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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

柳君はモテない

作者: 柳君はモテない

昔書いた駄文でもすき


 小説。


 これは僕の物語…でも誰かの物語かも知れない…。僕は僕以外の何者でもなくて…でも本当にそれだけだろうか。これは高校生の特有の悩みだって…ナイス30sになった僕にとっては黒く塗りつぶされた思い出したくもない過去かも知れない、けどそれでいいと思う、どこか滑稽な僕の憂鬱の物語。


 僕の名前は柳とでもしておこう高校に進学し、僕はただ漠然とした不安が原因で不登校というか、欠課魔になったわけで…。


 「柳さん、次行こうか?」


白い光の向こうから、声が聞こえる、保健の先生の声だ。


「まじっすかぁ…」そう答えてゆっくりと、体をベットから起こした…。確かに今日は学校にいるしかも、途中まで授業に出てた、俺偉くね?いや違うか…欠課魔だしな。


授業中寝てたって授業に出れば、欠課はつかない、でも出る気がしないって言うか、教室にいたくないっていうか、これもなんだか漠然とした理由で保健室にいることが多くなった。それでも一二年のうちは計算どおり補充に遭わずに逃げおおせることができた。理系の友達ってガチでありがたいね。去年とその前の年はやつが作ってくれたスケジュールどおりに休んだ結果、欠課はついたものの、助かったわけで…じゃなんで今年補充がついたかというと、そいつが飛び級で大学に行ってしまったからなのだ。なぜ裏切ったし…。まぁ俺は高校においていかれたわけで…。


「先生、今何時間目ですか?」


「三時間目、次英語じゃなかったけっか。」


「ですね~…いかないと、欠課たまるし、担任に怒られるし…いきます」


「じゃ、張り切って言ってらっしゃい、はい、これね、書いておいたから担当の先生に渡してね、まーここまでこれたんだから、いいじゃない、がんばって。」


 保健の先生から保健室にいた証明書のようなものを受け取って重い足で、担当教諭のもとに向かう…欝だ、でも実際ガチで病気なんだけどね(笑)。


 廊下で先生に出くわす、自分なりの笑顔で挨拶をする。お前欠課魔のくせにそんなタイプかよと古典の先生には突っ込まれたが昔から大人には褒められたいのだ、その分大人を信用するところもあるし、ある種大人からの信頼を命綱に利用してきた面もある。


 ちょっと前はきつすぎて、挨拶もできなかったことを考えれば今飲んでる薬の成果はすばらしいものがあるだろう。そう思う。本格的に学校を休み始めた二年の終わりは卒業させてもらえそうもなかったけど、バレンタインあたりで持ち返したし、三年の一学期はほぼ保健室の住人だったけど、今は学校来てるし、学年末も無事こなしたわけで、後は補充とセンターと一般を待つ受験生ってことになる。


 じゃ、勉強してんのって言われると…できると思いますかあなたは。できませんよ、しかも通院の都合があるから県内ですよ、まーレヴェルがね、問題ですから。


 欠課で済んでるうちはそこまでじゃなかったけど、休むようになって、成績も模試の内容も格段に悪くなった。まー当然なんですけどね。それまではちょっと厳しいくらいの進路も考えてたけど、ここまで転がったら、入れてくれるところに入るしかないでしょ。


「先生、お仕事中すいません。35の柳ですけど…」


「歩きながら、しゃべるなー。なんだぁまた保健室か。まだ調子悪いのか、大丈夫かセンターは、あと一ヶ月じゃないか。」


「いや、段々よくなって、来てます。たぶん、センターも受けられると思います。」


「はい、わかりました。じゃ、本とお前気をつけろよ。もう吉田はいないんだからな。」


「はい。じゃ、失礼します。」


 はい。頑張ります。大人の前だとなぜだかいい子でいたくなる。だめな子ほどかわいいってことを自分でもしらないうちに実行しているのかもしれない。これは大人を利用してるってことだろうか。僕だって人間である、その人がただ怒りに任せて自分をなじっているのか、そこに愛がこめられているのかぐらいは判断つくつもりだ。でもこの世にある愛情って奴がいまいち理解できないのもまた事実だったりするわけで。


ちょっと昔話をしましょうか。聞いてくれます?


 教室の雑踏の中に足を踏みいれる。空気が生ぬるい、それに肩にずしっとくる。教室の後ろのほうではしゃぐ女の子たちの奇声にも似た歓声が頭にガンガンと響いてくる。僕はいつものように、手を前で組んでうつぶせた。あたまがしっくりくるまでなんども手を組み返す。号令がかかった遠くで英語の授業が始まったらしい。あたまの中に白いものが広がって僕はまどろみのなかに落ちていく…。


ちっとも頭に入らない数式の板書とピントの多少ずれたような現実から目を背けてうつぶせになって目を閉じた遠い向こうの世界からかすかに数式を読む先生の声が聞こえてくる。数学?ああそうか数学か。


「センセー、計算みると熱が出るンで保健室行っていいすか?」


「中間テスト間に合うのその調子でサァ?欠課は単位響くから、毎回言うけど分かってるよね?言っとくけど、あんた、そうでなくてもⅠAの時からできないんだからⅡBになってその調子でついていけるとでも思ってんの?二学期に微分積分はいるのよ?大丈夫?」


「ま、いいや、やる気ないもんね。」「先生ないのはやる気ではなく、数学を理解する能力で…」


それを言い終わるか、終わらないかの一瞬に、背後に北棟の全ての教室に響き渡るかのような轟音をくらい廊下にたたき出され―…・・・。(んまぁそんなことは現実に起こるはずはないけど)と、そのタイミングで終礼を促す福音がクラスに響いた。すると、こいつは虚無感の右フックを俺の頬に食らわせて一気に数学の授業へ引き戻した。いつの間にか眠り込んでいたらしい。


 「じゃ、写し終わった人から終わってね」先生がまず雑踏をぬけだす。


ぐしゃぐしゃと動き出した教室の雑踏の中を、俺は最短距離で抜け出そうともがきだす。


そうやって、教室を抜け出すと、気づけば窓のそとを眺めていた。


 窓の外には春が広がり毎日風が吹き渡るたびにこの額のなかの景色は初夏へと彩を変えていくのだ。


『こんな綺麗だったんだな~、去年は気がつかなかった』そんなふうに真っ白な頭のなかに春を映していると、遠くのほうから聞き覚えのある笑い声が、からっぽの胸にことりと音をたてて落ちてきた。


廊下を窓際に歩いていく。女子高生といわんばかりのスカートの集団のなかに、その面影があった。満開のさくらの香りを運ぶ風が新しい環境で浮き足立った心を刺激するせいなのかそれともただ単に俺が変態なだけなのか、目の前を過ぎる横顔にずきっと胸に小さな針が、刺さる。


あの子はどんどん先へゆく、もともと少し遠くに感じた存在。それが今では同じ軸上にすらないように感じる。その感覚が、虚無感に支配された心の奥に少し残った自尊心をぐいぐいと攻め立てる。「何故?」分かりきった答えを孕んだその問いかけが、考えることを投げ出した頭をますます混乱させていく。


 軽い吐き気を覚えた気がして、にごった大気を吸い込むと小さなため息をついてみた。


 体育がタルイ…。かったるい…。音楽を聞こうが、漫画を読もうが胸の奥の虚無感の広がりを到底押さえることはできそうにない。頭が痛い…。雨が降るのかもしれない。


窓のそとに、空を見上げる。ねずみ色の雲が広がる。やっぱり降るのかもしれない、天気予報を見てくれば良かったか、いや折りたたみが、バックのそこに放置してある。なんとかなる。梅雨は嫌いだ頭が重くなる…。


 「今日はどうしてこんなに早いの?」隣でハンドルを握る母の声に多少には若干イラつきが混ざったように聞こえた。


 「息子の声には耳を傾けて欲しいな、数学の追試…。」(親子のコミニュケーションが不足すると、かぁさん…。子供が歪むんだってよ?僕みたいに。二ユースでやってたよ)


 「昨日も、言ったと思うだけどナ~。」


「おねがいだか勉強してよ、いつも人のせいにするじゃない…送り迎えだってすごく負担なのよ、あなたと兄ちゃんどちらかでもしゃんとして?もう高2なのよ、お兄ちゃんのほうがはるかにしっかりしてるわ。」


 俺は、この登校までの5~10分の間に母の小言を受け止める義務をおっている。これと引き換えに自力ではない自家用車での登校が許されているのだ。罪には罰…権利には義務


それと似たようなものかもしれない。


 「かぁさん~俺には携帯なしなの結局。買ってほしんだけど、必要だから。」


高2にもなって携帯なしはかなりの少数派であることは間違いない。そこまでの必要性を感じるのかと聞かれればたしかに疑問符が浮かぶ。それでも、あったほうが便利な訳で…。


通常うちの学校で携帯の電源を入れていることは校則違反となっている。携帯を持たない俺は、この校則に抵触することはありえない。そして、授業中に携帯がなってとりあげられるなんて不幸にも遭遇することもない。これが俺の現実なわけで、これを前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるかは俺の人間関係に偏ってくる。メールを送っても三日も放置されるくらいなら、携帯なんて持たないほうがましだ。ちくしょう。


 「だめよ、前科があるから、お兄ちゃんの携帯でも、お父さんの携帯でも。一万円ってどうゆうことよ、あなたが使うまで、あの二人ッで5千円もかからなかったのよ、基本料金ぬけばね。」


 「とにかく、成績あげるか、バスで通うかしなきゃ、携帯は許さない。じゃ追試行ってらっしゃい」


  うちの母は料理が天才的に下手だ。でも小言は最高に天才的だ。「僕の役目はママの愚痴をきくことなんだな…」初めて人生に使命を感じたのは五歳の夏、


同じ閉鎖空間の中だ。


 結局、この話を母にいっても信じてもらえなかった。ひどいもんだ、まったく。


 この天気みたいな憂鬱な気分を抱えて席に付いた、HRが遠くで響く耳を通りぬける。


二年で生物を選択したにはちょっと理由があった。夢と希望に満ち溢れた中三のとき、


高校の授業をのぞく機会があって、生物の授業をみた。デオキシリボ核酸って単語を覚えたてで得意になっていたちょうどそのとき、タイミングよく生物の教室ではDNAの抽出実験をやっていた。ビーカーの中から半透明の糸状のDNAが割り箸に巻き取られる。さっぱり訳が分かってなかったけど、ゆとりっ子の僕らは実験とかって経験する機会が少なくて、(中学に時はかなり機会をつくっていただけたほうでかなり感謝している)やっぱり新鮮だった。だからってわけじゃないけど、期待をしていた。


 しかし、実際は、授業とまったく関係ないことを考えて血中の酸素を大いに消費していた。


睡魔と闘いながらセンセーが黒板を消す前にノートに殴り書きするのを心がけた。それでも、俺を置いて授業は進むので、わからないとこは誰かのノートを見せてもらおうと思いながらそのままになっていた。問題もとかないわけだから中間テスト最中には悲惨な結果にちょっと期待しながらちょっとにんまりしている自身にまたげんなりしていた。生物のクラス、外の青空を見上げながら、一年前の早退したときのことを考えていた。


 なにがきっかけだったか、よく覚えてはいない。きっとなんか人間関係とかでごくごくちっぽけな嫌なことがあったんだと思う。階段を降りて保健室に直行。


 「失礼します、センセー気分不快、熱あったら帰る」


そんなことを言って、熱を測ったら37℃ほどあって担任のセンセーに交渉に行った記憶がある。


 「今日帰れば、明日はこれる。帰らして…」的なことを笑顔で言っていた。


担任の先生は一週間、遅刻、早退、欠席をしないことを条件に許してくれた。


 俺はもともと、精神的にかなりひ弱で、ちいさいことでも深く考えこみやすいたち。自分でよく分かってる。ある週末手首正確には腕の一部かな?ちょっと深めに切ったことがあって、それで1週間くらいかな、保健室登校みたいになったことがあった。


 風邪薬を一瓶半くらいかな、飲み込もうとして、苦労して何錠か飲み込んだ。水で飲み込もうとするんだけれど、何回か吐き出すと、水に溶け出して苦くて飲めたもんじゃなかった。そのあと、風呂場で腕を流水で冷やして、万能折りたたみナイフかなんかで切ったんだ。たしか。そんなこともあり一年のときの先生はかなり敏感だったのかも知れない。


こうゆう背景を盾にして自分のわがままを増長させる。俺はなんて人間だろう。


 そのあと、しばらく受けたカウンセリングで、生まれつき対人関係が弱いんだと。


お前は頭がおかしい。病気だ。精神科に行かなければ。こういわれてしまったほうが、どんなにほっとしたか。多少問題は抱えているが正常だといわんばかりの診断にどんなに傷つけられたか。まとも?リストカットが?俺はまとも?これでも?


 軽くショックを受けた頭に浮かんだのは疑問符だけだった。


教室では英語の授業だったと思う。先生が荷物を取りに行くのに付き添ってくれた。


確か頼んだんだと思う。どこまでも甘ちゃんなのだ。教室から抜け出して、荷物を抱えて家路を急ぐ。おばぁーちゃんの家は五分くらいで着く距離だった。


 いろんなクラスから聞こえる授業の内容が、中庭で反響する。そこを抜けて、校門へと急ぐ。校門を抜けると学校の敷地の外で、先生がタバコを吸っていた。友人はこれをニコチン摂取と呼ぶ。


 「帰るの?柳さん」


 「はい。」「近いんで、おばぁーちゃんのうちまで歩いて」(じゃ、なんで帰るんだよ)((笑


  「気をつけろよ」そんなことを言われた気もする。


坂を下っていく。グランドにも道にも誰もいない、車の音さえ響いてはいない、あおぞらの下、聞こえるのは鳥のさえずり。最高の気分だ。何から開放されたのかはよく分からないけど。優越感に似た感覚と快感を覚える。世界に人間が俺一人になったような錯覚を覚える。その満たされ感情が、学校をサボった罪悪感を中和してくれたように思う。


 すぐに、麻酔は切れたけれど。


学校の授業に置いてかれるとかそんなことは頭のなかにかすりもしなかった。だって、いろんな意味ですでに置いてかれてたしね。


“生きている次元が違う”この言葉はよく日常会話で使ったりもするけど、例えばテストの結果を話すときに、


「何点だった?何とか~」


「こいつ、80点だったらしいぜ」


「まじかよ~おれ13点だったし…」


「勝った~俺27~。ま、赤点ですけど」


「お前らシンデンジャン」


「うっさいな~まじ、凹むわーこいつの点数聞かなきゃよかったし。」


「気にスンナよ天才クンは俺らとは生きてる次元が違うんだよ。」


って具合だろうか。でも、実際この言葉を体感した奴はそうそういるまい。


そういう、意味では俺はかなり貴重な体験をしているといえるのかもしれない。


 はっと、我に返ると黒板の半分は消されていた。やってしまった。どうしても、集中で


きない。困ったもんだ、こういう教科は授業が命なのに。うちに帰っても勉強しない、むしろ学校にいないと勉強できない。監視下に置かれなければ、俺は勉強できない。日本人らしいといって欲しい。恥の文化たいしたものだと。ちょっと、心の中でため息をつくと


また、青空を見上げた。早退したあの日の青空にちょっとにている気がする。


 そんなことをしているうちにも、どんどん授業は進む。先生、俺高校生向いてない気が


します。でも、辞める元気もありません。もうちょっと足掻いてみようと思います。


 ちょっと、心の中で決心して、黒板に向った。まだ、計算はそんなに出てきてないんだから、頑張ろう。二学期にはぶち当たるはずの遺伝の法則を浮かべたら、吐き気がした。


もうすぐ文化祭が始まる。学校生活いろんな意味で一番のイベントだ。文化祭はまだイイとして、最終日に行われる体育祭はかったるすぎる。あれは絶対に○育教○室の陰謀だ。こんなことを言ったら怒られるかも知れないけど、楽しい反面めんどうくさいのも事実のこのイベント、受け取り方の問題のようだ。


 どこに、男女でフォークダンスを行う必要性があるのか、高2のちっぽけなみそじゃ理解不可能だ。アンコールも意味不。むしろ体育祭なんてやる必要あるんだろうか?


 かっこよすぎる運動部の面々活躍の観戦で事足りるはずじゃないのか?それを応援する気合が入った応援団のパフォーマンスそれで十分だ。青春?若いんだから汗流せ?


甘酸っぱい青春ねぇ~。甘酸っぱいのは○イチューでこと足りてますけど。


 


 楽しいには、楽しいだろうさ、確かに。実際去年の文化祭は楽しい面もあった。けれどその分半端なく疲れるのだ。特にフォークダンス、体育祭の…。もとから人に好かれる性質ではない。だからなんだって感じだけど、特定の集団には好かれてはない。なかには仲間うちでこんな感じであからさまにからかってくる奴までいる。


 「おい、武田~次あいつだぜ…」


てめぇ~。て思ったし。死ねばいいのにとも思っただけど、他人をそのように見下す奴は大体同じような扱いをどこかで受けているのだ。(そのことに本人が必ずきづいているわけではないようだけど。)でも、俺自身その人が好きではなかったし、簡単に受け流せるほど大人ではなく、精神的に未熟なので思いっきりやり返した。


 今日は精神的にかなり落ちてる、一緒に話す友達との会話に異常に疎外感を感じるのだ。


 話を聞いてもらえるだけでも有難いのかもしれない。生きてるだけでもありがたいことなのだ、しっかりしなければ。有難いとゆう言葉は今じゃ尊いって言葉と同義語のように


使われているけれど本当はとても低い確率のことを単純計算で示したような言葉なんだと。


死にそうだ…。


 もう六月も終わりだ。また夏がくる、そんなことを考えていると女子が教室になだれ込んできた。


 遅れてやってきた梅雨どうやら高気圧に邪魔されてバスに乗り遅れてきたようだ、でもまぁそのバスもたまたま遅れたようで学校に連絡が入って遅刻は不問…、よくあるよくある。五回たまると職員室で尋問だ。四回目の遅刻のとき、「あと一回で親呼ぶから、これ以上余分な仕事を増やすな。」ごもっとも。んー一生忘れられなかったらどうしよう。俺へたれなんだもん。先生怖すぎです。まぁまぁ予習を忘れて授業に出てごらん。生きたこ落ちなんてもうそんなレベルの話じゃない。心臓はのど元で脈をうつ。あれ?なにこの脈、一分間に200うってしまってますてなかんじ。 


「ああ~ここの に は何?次誰?吉田さん」


「えーと、格助詞に の 連体形です」ああ~もぅまじこぇ。よかったー俺じゃなくて。ん?


これちがくね?ここは断定では?


「格助詞~?次」


「はい、断定なりの連体形です。」 「………」うぁだまちゃったよ!!抜けてる!!品詞が抜けてる。一思いに殺してください神さま。ていうか今どこ?やばい、あと一行しか予習残ってないしね。


 「ぇっと、断定…」「品詞!」 「あ、助動詞 断定 なりの 連体形 ―――…」


 失いかけた命の火をともそうと俺が古典の辞書に必死にしがみついて頭は清げなりの終止形でいっぱいのそのとき、鐘が響いて授業はおしまい。助かった~。


 「終わり。予習してこいよ。」 「キリーツ、レイ 」 「あリがトうござぃました」


なんど、聞いても思うけど、どうして終礼の感謝の念ってこんに歪に聞こえるんだろう。


 そのときそのときノルマをこなして生きてる俺には次のことしか頭になくて、時間削って人生削って教えを叩きこんでくださっているプロの言葉もこころに受け止める余裕がないんだと思う。 先生たちの授業を受ければよく分かる。同じ空間を共有すれば体感できる。同じ階のふた隣さきのクラスから先生の一生懸命な授業がきこえてきたり、生徒の笑い声と一緒に先生のネタが聞こえてきて、思わず噴出したり。こんなに先生たちは教師って自分たちが選択した人生を必死に生きてる。でも、俺たちはどうなんだろう。教育問題をえさにTVは視聴率をつるけど、大人の言葉が響かない子供にだって問題があるような気がする。でも、そうやって俺らが自分の身を守っているのも確かなのかも知れないけど。今日もどこかで親が子供に殺された。昨日は小さな子供が親に、三歳の子はオヤジに置き去りにされたって。関係ナイ。確かにそうだ。新聞なんて、テレビなんて、メディアに触れなきゃそんな事実は目の前にフッテ湧いてなんてこないし、電源つけなきゃ一生きずかないかもしれない。そんなことどうだっていいことだ。俺の人生にはなんら関係ない。


 同世代の人間が人殺そうが、子供産んで捕まろうがちょっと危機感感じるか、バカな奴って思うくらいしか、感じない。中学の時は面接で使える時事問題拾うのに必死だったけど、今はそんなんどうっでもいいし。赤点候補がそんなんで足掻くだけ無駄なのだ。


 世界で何が起きようと、俺の価値観は壊れない。世界は変わらない。そう思ってたのに。


 ある日、突然自分の世界を、信じてたもんを失ったら俺は生きていけるんだろうか。


 もう、だめかもしんない。


 もうイイや、全部消えちゃえ。


何もない世界でただ自由が欲しかった。


 時間の流れは速すぎる。引きこもり志望の俺の前、自転車で逆方向に全力疾走していく感じの勢いで、どんどん、置いていかれてる。そんなの自分でもわかってんだけどな。


 なんとなくしかわかんないけど、どう想像したって俺の人生平凡にしか思えない。


平凡だからといって、こぎれいな平和な家庭の中にいるようでも、会社勤めに明け暮れて


同じような仕事を淡々とこなしていくようにも思えない。今でさえ、三下の自分自身の人生が、これ以上輝きを放つことなんて二度とないだろうと思ってた。こんなものを輝きと呼べるなら、五本で100円くらいのシャーペンが蛍光灯を反射する光で僕は失明できるような気がする。いま青春真っ盛りってことになっているけど、それっぽいハプニングもないし、ただ学校にいって赤点すれすれさまよって、適当に友達の話に乗ってるだけだ。大体僕に話をあわせてくれるような友達と呼べる存在は地球上には存在しないのかも知れないけど。


 家に帰れば、帰ったで、息が詰まるような気がして、何もできないのにどこかに逃げ出したような衝動に駆られるのだ。「ただ、毎日を生きる。それがどんなにつらいか」


これは、中学の先生が言っていたことばだ。俺、ちゃんと受かったよ高校。塾で言われたとおりにテキストやったし。あんま、頑張った感じしないけど、受かった。すれすれで。


 でも、なんかよくわかんないけど、穴開いているみたいな気がして、生きてる実感が無いんだよね。ただ生きるのってつらいって言ったけど、先生、俺今幸せなのかな。


 


 すごい、贅沢なこと言ってるのはわかっている。でも、そんな無理して頑張んなくたって


それなりに、今は生きていける。多くを望まなかったら大人が親切に引いてくれた順路道理に寄り道しないで階段登っていけば、それなりの平凡な人生は与えられるのだ。


 今の俺に足りないものって前を見る力なのかも、システムの中に組み込まれていれば頭なんて使わなくたって生きていける。なんで、俺はここにいるのだろう。考えるたびに頭が痛くなる。 


 こないだ、準備室で、「俺の人生ってなんなのかね。」って友達と話してたんだ。そしたら、その年で人生なんて考えなくてもっていわれたさ、これってどうなんか。


 


 こんな奴が?て思うような奴が存外勉強してテストの点数もぎ取ってく、俺と違ってみんな努力してるから。


頭の中じゃやんなきゃいけないことなんて分りきっている。でもそれから逃げてる自分がいる。特にテレビが見たいわけじゃない、漫画が読みたいわけじゃないけど、勉強と関係ないことをして時間を潰している自分がいる。


 自分のために、勉強しないと。夢のために将来のために…。みんなそうけど、高校に入学できたのだって塾が仕込んでくれただけだし、絶対この学校に入りたいそう思って入った奴はそこまで多くないはず。大体高校に入ったのだって、


進路希望調査で四年制大学って書いたのだって、そう書くのが当たり前だから。高校に行って大学にいって就職するそれが一般的なルートだから。誰かのために頑張るんじゃない、自分のために頑張るのだ。強いて勤めるからこそ得られる人格があるのだと。でも、俺の中にはなから自分なんてものはあるだろうか。どうせ俺は社会の規格から外れてるだって、箱庭の中でさえ、ほんの小さな教室という社会のなかでさえ適応できてない自分がいる。そこからも逃げ出そうとしている自分がいる。だから、きっと社会じゃ生きてなんていけないのだ。僕は立派な大人になんかなれはしない。


 どんな社会にだって自浄作用があるはずだ。りんごの中にひとつ腐ったものがあれば全体が腐されてしまう。


同じような規格を選び抜いたその中に不安定要素などあってはいけない。がん細胞は免疫機能に取り除かれる。教室だってそうなのだ。俺はがん細胞だった、どんなに良性だと取り繕ったところで見え透いてる。本来ならもっとはやくに


取り除かれるべきだったのに僕は残ってしまった。どうして僕がこんな目にあうのか、何か僕が悪いことをしたのか。


そう辛く思ったこともある、けれども仕方が無いのだ社会に適応できない人間は遅かれ速かれ死ぬのだから。僕は普通が良かった。両親もそれを望んだ。でも僕はそうはなれなかった。だってしっかり規格検査にひっかかったもの。


僕の存在そのものが罪なのだから。仕方が無いのだ。偶然なんてありえない世界はいつだって必然…。「そう世界はいつだって必然あなただってわかっているんでしょ?」真っ暗な闇の世界でどこかで見覚えのある少女が駆けていく。彼女は一度も振り返らなかった。闇の中で真っ白なワンピースを着た彼女の存在が輝いていた。


「まってくれ、待って!」「君の…君の名前は?」


 遠くから「サイ」と一言女の子の声がした。


 そう、世界はいつだって必然だと思う。今の僕には理解できる。昔の俺にだって理解できてたはずだ…。受け入れるか受け止めるかの違いなんだと思う。昔の俺には理解できなかったことが今の僕には手にとるようにわかる、そんなものなのかな、人間の成長って。


 たぶん、ちょっと距離ができて余裕が持てて見えてきたものがいくらかあるんだと思う。


あのころの俺は、毎日が必死で息が止まってたような感じなのだ。過呼吸になっても必死に行き吸ってるみたいに、なんだか綺麗なみなそこで泳いでいたら溺れました、ってそんな感じかもしれない。たぶん、時間が解決するってこともあるんだと思う人生。何回かリストカットもしてた、傷だって消えてないわけじゃない、けど結構昔に比べれば目立たないようになった、今を生きてる一人独りがそんな傷を心に抱えて生きているのかもしてない。そう思えるようになった。すっきりと目覚めた頭で、黒板に向かう僕はまた35HRの英語の授業に戻ってきた。夢でであった彼女はいったい誰なんだろう。なんだか長い夢だったような気がする。


 


 補充と天使


 英語の授業から数日後、僕は夢の彼女に出会うことになる。サイだ。


 サイの本名はいつきっていうらしい。うわさではかなり変わってるんだ、と聞いた。


変わってる奴ならドンとこいって感じだが、ま吉田も変わり者の類だったし、本と親友俺を置いてキャンパスライフを謳歌しようなんざ、変わっているにも、程度があるしなあいつ。このサイに関しては若干問題山積というか。彼女も補充を受ける羽目になっていた輪kだが今日が初めての面識ではなかった。体が弱いせいかなんどか保健室で出くわしていた。


彼女と一緒に補充を受けることが決まって一番に親友吉田先輩君にメールした。


 吉田曰く、なんか長門みたいじゃね?それか綾波。ふざけるな、そんな女子高校生いてたまるか、けしからんもっとや(ry


って言っていたが、俺は吉田と違ってそんな印象派は持たなかった。まぁ本ばかり読んでるところは俺の嫁、もとい長門ぽくもなくはないが、長門はあんなに快活にしゃべっちゃだめだろ。みのりん、だぞ…もっと感情を抑えてしゃべってくれ!!いや、むしろいつきって名前を聞いて古泉が浮かんだ俺は…どうなんだっていう。そんなこんなを経て、僕の脳内を妄想で破壊していった彼女との補充が冬やすみを期にはじまった。そうは言っても先生は挟むわけで、二人っきりになることはないだろうなと思っていたんだが…そこはね、がっつりふたりっきりになるっていうね。ほとんどの先生が何か課題をやるように言って僕らは別室で解くことになったでその別室が一緒だったりするわけだ。


 そこは北棟の106だった。まぁ寒い。


「おはよう。」


「…おはよぅ。」


「斎ちゃんって今日一時間目何?」


「英語…。」


「そう、英語か…。」


「僕は世界史かな。」


 そういって窓際の後ろのほうに座った彼女の二つ前の席に座った。


かといって彼女の視線が気にならないわけでもなく、やっぱり気になるのである。


 といっても後ろを振り向いてまで話しかける余裕は僕にはなかったわけで…。ほぼ初対面で斎ちゃんはまずったかな~。ちょっとなれなれしかったかもしれない…。


「柳君…柳君って欠課魔なの?」


 えっまさかこの状況で彼女のほうから話かけてくるなんて…。


「え、えっとなんていうか、まぁそうなのかな…一様?」


「自分で認めるなんてね…あなたも変わってる。」


しばらくの沈黙…なんて続ければいいのか…。


「時間…。」


「え?」


「もう始まる…。」


「あ、そうか、そう…だね。」


 僕がそう答えるころにはもう彼女は、自分の課題に取り組んでいた。


僕も自分の課題に取り掛かった…世界史はかなりまじめに解く必要がある。今日はまじめに解いてさっさと課題を終わらせることに決めていたのだ。だって寝たいじゃない。


教室には鉛筆のカリカリということ音だけが響いた。15分もたった頃だろうか、後ろでガタンと椅子がなった。彼女は黒板に向かうと指とチョークで何か書き始めた。


君はいったい何の絵を描いているの?そう尋ねるのが恐かった。


手はテキストに向かったまま僕はその場で呆然となった。彼女は一心に黒板に向かい、それはまるでチョークと指だったけれど、まるでコンテとパンくずのようだった、二つの画材は生き物のような彼女の物語を描きだす。彼女の頭の中にはどんな物語が綴られているのだろうか。その絵はまるでゲルニカのようだった。


『天使よ…。』


一心に黒いキャンバスに向かう彼女からそんな言葉が飛んできた。天使という言葉が心に落ちてくる。人のような人形のようなそれを僕は見つめた。


 彼女が書いたそれを見て、小さいころみたラピュタの兵士とホロウの姿を思い出した。彼女もそれを理解しているのだろうか。それとも…これはただ僕の心象に過ぎないのだろうか。彼女のいう天使に白い翼はなく、楕円の頭と胸には黒々とした孔が開いていた。


 それは僕が感じるのと同じように彼女の喪失感から来るのだろうか。


『アイスルヒトガデキマシタ、ソノヒトヲマモルコトガ、スベテデス。』


あれは天使の歌じゃない。でも、人間にしてはあまりに無骨で痛々しい、そんな歌。


でも、この天使の悲しみは、『オレ、天使』って主張するには荷が重いかもしれない。


『これは天使、私は悪魔、今彼と私は戦っているのよ、これは戦争、平和の…心の平穏を求める戦いなの。』 


頭のずっと奥のほうで、チャイムの鳴る音がした。目を覚ますとムッソリーニの文字が白くかすむ。目をしばたいて、鈍い重みを宿した首をもち上げる。


 整体であまり鳴らすなといわれたが、いつものようにべきりと首がなる。


彼女が消していった黒板は何事もなかったかのように消されていた。


黒いキャンバスをあんなにも白く染めあげた闘争は跡形もなかった。残ったのは黒い黒板とちびた白いチョークだった。


 彼女A型だったろうか。いや、Oダロ。あれじゃ、まるで灰かぶり姫…。教室を出て行く彼女を見送って僕はそう感じた。


綺麗になった黒板に半比例して彼女の服はまるでシンデレラだった。


 十二時の鐘はなったのだろうか、それとも…。


 僕のなかの魔法は解けてしまったのだろうか、12時の鐘はなってしまっただろうか。僕は…ちがう…俺はもう自分自身に嘘はつかなくていいのだろうか。わからないでも彼女の天使に何か救われたような気がした。天使に羽は必要だろうか、俺に翼はないのだろうか。俺だってまだ飛べる、彼女の天使がそう感じさせてくれたのは確かなのだ。

あの日なくした夢、あの日失った大切なもの、まだきっとやりなせる、もう痛みを受け入れたから。106の教室の向こうの空は、確かな青空だった。

 青空の向こうの世界は輝くばかり、目を凝らしてあるいてもただ遠く広く美しくひろがる。宇宙の向こうに己の存在意義を知る。ただそんな感じ。

 果てない路の向こうに大切な誰かを待つ。そんな感性。

あぁ青空とふりさけみれば、雲が空を渡り舞、東風が香りそう起こすそんな春。美しき生命の躍動を内包した風が走る。

 風と共にわたしは青春を駆け抜けた。そんなある日わかれは突然やってきた。

夏が過ぎ蝉が地面に落ちたころ、兄がいってしまった。

 前のばんから体調をくずし、死にたいといい私に死にかたを尋ねてきた。そんな兄に向き合うことが、できず私は彼氏との会話の中でぼんやり兄が死にお金がはいるのかなと考えた。それは、悲しい、一番悲しい形で、現実になった。小さい頃からおいかけた。そんな、やさしくて大きな背中を好きな兄が頸をくくって、顔を浮かべて死んだ様を見、あたまのなかはなんでと疑問ばかりがうかんだ。世界をのろった。兄がどうして、しんだか、さとっても辛くかなしい不思議な虚無感に私は包まれたままだった。朝7時11 分目が覚めると母と原付きの話をし、兄の姿は既になく、私が見たのは漫画のコスチュームに身を包み、真っ黒な着物姿で冷たくなった兄貴を抱き締めるように、梁からおろした。あとは、夢中だった。母を庇い父をなだめ泣きたいのを必死でこらえた。つらくて、しんどくて、やりきれなかった。しばらくわたわたしたあと私は日常に戻ってきた。生きて兄に再会は叶わずとも、いつかまたあの笑顔にたどり着く気がしてならず、私はまた、この春桜並木を歩き出す。そして兄が産まれた季節を1歩また一歩と進む。この春新しく資格試験の学校に受かった。為す。兄が見せた生きざまを私は引き継ぎ繋げてゆきたい。心からそう願わずにいられない。毎日を幸福に過ごせる嬉しさを毎日を噛みしめながら、柳は春風に舞い上がる桜吹雪髪をかきあげた。いつかあの笑顔に会える日を夢見ながら。

今私は仕事をしながら自動車学校を卒業した免許証も取りにいくそしてくまのすけという話をスケッチブックに描いているそれはお金が貯まったら本にしたい。こないだ母と伊勢神宮に行った青空が綺麗な1日になった。私はまた、兄を思い富士と青空を見上げた。


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