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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
涙と笑いの文化祭~ユメの涙は俺が拭く!
78/109

7-12

 今日の主審は3年B組の担任で社会科担当の二宮武にのみやたける先生。

 副審は2年A組の副担任で国語担当の中島博也なかじまひろや先生だ。

 防具マスクを着け、最後の身体検査を終わったところで、二宮先生が白と青のバトルスペースの境目に立った。


「これより、1年生の『学年選抜RPS BATTLE』決勝戦を行います」

「両者、対戦相手に敬意を払い、礼!」

するとそれまで声が聞こえていた観客席が静かになる。


「男子決勝、第1試合。白、1年A組天樹友助。青、1年D組鈴元力斗。前へ」

 その声で、白のバトルスペースにはトモ、青のバトルスペースには鈴元が上がる。そして定位置につくと、お互いに見合わせた。


「両者、対戦相手に敬意を払い、礼!」

 トモと鈴元は同時にゆっくりと頭を下げる。

 いつもは「両者、礼」の合図だが、今日は土曜日だから一般客が多く観戦に来ている。

 主審の二宮先生は始めて『RPS BATTLE』を観る人にも分かりやすいように少し丁寧に合図を出しているようだ。

「「天樹頑張れ!」」「「鈴元負けるなー!!」

「トモ兄ちゃん、ファイトですぅ!!」

 2人が頭を上げたところで、両者の応援席から歓声が飛び交う。

 高峰先生の横ではユメが大きな声でトモを応援していた。

「観客は静粛に!」

 主審の二宮先生が右手を中に上げて観客席を見回す。そして、歓声が落ち着いたところで合図を出した。


「それでは両者セット!……RPS GO!」

 トモと鈴元の右手が素早く宙に動き、それぞれの体の前に出された!

 トモの出した手、チョキ。鈴元の出した手、パー。

 白、トモの電光掲示板に「Attack」と点灯された瞬間、トモの左手は鈴元の鎖骨の辺りに伸びていた。しかし――。

バトルフィールド上に響いたバシンッという音は、勝利の音ではなかった。

「えぇっ!!」「うそぉ!」

 その瞬間、観客席からは驚きの声が上がる。

 なぜなら、トモの電光掲示板に光っていた「Attack」の文字が消え、代わりに鈴元の電光掲示板が「Defense」と光ったからだ。

 つまり、トモは初めて自分の攻撃を防御されたんだ。

 トモのジャンケンで勝った後の攻撃は郡を抜いて素早い。しかし、鈴元は トモの攻撃が、左手の動く場所が分かっていたかのように払いのけた。

 今まで誰も出来なかったことをやってのけた鈴元に観客の視線が向けられる中、俺はトモを見つめる。

 防具マスクの下にあるトモ表情は分からない。しかし動揺しているようには見えなかった。


「青、デフェンス、防御成功。両者再試合、リプレイ」

 冷静な二宮先生の声がブース内に響いた。

『ふぅー危なかったぁ、でも、何とか防御できたぞ』

 鈴元はトモの攻撃を交わすことができて、一息ついた。しかし、何か確信を得たようだった。

『やはり天樹は、ヘッド(頭)を狙ってないな』

 鈴元はトモの試合をじっくり見ていた。そしてトモが首から上を攻撃していないことに気づく。

 宿泊学習のクラス選抜予選。同じクラスの木村と対戦したトモは右鎖骨部に攻撃して勝った。

 同じく宿泊学習のクラス選抜決勝。同じクラスの賀川と対戦したトモは食道付近を攻撃。

 そして昨日の学年選抜で対戦した松前に対しては鳩尾だった。

『じゃんけんでは天樹に勝てる確率は低い。しかし、攻撃をかわしていればいつかチャンスがくるはず!』

 そう、鈴元は最初から防御優先で行うことにしていたのだ。しかもトモが左手でトルソー(胴体)しか攻撃しないことを理解している。

『どんだけ強くても、所詮お坊っちゃま。甘いな』

 鈴元は冷ややかな目でトモを見ると二宮先生の合図を待った。


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