最強は夢想する⑭
【 水中の庭園 クラウディ フェアリー ロゥの分裂体 を討伐しました。 】
【 1252251 ゼルを獲得しました。 】
【 汚れた妖精の羽 を4枚獲得しました。 】
【 汚れたタンザナイト を5個獲得しました。 】
クラウディ フェアリー ロゥの分裂体を倒し終えてシステムログを見れば、切ないと思うような微々たるドロップが表示されていた。
正直な話、クラウディ フェアリー ロゥの分裂体を倒すぐらいならまだ、ダンシング マーメイドやマーマン、ルーサルカ、シーファング トードなどの方がマシだと言える。
ダンシング マーメイドからは、鱗とアクアマリンその他の宝石、それに極稀にだが洋裁に使える布が……。マーマンからは、砂金や砂銀、銅などの鉱物が出るし、他のモブも貝柄や牙を落とすからだ。
アレだけのスキルとMPを代償に倒したにしては……しょぼいと言わざるを得ない。
[[大次郎先生] 皆ごめん~。助かったよ]
[[ティタ] まー。仕方ないよw]
[[宮様] 死者出なかったし、次は気をつけましょうw]
[[さゆたん] ドロップがしょっぱいでしゅw]
[[白聖] もっと良いもの出せよ?w]
[[キヨシ] うはははw 気にしないでいいさ~w]
[[鉄男] ドロップがショボイ!]
[[黒龍] いつも以上に、しょぼいなー]
謝る先生の肩を叩き皆が慰めたところで、ドロップに目がいったらしいさゆたんと鉄男、黒がありえないと首を振った。
その気持ちは凄く良く分かるし、ショボイって言うのには同意する。
オーツの更新を確認して進み始めた私たちは、その後次々扉を開けモブを処理しつつ下層を目指し9階をウロついた。
扉をあける度隈なく部屋や通路を探すも、クエストアイテムである【 女神の宝冠 】が見つからない……。
やはり、ボスを倒さなければならないのかと思案するも、これまでやって来た代行のクエスト的にモブやボスを倒すと言う行為が無かった事を思い出し、それはないだろうと思った。
ではどこにあるのか……? 水中庭園と言う単語、スケッチ……うーん。これは調べる必要があるかもしれない
[[ren] ごめん。ちょっと休憩所行って欲しい]
[[†元親†] そう言えばさ~。
俺も彫刻やった時ここに来たわ―w]
[[大次郎先生] ren。どうした?]
[[ren] は? チカ彫刻持ってるの?]
[[宮様] 緊急なの?]
[[†元親†] おう。持ってるぞーw]
マジか……まさか、こんな傍に答えを知ってる奴がいるとは思わなかった! 驚きと初めから言えよと言う落胆にも似た突っ込みが脳内でひしめき合い微妙な気分になったところで、チカに【 女神の宝冠 】について聞いた。
「う、うそだ……」
チカの返事に私は両手を床に付き膝を折るとガックリと項垂れた。
ま、まさか…・…壊れたあの古い神殿にあるなんて……聞いてない! てか、ジョースイさん庭園っていったやないのおぉぉぉぉ!
[[ティタ] ちょっ! ren大丈夫?]
[[黒龍] あー。そりゃー凹むわなぁw]
[[ゼン] マスター元気出して下さい]
[[さゆたん] 可哀そうでしゅw]
[[宗乃助] どんまいでござるよ……w]
[[白聖] まー、あれだイキロ?w]
[[鉄男] ウケルw]
[[ヒガキ] 落ち込まないで下さい]
[[キヨシ] 最初から教えてやればよかったのにww]
[[大次郎先生] と、とりあえず……。
ここで止まると危ないから進もうか]
[[†元親†] え? ren彫刻の代行やってんの?]
[[ミツルギ] そ、そうっすねw]
[[宮様] 進みましょうかw]
励ましてくれる皆のチャットを余所に、初耳と言わんばかりのチカ。
そんなチカに「お前は何を聞いてたんだ」と言う黒の突っ込みが入ったかと思えば、さゆたんがボソっと「ミックスジュース再来でしゅ」と言った。
流石に、この程度でキレたりはしない……しないけど、切ない。
この気持ちをひと文字で表すのならば「無」だった。
引き攣る顔で先生と宮ネェが私を立たせると先に進んだ。ここに無いと分かっただけ良しとしようと気持ちを切り替えようと思うも、殺意を覚えチカを睨みつけた。
そんな私の視線を物ともせず、チカは朗らかに「そういうこともあるさ~w」と笑う。
順調に素材集めのための狩りが進み、ヒガキさんゼンさんが狩りに参加できるようになった頃、漸くフロア最深部の中ボス手前まで辿り着いた。
既に十分な素材を集めていた私たちは、ボスを倒して狩りを終わりにしようと話し合う。
帰還するためのポータルの目の前にある魔法陣の形に添うよう囲む柱。
その中央に陣取るボスを眺め、ボスに関するアレコレを思い出すよう記憶をあさる。
確かこのボスの名前は、カスケード ドート。
蛙の滝なのか滝の蛙なのかは不明だが、見た目は青い水が蛙の形を取り、身体に入った模様の部分は岩が嵌っている。顔にある赤い目がキョロキョロ動き異様に目立つ。
通常時の特徴としては、良く飛び跳ねる事と物理攻撃が効かない事。物理が効かないので、魔法とスキルのみでしかダメージを与えられない。
攻撃の特徴としては、蛙らしくその伸びる舌での打撃とアクアボールを連発して飛ばして来ることと、その身体の液体を飛ばし痺れのデバフを与える事ぐらいだろうか?
後覚えているのは、残りHPの四割を切ったところで、魔法とスキルが効かないバフを自身にかけ、物理攻撃以外ではダメージが与えられなくなる事ぐらいだろう。
他にも何か重要なことがあったと思うが、思いだせない……まぁ、思いだした時に対処すればいいか……。
[[ren] バフ。オーツ更新忘れないように]
[[黒龍] こいつって、討伐に時間かけると
雑魚呼ぶんだっけか?]
[[大次郎先生] オーツ了解]
[[ミツルギ] そうっす。雑魚呼ぶっすよ
爆発するおたまじゃくしっすねw]
[[宮様] あぁ! あったわねぇ~そう言う攻撃w]
[[ティタ] オタマジャクシ優先?]
[[ミツルギ] 確か……黒と青が居て、黒は物理以外
だと爆発するっす。
青は、魔法以外だと爆発っすねw]
[[ゼン] 難しい狩り場ですね……汗]
[[ティタ] あぁ~。あったw
赤が確か攻撃禁止だよね?]
[[ミツルギ] そうっすね。赤放置っす。
攻撃すると爆発するんで……]
[[キヨシ] あー。順番もあったなーw
黒>青>赤? だったっけ?]
[[さゆたん] そういうのあったでしゅねw]
[[ミツルギ] そうっすねw]
[[大次郎先生] オタマジャクシの件は
皆間違えないように覚えておいてw]
バフをかける私は、自分が思いだせなかった事についてを語ってくれたミツルギさんに感謝した。
言われてはじめて思いだしたのだが、このボスはHPの割合と時間経過に応じて爆弾と言う名のオタマジャクシを放出。
放出されたオタマジャクシには色が三色ついていて、青は魔法以外。黒は物理以外。赤は攻撃することで爆発する。
それ以外にも、オタマジャクシには倒す順番があって、黒、青、赤(勝手に消える)の順で倒さなければ、同時に全部のオタマジャクシが爆発して全員がダメージを食らう事になってしまう。
バフをかけ終え脳内で復習を終えた私に黒が視線をよこす。終わったと言う意味で頷けば「いくぞ」と言う声と同時に黒が、飛び出しボスに対しヘイトを入れた。それに続くように、全員がボスの立つ魔法陣へと入る。
それを待っていたかのようにボスが動き出し、周囲に立つ柱が出入り口を塞ぐよう重なり倒れボス戦がはじまった――。
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