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会議01

 平和な村の昼下がり、一軒の家に立ち寄ることとなった。

 「これより、村の有志達による、村のための会議を行う!」

そう、目の前の老人がやや得意げに発言する。…有志達、とは言ったが私と目の前の老人―オラガ村村長―の二人だけなのだが。部屋の奥の台所から、お夕飯までには済ませてくださいねー。と村長の奥さんの声が聞こえた。

 時折、村長が暇だという理由で呼ばれ、会議という名の長話が始まる。今日は早めに帰って、ゆっくりしようかと思っていたのだが…

「なんじゃい、ノリが悪いのう、今回は単なる世間話ではなく、真面目な話もあるんじゃが…」

そういう事なら、と思い座り直し、姿勢を正す。

「まあ、本題に入る前にちょいと先月分の報告がまだじゃったし、聞いておこうかの。」

「はい、まず、現在緊急で募集をかけている、医療関係者ですが…

やはり、移住希望の話は出ませんでした。」

 この村には医療施設がなく、町からも遠いため、大きな怪我や病気にかかった時に治療する手立てがない。幸い、今の所は皆健康だが、明日もそうとは限らない。このため、一刻も早く医療に通じている者を呼び込む必要があるのだ。

「それから村の来訪者ですが、ご存知の通り、行商人親子以外来訪者ゼロです。」

 この、行商人の親子が今の村のライフラインとなっている。出稼ぎや、留学者からの仕送りや手紙を届けてくれたり、村近くの洞窟からとれる鉱石を買い取ってもらったり、生活必需品を外から仕入れてきて、こちらに売ってくれたり。

村長の古い知り合いらしく、オーク達とも取引をする商魂たくましい人たちだ。

「うむうむ、そうじゃ、後でしょーちゃん達に仕入れてきてもらう物品のリストを作るから、ちょっと、チェックしといてくれんかの?」

「わかりました。私の方からは、これで以上です。」

「…ぶっちゃけ、先々月と一緒じゃな。」

「ええ、一緒です。」

「…むう、まあいいか。今度はわしが報告する番じゃの。

村の収支じゃが、プラマイゼロじゃ。オーク達の宴のとばっちりで、またちょっとした被害が出てな…まあ悪気はないんじゃが、こう、続くようなら、ちと話し合わねばならんのう…」

「ああ…この前の被害ですか。彼ら、思いっきり酔っぱらっていましたからね…」

 オーク達は騒ぐのが大好きだ、そして男たちは決まって酒を飲み、酒癖が物凄く悪い。さらに、怪力だから良く酔っぱらって物の弾みで色々壊してしまうのだ。私は、その酔っぱらいどもをオークの女たちと協力して抑えたり、つぶれた奴を家まで運んだりするのだが…おかげで生傷が絶えない。

「まあ、そんなところじゃな。こっちも先々月と一緒じゃ。

さて、今回の会議のメインな話じゃが…」

何故か、妙にゆっくりともったいぶりつつ村長が話し始めた。



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