗の色が太陽を近くで撮影したような色合いに変化した――と同時に、例のスキルをカリエンテが使った。


『下かくれろ!』『バリア!』と叫ぶ黒とロゼの声が響く。


 一気にMAXから0になるHP――結果、残ったのは6PTのみだった。


『これは、やべーなw』

『撤退して仕切り直すか?』

『撤退したところで、多分次も同じだと思うよ?』

『確かにw』


 こうなった場合にとる手段としては二つ。

 ・撤退するか?

 ・継続して復帰を待つか? だ。

 

 先生の言う通り、撤退して仕切り直した所で一度目のスキル回避は難しいのではないだろうか? そうなると、選択するのは二つ目になる訳だが……。


 現在クランに加入している私たちと、ロゼ・白影のPT。それから、小春ちゃんのPTと雪継と千桜が、単体でのみ生き残っている状態である。


『一応聞くけど、ここにいる回復でバリア残ってるの誰?』

『ノ』

『ノ』

『チカと卑弥子だけ?』

『みたいだな……』

『三枚か……』


 黒がこのままタゲを持って、周囲を攻撃職で固めたとして、バリアが生きているのは†元親†と卑弥子、そして私だけ……。

 なんとか三回は耐えられる……メテオなら耐えられるはず。MP管理はシビアになるが頻度は低い。

 ならばヒードン フレア バーストのみバリアでカバーすれば、全員が復帰するまでの時間は稼げるかもしれない。

 そこまで考え、PTチャットで続行の意思を伝える。


『続行しよう。メテオにバリアは無し。

 範囲はあるはずだから、紙は走って避けて!

 ヒードン フレア バーストだけ、バリア入れて凌ごう。

 チカ>卑弥子>私の順で入れる。

 人数少ないけど、全力で行こう。出し惜しみなしで!』

『いいねぇ~。そう言うのワクワクするわw』

『やったるぜ~!』

『死者はすぐに復帰! ダッシュで戻れ!

 それまで俺らが凌ぐ……げるといいな……笑』

『ロゼ、回復2だったよね?』

『久しぶりであるw』

『そこは言いなおすなよwww』

『任せるでしゅ!』

『y』

『死なばもろともでござるよ!』

『はぁ~。仕方ないわね。頑張りましょうw』

『我はやるにゃー!』

『しゃーねーなw』

『なら、一人雪継と千桜のとこに入れて、二人だけで回避するのは流石にしんどいでしょ? 二人共近接だしw』

『わかった。夢、頼む』

『誘うわ』


 こうして、壊滅寸前の背水の陣が始まった――。


更新が遅くなり申し訳ありませんでした。

足をお運びいただきありがとうございます。


――追加情報――


2/5 118話 ゲーム仕様等の情報を追加しました。

2/5 100話 掲示板を追加しました。

2/5 52話~58話 グランドロール戦を移動しました。それにより、以降に閑話が移動しています。


後日になりますが、101部にもう1本掲示板を追加する予定です。

ご迷惑をおかけしますがどうぞ、ご理解よろしくおねがいします。

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― 新着の感想 ―
[一言] このピンチどう乗り切るのか気になりますね。 今までで一番ピンチかな?
2020/02/07 17:48 退会済み
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