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最強は覇者を志す㉙ PT戦@少数

 ティタとのタイマンにやる気とトキメキ全開の私は、顔を緩めながらティタの剣を身体を左に捻りつついなし右手に持つオニキリの刃を横一文字に斬り付ける。

 鈍い音と手応えに舌打ちして、左から流れてくる剣を左手のオニマルクニツナで受け止めた。


「……バフなのに……強すぎでしょw」


 ティタの漏らした言葉に、ニヤっと口角をあげ答える。

 それと同時に刀を押し出すよう反動を付け手前に目一杯突き出した。その反動を利用するようティタの右手の剣が頬を掠め、僅かにダメージ痕である赤いエフェクトを表示させた。

 

 ニっと笑うティタ。

 お返しに、至近距離でドラゴン オブ ブレスを詠唱破棄で発動させる。

 ブレス オブ アローだと思いこんだティタが、その身体を横に逸らし避けるも私が使ったのは範囲魔法だった為、(もろ)にその魔法をくらい後方へと吹き飛んだ。


[[†元親†] ぎゃああああああああ]

『よし、チカend』

『先生いくでござるよ』

『ひゃっはーww』

[[キヨシ] 甘いぜw]

『ren、ティタもうちょい押さえといてw』

『うぃ』


 ティタに詰め寄る間に、視界右端で赤いエフェクトに包まれたチカが弾け飛ぶ。

 あの弾け飛ぶ感じは多分だが、キヨシのフレアー バースト――遠距離魔法職二次で習得できる魔法。火属性の魔法で攻撃相手単体に炎を圧縮しその勢いで吹き飛ばす――が炸裂(さくれつ)したのだろうと思う。


 クラチャとPTチャでドヤと発言するような調子のキヨシを、クラチャでもPTチャでもスルーするかのように会話を交わした。

 宗乃助たちが、先生の処理を終えれば残りはティタのみだ。出来るだけそれまでに、ティタとの勝負を付けてしまいたいところではあるが、これが中々難しい。


 吹っ飛んだティタとの距離を詰めながら、今後の攻防を想像しつつその対応を思考する。

 立ち上がり頭を振るティタが、右手の剣を正面、左手の剣を腰のあたりに構え走りよる私に集中した顔をする。

 ティタのHPは残り7割、それでも私より1000~2000ほどは多いだろう。


 走りながらも、残り5メートルのところで息を吐き出し、オニキリ×オニマルクニツナを+29 ムラクモ×オバハリに変更した。

 既にデバフは入れてある。ここで武器を変更する方がいいだろう。オニキリ×クニツナには、未だ精錬がついていない。

 その事を踏まえれば、ムラクモ×オバハリの方が精錬がついている分使いやすいだろう。


 ジリジリと互いに距離を詰めつつ、攻撃するタイミングを計る。

 吹き飛ぶキヨシの音声が上がり、それを合図にしたようにティタが前のめりに一気に距離を詰め斬りかかる。

 その刀身には緑の風を現すエフェクトが巻きついている。


「チッ」


 上から斬り付けるティタの剣を、二本の刀を×にする事で受け止め弾き飛ばす。

 金属がぶつかる耳触りのいい音が鳴るのと同時に、水音が鳴った。泥濘(ぬかるみ)に足を取られいつもは感じない両足に重みを感じる。

 その重みはきっと私だけではない。ティタも同じはずだ。


 弾き飛ばされたことで数歩離れたティタに跳躍することで詰め寄る。

 大きく目を見開いたティタの顔を視界に収めつつ、着地すると同時に勢いのまま右手の刀を肩から腰へ掛けて、左手の刀を腰から肩にかけて同時に振り抜き反撃する。


 右手の刀の方しか見えていなかったらしいティタは、双剣で右手の刀を止めた。

 だが、左手の刀は既にその身体に食い込み深く突き刺さると、私の思い描いた通りの軌道を描きその証たる赤いエフェクトを彼の身体に刻んだ。


「くそっ!」


 悔しそうな表情を浮かべたティタが、何かを確認するように視線をほんの少しだけ私から外す。

 この至近距離で私から視線を外すとは……まだまだ甘い。

 ティタが気にしたのは、きっと先生だろう。とは思いながらも、そちらは放置する。


 私が今やるべきことは、この一瞬の隙に強打をティタに叩き込む事だ。

 思考を終える前に、当然のごとく二刀のスキル:アマギリを発動させた。

 

 白い靄が、ティタの周囲を包み込む。徐々にそれは糸よりも細い小雨となり降りはじめる。

 白いエフェクトが、青色へと変わり糸よりも細い雨は透き通った青い刀身へと変わった。それと同時に刀身がティタの頭上から降り注ぎその身体へと突き刺さった。


 アマギリだけでは、ティタは倒れないと踏んでティタの頭上から刀身が降ると同時に、スキル:一閃も使う。


 一度刀を鞘に戻し、柄頭を握りつつ重心を前に倒す。

 身体の力を抜き大きく息を吸い込んだ刹那、鞘から刀身が抜き取られると柄頭を握ったままの右手が一文字を書くよう振り抜かれる。

 キンッと鋼を叩いたような音が鳴り、紫のエフェクトがその振り抜かれた刀の軌道を辿るように残されていた。


 視線だけを右端に向けティタの残りHPを見れば残り1割。

 距離を取るよう離れるティタとの距離を詰めながら、倒し切れなかったと次の手を考えていた私の右前方から、雷を纏ったオリハルコン アローが当然のようにティタの身体を貫いた。


 かと思えば、ティタの背後に黒い霧のようなエフェクトが上がり、実に楽しそうな宗乃助の顔がそこに現れた。

 宗乃助の短刀が黄色のエフェクトを巻き付けティタの背中を切り刻む。

 それと同時に、左後方から鋭利な氷の塊がその身体に叩き込まれた。


「うっ……」


 呻くような言葉を残りティタが倒れる。

 ブザー音が湿地帯に鳴り響き【 Bチーム win 】と頭上に表示された。


『よっしゃああああああ!』

『なんとかなったでござるなw』

『おつかれw』

『おつ』


 倒れたティタを見つめながら、PTチャットで労い合う。

 凄くいいタイミングで矢を打ち込んでくれたシロ、シレっと私を囮に最大限自分の職を優位にする宗乃助、きっちり言いつけを守り隠れて最後まで攻撃したキヨシ。適当に組んだ割には、中々にいい構成だったと思う。


「おつかれ」

「やっぱ、強いね。対人用の装備強化頑張らないとなw」

「おつでござるよ。ティタは十分に強いと思うでござるよw」

「renが異常なだけだろw」

「うちのマスターは最強だからなーw」

「ラスボスでござるなww」

「いつか倒したいw」

「タイマンならいつでも」


 戦ったティタたちへ白チャで労いの言葉をかければ、やっぱり悔しかったようにティタは白チャで言葉を発し、それを聞いた宗乃助が十分だと言う。

 ゆっくり歩いて茂みから出て来たシロが私を異常者にすれば、キヨシと宗乃助もそれに乗る。


 ブラックアウトする刹那、ティタから倒す宣言されたので、いつでも受けて立つと答え街に戻った。


[[さゆたん] いい戦いだったでしゅw]

[[宮様] ティタやっぱり、強くなってるわよね~]

[[黒龍] だな。俺も負けてられね―w]

[[キヨシ] 勝ったぜ―!]

[[大次郎先生] あの場所はダメだな……やり難いw]

[[†元親†] 先生足遅いもんなw]

[[白聖] 湿地帯、俺は好きだけど……隠れやすいしw]

[[ティタ] 悔しい!! あぁ、どうやったら勝てるの?w]

[[ヒガキ] 凄かったです]

[[黒龍] 先生鈍足なのに更に遅くなる場所、選んじゃだめだろww]

[[ゼン] ダメージ凄かったですw]

[[†元親†] 黒の言う通りだーwww]

[[宗乃助] 楽しかったでござるw]

[[さゆたん] 宗乃助の動きがもう超人化してたでしゅ]

[[宮様] ティタ。十分戦えてたわよ?]

[[大次郎先生] うん。renとタイマンで生き残ったんだから良しだw]


 時間的にはさっきのがラストだろうとは思いながらも、装備の耐久と補充を済ませにいく。どうせこの後、チカとキヨシが狩りに連れて行けと騒ぐだろうと考えたからだ。

 そこまで考え、そう言えばと思いだす。


[[ren] トーナメント終わりっぽいし、ハウス行く?]


 クラチャで思い出した内容を流せば、全員()()「行く」と返して来る。本当に楽しみにしていたらしい。

 以前購入していたことがあるため、その仕様を思い起こすよう記憶を漁り思い出す。


 クランハウス内の改装は、部屋ごとに出来る。

 が、マスターである私にその権限があり、部屋ごとに権限を譲渡しない限り個人の部屋であっても室内の改装が出来ない。

 そのためまずは部屋割を決め、各々に権限を譲渡する必要がある。


 さっさと面倒な作業を済ませるためクラチャで【 ヘラ 】に集合と言い渡し、とりあえず雑貨屋と倉庫、鍛冶屋を経由してポータルに向かった。


足を運んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] renやっぱり強かったですね。 戻ってこの後皆がどう行動するのか楽しみです。
2019/12/04 17:59 退会済み
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