《コラム》機動甲冑『エールザイレン』
機動甲冑『エールザイレン』
魔術属性:嵐(火+風)
頭頂高:推定18フィート(※原器が存在しないため参考値)
総重量:不明
主動力:ニュートロンエンジン
搭乗者:不明
装甲材:超高温処理鉄鋼材+ウーツ鋼
概要:
夜戦強襲型機動甲冑。
ルナティア王国南部に広がるテッサリア地方。
『テッサリアの駿馬』と謳われた、イメルダ・マルキウスが統治する領内にて採掘された機動甲冑は、王都にて保有する機動甲冑と遜色ない形で発見された。
黒を基調とし、闇夜に溶け込む色彩は禍々しくも、しかし威風堂々とした佇まいを持つ。
全体的な特徴として王都で保有、運用するエールセルジーと外観での共通点が見られる点などから姉妹機、あるいは後継機、発展機などの関係があるのでは、とされるが詳細は不明。
後にイメルダ戦役と呼ばれる戦争の開戦前夜、王国の保有する機動甲冑サイフィリオンとカルディツァ-テッサリア間の『国境線』沿いの荒野にて偶発的な戦闘が発生。
サイフィリオン正規操者オクタウィア・クラウディアの報告により、テッサリアが本機を運用していることが判明する。
十全な整備体制を持ち、運用経験の蓄積のある王都側のサイフィリオンに対し、技術や経験、整備体制で劣るテッサリア側は本機の運用に関し、操者による強制的な全力稼働を行うことで五分以上の戦闘を可能とした。
この戦闘では、サイフィリオン操者であるオクタウィアの扱う魔術属性が本機に対し極めて相性が悪かった点も優位に立てた要因であったと言える。
テッサリアは本機の運用に関し、すでに十分な運用経験を持つ王都アルス・マグナに間諜を送り込み、技術盗用を行ったと言われる。
その理由として挙げられる最大の要因は、機動甲冑と操者をつなぐ鍵剣に関してだと考えられる。
鍵剣は極めて高度な魔術式と高純度の天然石を加工することで作られ、それ自体が至宝とも言える技術の結晶である。それだけに資源や資金はともかくとして、地方豪族程度の持つ人材で完成させることは実質的に不可能であるからだ。
武装:
テッサリア製機動甲冑用ロングソード
・サイフィリオン・リナーシメント
機動甲冑サイフィリオンの失われた兵装を再現するためにアルス・マグナにて持ち上がった計画である。
現状で十分な戦闘能力を保有する空の機動甲冑サイフィリオンであるが、その本来の姿を取り戻すことで更なる性能向上を目指す物である。
具体的には発泡処理のなされたウーツ鋼製へ装甲材の換装、背面大型増速器の再生産、その他各種武装の再現が計画の要である。
装甲材の加工及び特殊処理に関しては目処が立ちつつあるが、背面大型増速器に関しては現在の技術では想定される出力に届かない可能性が示唆されている。
また、同時並行で進められる武装の再現も素材となる部材の調達が現在では希少と言うこともあり足踏みを強いられている。
仮に本計画の完遂に至った場合、サイフィリオンの運動性と機動力は大幅に向上することは確実であり、戦略的な意味合いが変わってくると見込まれている。それだけにアルス・マグナでは急務と言える物だろう。
・光子剣
機動甲冑エールセルジーが氷嵐竜との戦闘で放った光の剣。
資格者カロルス・アントニウスは彼の知る伝承になぞらえ『デュランダル』と呼称していた。
曰く『強き炎』とも解される剣の名と同じく、数万数億の松明よりも光り輝く光の剣は、後に総ての機動甲冑が標準的に備えた攻撃手段であることが判明する。
大気中の粒子を収集圧縮。強制的に波数の向きを書き換え、総てを光子に変換したものであろうと推定されるが、その詳細な原理に関しては未だ解明に至ってはいない。
起動には一時的ではあるが、機動甲冑内のニュートロンエンジンを全力運転を超え、全開運転することが求められる。
この際、機体内部の魔力量は本体の耐久力限界近い数値に達するため、極めて危険な状態である。
生成された莫大な魔力はその殆どが刃の形成及び収束に充てられ、発動後には機能停止にまで追い込まれる可能性が高く、文字通り捨て身の一手である。
多大な代償を払うだけの価値は十分にあり、その一撃は伝承に謳われる竜を絶命足らしめたことからも明らかである。
しかしながら、最大の問題点として発動前段階で機体の暴走あるいは破壊された場合、機体内で胎動した魔力が周囲に飛散、伝播することにある。
仮にバルティカ街道付近で発動に失敗した場合、暴走した魔力が龍脈に伝播し大陸全土に波及。最悪の場合ルナティアだけではなく大陸全土を巻き込む瞬間的な破局を迎える可能性を秘めている。
そのため、現在ルナティアでは全面的な使用禁止が全ての資格者に厳命されている。




