最強は夢想する①
漸くキヨシ用のメテオストライク魔法書を書きあげ終え、机の上に突っ伏した。
流石にゲーム内でも、徹夜に近い状態で書いていたため眠い。
ボーっとする視界に目を閉じれば、余裕で意識が飛びそうになるぐらいヤバい。
はぁ……いい加減、落ちて寝よう。
そう考え、机から立ち上がり重い身体を引き摺ってベットに移動した。
お気に入りのベットに横になりある事に気付く。
魔法書を書くのに集中していたせいか、いつの間にか新着メールが届いていたようだ。
あー。だるい今日はもう放置?
でもやっぱり、こう言うのは今日の内に終わらせるべき。
そう思い直し、点灯するメールのマークをタップした。
開かれたメール。
【 ビューティフルライク 運営 GM橋幸 】
「GM……ね」
件名には、先日私が問い合わせした。
【 トーナメント戦についてのお問い合わせについて 】
こう言った問い合わせは毎度おなじみテンプレだろう。
そう思いながらも、開いたメールの内容はやっぱりテンプレで……。
疲れから最後まで読むことなく閉じるボタンをポチる。
そのまま指先を、ログアウトのボタンに移動させログアウトした。
寝起き早々、爆発した髪をとかす事無く病ゲーの公式を開く。
特別ページで大きく ”12/23 四次職アップデート!” と、明記されたそれの詳細を食いいるように見た。
その中には、クリスマスイベントからの年末年始イベントの告知。それから、大型アップデートの告知が掲載されているだけで……。
四次職に関する情報と言えば、新しいサブクラスの職が出来る事のみが書かれていた。
どうやら、日が近付くにつれ公開するようだ。
より詳しい詳細は、12月にならなければ公開はされない様子にもどかしさを感じる。
「うーん……一気に公開すればいいのに……」
公開まで待つしかないか……。ま、仕方ないよね。
そう気持ちを切り替え、ついでに鉄男の言う代行の件を調べた。
未だ検証した人はいないようだが、夢のある話だしやってみるよう。
腹を括った所で、代行の修業をする順番を思考し始めた。
既に覚えてる製本は、除外するとして……。鑑定、彫刻、解読か……。
鑑定は、以前行ったキヨシ曰く鉄腕○トムの博士のようなNPCだったはず。
解読は、アテナの大図書館にいるNPCで、彫刻は……どこだ? ついでだし、ネットで調べてからログインしようと調べてみれば、【 ミューズ 】 にある骨董品店だった。
とにかく、時間かかるものは後にして……うーん。順番的には、鑑定、解読、彫刻の順で行くべきかな。
順番を決め、最初に必要なモノを調べる。
最初の内はお使いクエストの様なものばかりなので、持っていける物は先に脳内メモに記憶してログイン後すぐに用意しておくことにした。
「よし、ログインしよう」
まずは、【 アテナ 】に向かうべく病ゲーにログインする。
ハウス内の自室のベットの上で目覚めた私は、クラン倉庫にキヨシ用の魔法書:メテオストライクを入れて、自分の倉庫内から必要になるものを取り出した。
それと同時に、クラチャに挨拶とキヨシに向け伝言を流す。
[[ミツルギ] 俺も雷はやりますけど。
他には雷と氷で強撃とかですかね?]
[[ren] ノ キヨシ居るなら、クラン庫に魔法書入れてある]
[[宗乃助] そうでござるな。
ミツルギはどれ位スキルつなげるでござるか?]
[[†元親†] ren。おそよ~w]
[[ゼン] こんばんわ~w]
[[キヨシ] 後で貰う~w]
[[鉄男] よっす]
キヨシにも伝えられたし良しかな。宗乃助は未だ、悩んでいるようだ。協力できる事はしようと思いつつ、執事に話しかけ【 ヘラ 】のポータル側に移動する。
その後【 アテナ 】へと移動し終え、例のNPCの元に歩いて向かった。
相変わらずの見た目に、密かに笑い。作業中らしい彼に対し話しかけウィンドウに表示された項目の中から、”鑑定を覚える” と言う項目を選びタップして弟子入りした。
最初にやらされたのは、未鑑定のポーションを持って来る事だ。既に準備済みだった自分で作った未鑑定ポーションを彼に渡す。
次にやれと言われたのはそのポーションが何かを正確に言い当てる事だ。
自分で持って来たポーションを鑑定することからはじめるらしい。
それが何かは、取り出した時点でわかっているのだが、未鑑定のものだろうと鑑定済みだろうと、劣化>普通>高級の順で並ぶ。
少しだけズルをした気分になるが、ここは時間が惜しいので正解である劣化したマナポーションをタップする。
その後も、草やら水晶やらを持って来るお使いクエストを棒立ちで行い鑑定する作業が続いた。予想より大分楽な弟子入りだ。
そう思っていたのも束の間、博士――と命名したおっさんが出す問題の難易度が急にあがった。
彼が出した三つの物。一つ目、何かの骨。二つ目、何かの液体。三つ目、どこかで拾った石ころ……。
「二個目は知ってる……このグロイ色合いと見た目は目玉の体液だ。後は……なんだこれ?」
うーん。これは調べるしかなさそうだ。博士に質問してヒントを貰う。ヒント貰う度に、食べ物要求するのはどうなんだろうか? しかも、渡す食べ物によって、ヒントの程度を決めると言う鬼畜な所業をしてみせる博士。
「うざっ!」
仕方なく、大量買いしていたお気に入りのお好み焼きを博士に渡しヒントを貰った。
一つ目のヒントは、太古の孤島にある草原に住む爬虫類の骨。
二つ目のヒントは、ヘパイストス南の火山。
博士は、そう言うと作業に戻った。
渡したお好み焼きは何処に行ったんだ! と言う突っ込みよりも先に、なんで太古の孤島……なんだと言う突っ込みの方が先に出た。
太古の孤島とは、私たちが生活圏にしているヘラを始め、各女神の名を冠する城下街とニンフの名がつけられた町を本土とするならば、本土にあるテティスから出ている定期船に乗り、片道リアル2時間かけて向かう島だ。
島の広さは、島の隅々までぐるりと回ってモブの処理をしないで、徒歩2時間ちょっと位とそこまで広くは無い。
太古と付いているので原住民のようなNPCの村に近い物が一つあるだけで、他は全て狩り場になっている。
湧くモブは、恐竜や巨大な変異植物が主なのだが……極稀に湧く、中ボスのケンタウロスが非常にウザイ狩り場だ。
そのケンタウロスが湧くとされているのが草原で――。
もしかして、この骨それじゃないか? と思いながらも、博士に話しかけようと手を伸ばしたところで、手が止まった。
そう言えば、代行の弟子入りは一度失敗すると全てが、やり直しになる。
「はぁ、面倒だけど行くしかないか。定期船の時間調べて、余裕ありそうなら先にヘパイストスの方行こう……」
マジで、これで代行覚えてもなんの意味も無かったら切ないだけだな……。その時は腹いせに鉄男に何かしてやろう。
そう悪巧みしながら、誰か暇な奴は居ないかと……クラチャを開けば、丁度ご飯時らしく出たり入ったりと言った感じの会話が目立った。
[[ヒガキ] こんばんわ~]
[[ティタ] ノン]
[[さゆたん] ご飯行って来るでしゅ~w]
[[宮様] 戻り~w]
[[黒龍] 俺も飯落ち]
[[白聖] ren~。暇か?]
[[大次郎先生] おかw こんばんわw]
[[キヨシ] ゼン。ヒガキ来たから一回補充に戻ろうぜw]
[[ren] 暇ではないけど、どうしたの?]
[[鉄男] 俺も飯~]
[[†元親†] たでーまーw]
[[白聖] いや、ちょい相談つーか……ねw
まぁ、部屋行くからそこでw]
[[ティタ] キヨシが、部隊長の仕事してる!ww]
突然どうしたのだろうか? 歯切れの悪いシロのチャットに対して、密談で少し待ってくれと伝える。
ハウスに戻る前に、テティスの船着き場へ赴き定期船の時間を確認した。
次の時間には間に合いそうもないので、その次……ボスタイムと被る。
ボスは食べたい、私の収入源が今ボスしかない……うーん。
色々と悩み唸りながら、とりあえずシロを待たせている事だし、後で考る事にして船の出る時間のSSを撮影してハウスに戻った――。
足を運んで頂きありがとうございます。
本日もう1話アップすると思います……筆がのれば(ぉぃ




