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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
涙と笑いの文化祭~ユメの涙は俺が拭く!
75/109

7-9

「両者セット!」

「すいません、タイムください!」

 長岡先生が合図を出した時、住吉がタイムを出した。住吉は長岡先生に近寄ると、先生の耳元で話し出す。

「「どうした?」」「「なにがあったんだ」」

「おいトモ、何があったんだろうな?」

「気のせいかもしれないけど、住吉さんの右足の動きが不自然に見えるんだよね……」

 観客席からザワザワと声が聞こえる中、トモは住吉の足を見ながら答える。

 数分後。住吉と話していた長岡先生が審判の位置につくと、右手を肩より上に上げた。

 白、住吉の電光掲示板に表示されたのは「Give up」の文字。

「住吉、キブアップ。よって放棄試合。勝者、青、時実未来。試合終了、両者礼!」

「「ええーっ」」「「マジか」」

 突然のキブアップに観客が騒然となるが、住吉とミクは試合終了の礼を交わすとバトルスペースから下りた。

 しかし、『RPS BATTLE』のルールでキブアップは認められているが、実際見るのは初めてだった。

 高峰先生は住吉と会話したあと、住吉の右肩を抱く。住吉は高峰先生の助けを借りて、右足を引きずるように歩きながら体育館を後にした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「おう、ミクお疲れさん」

「うーん、何か勝った感じがしないわ」

「そうだね。ところで住吉さんは足を痛めたの?」

 少し納得のいかない顔をしているミクにトモは慰めるように話しかけた。

「元々、膝を痛めていたみたい。立っている間に悪化したそうよ」

「そっか、これ以上ひどくならないといいね」

 ミクの話を聞いたトモは心配そうな顔をする。

「そうね。でも勇気あるわ」

「ん、何でだミク?」

「私だったら無理して頑張るかも。止める勇気ってすごいと思うの」

 試合に勝ったのに、相手のことを心配するのはミクのいいとこだ。俺だったら、相手のことを関係なく喜んでいるな。


「ミクちゃんの言うとおりだよ。ここまで頑張った住吉さんが一番辛いよね」

「だから、その分頑張らないとね!」

 トモやミクの言うとおり、クラス選抜を勝ち抜きここまできてのリタイアは本人が悩んだはず。

 俺たちに出来るのは精一杯このバトルを頑張ることだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「皆さんお疲れさまでした。これで『学年選抜RPS BATTLE』の予選を終了します。決勝に残った皆さんは明日8時40分までに体育館に集合してください」

「「「ハイッ!!」」」

 初日の『学年選抜RPS BATTLE』が終わり、体育館の中には32名の生徒が残った。

 この32名のうち、明日の試合で勝った16名が12月に行われる『RPS 全体選抜』に進むことができる。

 残っている生徒は全員気合が入っているように見える。

 俺だって負けるもんか!気合だけは誰よりもある!

「それではこれからは自由時間になります。校内を見て回ったり、クラスの手伝いをしたり、学校祭を楽しんでください。以上!」

「「「ありがとうございました」」」

 先生の挨拶が終わり、『学年選抜RPS BATTLE』は予定通り12時で解散した。

 バトルが終わり、お腹の空いた俺とトモとミクはご飯を食べる為に先ずは1年生の教室へ向かった。


「さっきりんご飴を食べたから、次はフランクフルトがいいな」

「ユウのクラスのたこ焼きも美味しそうだね」

 何を食べようか悩んでいると、俺達の目の前に男子生徒数人が迫ってきた。

「お、おお、お前らなんだよ、いきなり!?」

「と、時実さん、良かったらこれ食べてください!」

「試合見てました!これ召し上がってください!」

 男子達は俺とトモをスルーすると、自分のクラスで作った食べ物をミクに差し出す。

 その様子にミクは少し戸惑いながら男子達に話しかけた。

「あ、でも、私、一人じゃないんだけど……」

「も、勿論、時実さんの下僕の方々の分も……」

 って、だれがミクの下僕だぁぁぁ!!と思いつつも、タダで食べ物をゲットできた俺達の学校祭一日目は無事に終了した。


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