住めば都と言うけれど… 01
――――そこは、満身創痍の神と魔王が対峙する大地だった。
その長き戦いを、荒れ果てた大地だけが静観していた。
そして、遂に決着がつけられ―――
著者不明「創世記」より
守り人とは、村町に張られている結界を維持し、外からくる冒険者たちに町村を案内する、いわば町の顔役である。「ようこそ、ここは○○の村ですよ」なんてセリフが代名詞だ。その性質上職場を離れることは難しいが、日々の暮らしを愛し、喜びを見いだせる人には向いている職業である。
かくいう私も、そうだった―
村を駆け回り、家族同然の住人たちに親しまれ、夜になるとまばらに灯る明りに安堵し…
そんな幼少期を過ごしたおかげか、故郷の守り人に進められ隣町の養成学校に通うこと早数年。
無事、とある集落に就職できた。配属先は、近年になってようやく村と認定されかけの集落で、私が勤続することで、村の認定がおりるらしい。
村と認められる条件とは、まず、邪悪な魔物が入り込めない「加護の地」であること。
加護の地から、信託を受けられる聖職者がいること。
加護を増幅し、結界を維持できる守り人がいること。
最後に、村の長となる人物がいること。
この四つが揃って王都から村と認められ、そこに住む住人の身分が保証される。
守り人とは、意外と重要な職業なのだ。
…正直、そこで働くことにかなり不安があった。
私の学校での成績は中ほどで、理想的、模範的な守り人とは言い難く、そんな中
ただ適性があったから、という理由で配属されることになったのだ。
初の守り人という重責が、配属当初は重くのしかかっていた。
そして、配属から約半年たつ今現在。
そんな重みがどうでもよくなる日々に頭を抱えていた…