15話
ぼっーと俺のことを見てくるミリスというエルフの少女、俺の問いにも答えない。
「おい!、本当に大丈夫なのか?」
「あっ、大丈夫です」
俺の大きい声に驚いたのか、慌てて返事をしてきた。
この中から出してやりたいが、出すためには檻を破壊するしかない。
「檻を破壊するから、後ろに下がっていろ。」
「それなら大丈夫です。
後ろの奴隷商人のポケットの中に檻を開けるための鍵が入っているはずです。」
俺は後ろを確認すると、確かに商人風な男が横たわっていた。
商人に近づきながら、俺は怪訝そうな顔をしていた。気になったのだ、このままだど死ぬのを待つのみなのだから檻から出たのは分かるが、いくらなんでも協力的すぎやしないか?
手に入れた檻の鍵で、檻を開ける。
魔術を使えるようだし、こちらに敵意を持ち際しなければ逃げても良いしな。生き残ることぐらい出来るだろう。
だが、俺の考えに反して彼女は逃げる素振りを見せないどころか、俺に向かって頭を下げてお礼まで言ってきたのだ。
「助けて頂いて、ありがとうございました」
これには正直驚いた、今では逃げられないと判断したのかもしれない。
それならそれで構わない、俺は彼女にモンカの町に戻るとだけ伝えて歩き出した。逃げるなら勝手に逃げろという意味を込めて。
しかし、それでも彼女は着いてくる。謎だ。
俺はとりあえず彼女を放っておくことにして、カードの確認する。
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ユウイ
男・人間族
18歳
ジョブ:錬金術師
称号:---
クエスト完了
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無事にクエストは完了したようだ。
鑑定してみたが相変わらず、ジョブのLvは上がらない。スキルのレベルも上がっていなかった。
Lv1なので簡単に上がると思っていたのだが、一向に上がる気配がない。ギルドの中の冒険者たちをここ1週間調べてみたが、皆Lv1や一番多くてLv2で極々一部の人がLv3が最高だった。この世界で生まれた者たちがそれだけしか上がっていないのだから、スキルのレベルは上がり難いものなのだろう。
無言で歩き続けること数時間、モンカの町はまだまだ遠いがこのペースだと今日中に帰れないかもしれない。来たときのように走れば、間に合うがいくら好きにしろと言ってもエリスから離れない以上置いて行く訳にもいかない。
幸い野宿道具は持ってきている(コツコツ貯めたお金で今回購入)。
なので、さっきから気になっていることから調べることにした。もう一度エリスに鑑定をかけ、さらに鑑定する。
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魔術師
…魔法を扱うことに長けた者のジョブ
・魔法発動時間短縮
…魔法の発動を10%短縮
水魔術Lv2
…水属性の魔術を扱うことが出来る。
・ウォーターボール
雷魔術Lv1
…雷属性の魔術を扱うことが出来る。
サンダーボール
水の守護神
…水属性の防御と治癒に対する適正値が大幅に上昇するかわり、炎に対する適正値と水の攻撃に対する適正値が大幅下降。
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これはまた面白い加護だな。プラス面もあれば、マイナス面もある加護か。
色々調べていると、辺りも暗くなってきていた。ここらで野宿をしよう。
「ここで今日は夜を明かそう。」
「はい、すみません。
私のために、あんな所まで来たせい何の準備もせず野宿することになってしまい」
「心配するな、『アイテムボックス』。
野宿に必要な道具は、テントに、焚き火用の薪と携帯食料だな。」
「え?え?
今のは魔法ですか?でも、そんな魔法聞いたことありません。」
「魔法には変わらんが、あまり気にするな」
はぁ、と気の抜けた返事が返ってきた。
「それより、俺はお前がいつまで付いてくるのか気になっているんだが。
モンカの町まで送り届ければ良いのか?」
当たり前のこと聞いたつもりだったのだが、彼女は意外そうな顔をした。
「え?」
「え?」
「え?」
2人揃ってしばらく、頭の上に?を浮かべていた。