第2話 はじまり
時を同じくして、プランテ達の住む村「ルーン」の近くの大森林でも、
多くのプランテ達によって大量のマナが生み出されていた。
プランテ達はみなローブを羽織り、
空に手を掲げながら、目を閉じて詠唱している。
体はわずかに光を纏い、全身から多くのマナが溢れ、
それらは森全体に吸収され、命が流れこんでいく。
吸収されたマナは樹木を媒介にし、空へと放出され、
この世界に住む全ての生物の命の源となる。
ー 多くのマナが空へと放出された後、森を覆っていた輝きはなくなり、静けさが戻った。
「ふぅ... アシ。アンタ相変わらずマナの創造が下手ね。」
一息つきながら、少女は隣にいる少年、アシに声をかけた。
「はぁ... 余計なお世話だよ。できないものはできないんだよ。」
「オラリアを見てみなさいよ」
二人が視線を送る先には、プランテ達と仲良く談笑している少女がいた。
「彼女は族長の一人娘。私たちと同じ年齢にもかかわらず、マナを生み出す才能に恵まれ、大人たちにも引けを取らないほどの実力の持ち主。いつも落ち着いていて、行動力があって、聡明。将来を期待されている立派な子よ。それに引きかえアンタは...」
__彼女はニテラ。俺やオラリアと同じ年齢で、サッパリした男勝りな性格。プランテとして、オラリアほど才能に恵まれているわけではないが、世話好きで、持ち前の明るさから村の誰からも好かれている人気者だ。俺とオラリア、ニテラの3人は、同世代が自分たちだけだったこともあり、幼い頃からよく一緒に行動し、仲も良かった。今では信頼できる間柄だが、オラリアは、俺と出会ってからしばらくは、なかなか受け入れることができなかったらしい。森の中で倒れているところを発見され、親が誰かもわからない俺が怖かったと言っていたが、それも仕方がないことだと思う。しかし、ニテラに関しては、全く不安を感じていなかったらしい。当時、同年代の友達ができたことが、とにかく嬉しかったんだと。まぁ、どういった理由であれ、何処の馬の骨かもわからない俺を受け入れてくれた2人にはとても感謝しているんだ。