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最強は壊滅を齎す①

 寝ていたところを兄に叩き起こされた。ぼーっとする頭で何かを必死に訴える兄に生返事を返し再び眠りについてすぐ……自分が設定した目覚ましに再び起こされた。

 

 あーだるい。昨日調子に乗って製本し過ぎた……。

 後の祭りと言う言葉を思い浮かべながら、シャワー、ご飯、おやつを済ませ病ゲーへログインする。

 

 ログインボタンを押す刹那、兄が何か言っていたな~と思いつつめんどくさいと切り捨てた。

 視界がブラックアウトすると同時に仮想キーボードでログインIDとパスワードを入力しログインボタンをタップすれば、クランハウスの自室で目が覚めた。


[[ティタ] トーナメント個人戦か~。

      職不問はrenの無双だし、職別で大人しく

      ポイント稼いでようかな]

[[キヨシ] ん~。いい加減お金をためよう……と思う!]

[[ren] ノ]

[[†元親†] キヨシ……それ遅いwww]

[[大和] renやっと来たー。部屋決めたよ~w]

[[大次郎先生] ノ ren。

       クラン庫のサンダー スピアの魔法書

       クラン資金用でいいの?]

[[黒龍] ティタ逃げは良くないぞ逃げは(笑]

[[ren] 大和>行く。先生>資金でいい]

[[さゆたん] その前に雪継たちの黒歴史でしゅwww]

[[宗乃助] 拙者も投具いくつかでござるが

     クラン資金用に入れたでござるよw]

[[宮様] 黒歴史……満足できなかったらやり直しって

    伝え損ねたわねぇ~w]

[[ゼン] こんばんわ~w]

[[ヒガキ] コーヒーの補充分どうしましょうか?]

[[鉄男] 部屋で黙々と代行やってると眠くなるわ―w]

[[白聖] 宮ネェが密談で伝えとけば解決じゃんw]

[[ミツルギ] ノっすw]

[[大次郎先生] ヒガキあり。貰いに行くw]


 いつも通り、とりとめの無いクラチャが流れ皆がログインしている事が分かる。大和に呼ばれ三階に登れば階段左の部屋を選んでいた。

 室内に入り壁際のタッチパネルで部屋の権限を大和に与える。


 そう言えば……大和の配属ってどこにしたんだろ?

 そう思い、クランのタブを開き一覧を見てみれば宮ネェの部隊に配属されていた。


[[ren] 大和。100M給付金でるから貰って

    代行なんかやるんだったらその施設も

    クラン資金から出るはずだから聞いてみて]

[[大次郎先生] そうだ。屋台の外装さ

       変えたいんだけどいい?

[[宮様] 大和、お金渡すわよ~w]

[[大和] さんきゅーw 彫刻持ってるから

     俺もスキル書なら作れるぞw]


 給付金の事を大和に伝え階段を降りる。

 とそこに、クラン屋台の見た目を変更したいと先生が言いだし宮ネェと二人、クラン資金に余裕が無いからダメと止めた。

 

 大和が彫刻を持っていたことで、スキル書を作る面倒が無くなったと安堵して、トーナメント戦の開始を待つ。


 毎週行われるトーナメント戦を戦い抜きひと月後に、全ての戦績ポイントの合計で職別で1位になれば、ボーナスとして500点加算されるらしい。

 自身は勿論のこと、クラメンならば少なからず上位には間違いなく喰い込むだろうと予想している。


 攻城戦のためと言うか、現状ボス討伐で獲得した70ポイントしかないクランポイントのため是非とも、皆には頑張って貰いたい。


 ダメだった時は、仕方が無いので耐久善悪の塔ボス狩りツアーをやろう。そう思考した。


[[ティタ] なんだろ、今凄い悪寒が走った!]

[[白聖] なんかやべぇ~の来るかも?]

[[さゆたん] どうしたでしゅか?]

[[ヒガキ] 本当に俺が作っていいんですか?]

[[宗乃助] 二人共、突然何かあったでござるか?]

[[キヨシ] 頼む! 成功してくれヒガキっ!!]

[[白聖] なんだこれ、すげー嫌な感じがする……]

[[黒龍] 二人同時に嫌な予感か? トーナメント戦

    気引き締めて行かないとだな!]

[[鉄男] 前にも似たような事があったような……]

[[ヒガキ] じゃぁ、行きますね?]

[[大和] ん~。あぁ、昔さーrenが耐久マラソンとか言って

    善悪走らされた時にも似たようなことあったねw]

[[†元親†] ガクガクブルブル]

[[キヨシ] おうよ! って、まさか装備の死亡フラグ?]

[[宮様] まさか、またrenがそんなことしないわよ~w]


 そんな会話がクラチャで流れているとはつゆほども考えていなかった私は、丁度のタイミングでサブキャラへとキャラチェンジをしていた。

 戻った私が見たものは、宮ネェのチャットのみ何の話をしていたのか不思議に思いながらも、まぁいいかと流し自室に戻ると製本を始めた。


 トーナメント戦開始まで約三時間、その時間を利用して自分のお小遣い稼ぎ用の魔法書を作る。今回選んだ魔法はフリーザー。

 トーナメント戦を見ていた三次魔法職のプレイヤーならば、欲しいと思っているはずだと読んでそれにしてみた。


 トーナメント戦開始30分前にアラームが鳴るよう設定して、羊皮紙とインク、ペンを用紙した状態でフリーザーの魔法を選択しタップして魔法陣を表示させる。そして、黙々と製本の作業を始めた。

 

 製本が残り二割で出来あがる所で、部屋の扉がノックされ集中が途切れる。誰だ。と思いながら扉へ近付き開ければティタが訪ねて来ていた。


「ごめん、ちょっといい?」

「うん」

 

 とても困った感じに見える表情のティタを室内に入れ、ソファーを勧める。ティタが座るのに合わせ、私も対面へと座った。


「で?」

「あのさ……」

「何?」

「実は、元クランの方からドラゴンレイドに来ないかって言う誘いがあって」

「うん。行って来れば?」

「いや、その俺一人じゃなくて……クラン皆でって言う話でさ」

「なる。参加条件は?」

「renがバフを回す事と、黒と大和がタゲを引くこと。

 取り分は折半で……って言ってる」

「バフを回すって、同盟を組むってこと?」

「うーん。なんかその場だけって言ってたけど。

 同盟ってその場で入って抜けるの無理だよね?」

「無理だね」

「やっぱそうだよね……」


 ティタにも言ったが、クランを出入りするのはその日でも可能で時間を置く必要はない。

 クラン自体を解散する場合は、リアルで一週間ほどの時間がかかる。

 同盟の場合、加入は即日でも可能。だが、脱退する場合もクラン解体と同じくリアル一週間と言う時間がかかる。


 誘って貰ったドラゴンレイドには行きたいとは思うが、同盟に入らなければならないと言うのが条件にある以上、私の一存では決められない。


「とりあえず、私の方から皆に聞いてみる。

 誘ってくれたクランはどこ?」

「白炎の十字架。マスターは心で、俺がお世話になってたとこ

 同盟の名前は、プラチナミスト。

 同盟のマスターは確かエンベロープのオリオンだよ」

「わかった。返事はいつまで?」

「早ければ再来週には行きたいらしいから、来週いっぱいまでによろしくって」

「了解」


 話を終えティタが退室した後、クラチャで宮ネェと先生を呼び出す。二人共作業中だったのか、少し待って欲しいと言う。

 手が空いた時でいいからと伝え、他のメンバーに密談で確認を取ってみればやはり引っかかるのは同盟のことらしい。


 やはり皆も同じように考える訳で……そんな中、さゆたんとシロだけがバフに必要な魔石代金などはどうなるか? そう聞いてきた。


 そう言えば結局曖昧なまま詰めた話を聞いていなかった。

 一人反省しつつ、ティタに問い合わせてみれば、ティタもまた聞いていないと急いで相手に連絡を取ってくれる。


 結果、あちらもバフ代金などは考えていなかったようで……参加するしないにかかわらず、同盟の方で確認を取ってから折り返し連絡を入れるそうだ。

 曖昧な状態で参加するかどうかを話し合うのもどうかとは思うが、皆の意見を纏めた結果、今のところうちとしては不参加の方向で話が進んでいた。


 密談で話せるメンバーと話し終え、宮ネェ・先生が到着するのを待つ間に雪継からの密談が入る。


”雪継” 何時からやればいい?

”ren” 5分後


”雪継” 最終確認だけど……マジでやるの?

”ren” y


”雪継” 分かったTT

”ren” 楽しみにしてる(はーと)


”雪継” こう言う時ばっか女の子ぶんじゃねーよ!


 女の子ぶってはいないつもりなんだけど……本当に楽しみだからそれを表現してみただけ。なのに……酷い言われようだ。

 まーそんなことはどうでもいいとまたまた、思考を切り替えクラチャで皆に雪継たちの断罪が5分後に始まると知らせた――。


足を運んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂いたならばで構いません。

ブックマークや感想などを頂けますと嬉しいです。


本日もう1話アップ予定です。

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