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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
最後の決戦!~学生達の熱き戦いが終わりを告げる
99/109

8-16

「デフェンス。両者リプレイ」

 その声に体勢を直しながら、斉木は笑いながら話し出す。

「フフ、面白いな。だがいつまでもつか?」

「先輩が先に倒れるまでだよ!」

 手を読まれていても攻撃さえ交わせば必ず勝てる!

 俺は気を引き締めて斉木と向かい合った。

 俺達の体勢を確認した大柳校長が右手を上げた。


「両者セット!……RPS GO!」

「お前の出す手なんてお見通しなんだよっ!」

 俺の出した手はチョキ、斉木の出した手はグー。またも斉木の攻撃権だ!

「終わりだ!」

「アブっねー」

 間一髪、俺は何とか攻撃を防いだ。

「やはりここまで勝ち抜いただけのことはあるね」

「当ったり前だ!俺は絶対に生徒会長になるんだ!ここまできて負けるもんか!」

 強い口調で斉木に訴える俺。しかし、この後試合は思わぬ展開になっていった。

「両者セット……RPS GO!」

「デフェンス。両者リプレイ」

…………

……


「おい、これで30回目だぞ。大丈夫なのかあいつら」

 俺と斉木の試合を見ている観客席からはため息ともつかない声が聞こえてくる。

「ハァハァハァ……」

「フゥ、だいぶ息が上がっているようだね。続くかぁ、倒れるかぁ、止めるかぁ」

「ハァ……先輩だって……だろ?」

 強がってみたが、勝敗のあるじゃんけんの時はあいこの時と違って休憩が無い。普段、柔道で鍛えてはいるが、足にかなりの疲れがきている。

 そろそろ勝負がつかないと、マジやばいぞ俺。しかし、手を読まれている以上どうしていいか分からない。

「ユウー、自分を信じるんだ!」

 声のする方を見ると、トモが手を振りながら応援してくれている。

「トモが手を振るなんて珍しい……そうか、分かったぞ!」

トモの仕草を見た俺は、ある確信を得た。もしかしたら今の状況を変えられるかもしれない!

 審判の大柳校長もうっすらと顔に汗をかいている。かなり疲れてきているようだ。


「両者セット……RPS GO!」

「無駄無駄、無駄なんだよぉぉぉ!!」

「絶対に勝つ!!」

「な、なにぃぃぃ!!」

 斉木が俺の動きに一瞬とまどう。

 なぜなら俺がジャンケンを出した手は――左手だったからだ!

 俺の出した左手はチョキ。斉木の出した手、パー。この試合、俺は初めての攻撃権を得た!

 俺の右手が斉木の鳩尾に向かっていく。俺の予想外の行動に、斉木の体は動けない。

 青、俺の電光掲示板に「Hit!!!」と表示がされ、大きな機械音が体育館に流れた。

「勝者、三上有利、決勝戦進出です!」

「「勝ったぁ!」」「「おめでとー!」」「「スゲー」」

 大柳校長のコールで、長かった試合にようやく終止符を打つことができた。


「三上、お前すごいぞ!D組の誇りだ!」

「鈴木先生、ありがとう!」

 鈴木先生が俺の防具マスクを外しながら、興奮した声を上げる。

 斉木の方を見ると、小林先生の肩に頭をぶつけて肩を震わせていた。

「バカな、この俺が負けた……だと」

「先輩、あのまま右手でやっていたら、負けていたよ俺」

「お前……」

「利き腕は自分の思った手がでるからな。それで左手を使った。心を読まれても、それと同じ手が上手く出せない左手なら、俺にも勝ち目があると思ったんだ」

 トモが俺に声援を送った時、トモは右手にジュースのペットボトルを持って、左手を振っていた。

 そのすこしぎこちない左腕の動きを見て、俺は作戦を考えたのだ。

「ハハ、そうくるとは思わなかった。まだまだ俺も甘いな。いい経験になったよ」

 そう言うと斉木は、姿勢を正し俺に向かって深く頭を下げた。

 その姿に俺も頭を下げると、大柳校長が声を上げた。

「試合終了、両者、礼!」

「決勝、せいぜい頑張るんだな」

 少し強がった言い方ををしながらも、笑顔で斉木はバトルスペースから下りていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「それでは休憩後、生徒会長決勝戦を行います!主審は大柳校長、副審は塩花教頭です。……」

 長岡先生がバトルスペース上でこれからの予定を説明している。

 大型スクリーンには、決勝戦の組み合わせが映し出されていた。


【女子生徒会長決勝戦】11:15~

白 1年A組 西郷刹那 対 青 1年D組 時実未来


【男子生徒会長決勝戦】11:30~

白 1年A組 天樹友助 対 青 1年D組 三上有利


 1年生同士、しかも男女とも、A組とD組の対決のようだ。

「それでは一旦休憩に入ります。生徒はしばらくの間自由に休んでください……」

「ふぅ、いよいよ最後だな」

「ユウ、正々堂々とがんばろうな」

「ああ、分かっているよ」

 選手控え席に座りながら、俺とトモは最後の戦いの時を待っていた。


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