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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
涙と笑いの文化祭~ユメの涙は俺が拭く!
73/109

7-7

「両者セット! ……RPS GO!」

『行くぞ、行くぞ、行くぞー! これだぁぁぁ!!』

 力が入った俺の右手の形は……キョキ。そして富岡の手は……キョキ。

『くっそおぉぉぉぉ!あいこかぁぁ!!』

 俺は自分の判断に腹が立つ。

 その瞬間、2つの電光掲示板に「Draw」と点灯された。

『なんで勝てないんだよぉ!』

 俺は思わず体を捻り、後ろに目をやる。

 そこにはトモとミクが並んで座っていた。しかもトモとミクは何やら話をしている。

『お前ら、何、イチャついているんだよおぉ!ムカツク!!』

 見捨てられたような気分になりちょっと落ち込んでくる。

「ドロー、リプレイ」

 しかし、試合は俺の気持ちと関係なく進んでいく。


「両者セット! ……RPS GO!」

『俺にできないことはない! 信じれば必ず!!』

 俺の手パー、富岡の手グー。

『俺の勝ちだぁぁ! 俺の左手、行けーー!!』

 富岡目掛けて俺の左手が動く。

『必ず当てる!!』

 俺の左手が富岡の胸元をバシッと直撃する。すると、青の電光掲示板に「Hit!!!」と表示がされた。


「勝者、青、三上有利!」

「「ワァアアア」」「「三上、おめでとう!」」

「試合終了、両者、礼!」

「「ありがとうございました!」」

 富岡に頭を下げて、バトルスペースから下りようとした時――。


「チッ、三上はいいよな。あの天樹から教わったんだろ?俺だって天樹とやれてりゃ……」

 ブツブツと文句を言う富岡の声が聞こえてきた。

 その言葉に、ふざけるなと思った俺は体ごと富岡と向かい合う。俺と目が合った富岡は、すぐに視線を外し震えた声を出した。

「な、なんだよ。三上」

「負けたときの言い訳が考えついたなら! その時すでにお前の心は敗北を認めているんだ!!」

「――三上、お前……」

「今年はダメでも来年があるだろ! 一生懸命やれば勝てる! 諦めんなよ!」

 富岡、俺のこの熱い気持ちを分かってくれ!俺は真剣な眼差しで訴える。

「三上……悪かった。俺、お前に嫉妬してた」

「富岡……お前」

「お前の言ったこと全部伝わったよ。明日の試合も全力で頑張ってくれ」

 富岡はそう言うと頭を深く下げ、先生から防具マスクを外してもらうと、着替えるため更衣室へ向かった。


「それではこれから11時まで休憩時間に入ります。試合を控えているものはあまり出歩かないように、以上」

「「「ハイッ」」」

 藤原先生の説明を聞いた俺達は各自休憩に入った。

「やったねユウ。僕達、明日の本戦に出場できるよ」

「ありがとうなトモ」

 トモは校内の自販機で買ってきたスポーツドリンクの缶を俺に渡してくれた。

 富岡との試合で喉が渇いていた俺は蓋をあけると一気に飲み干す。

 すると席を外していたミクが手に何かを持って戻ってきた。

「トモ、ユウ。これ食べる?」

「あれ、りんご飴? ミクちゃんこれどうしたの?」

「天堂先生から『バトルを頑張っている3人で食べなさい』ってくれたの」

「さすが天堂先生。イケメンで気配りもできるんだ」

 ミクが手に持っていたのはA組が作ったりんご飴。

 天堂先生は休憩が終わった時点で体育館に残っている生徒の分を差し入れてくれたらしい。

 忙しいのか、りんご飴を置くと直ぐに立ち去ってしまったそうだ。

 早速一口食べてみると、甘酸っぱいりんごと飴の甘さが口に広がる。んー、美味い。

「飴の糖分も果物の果糖も体に素早く吸収されるから、スポーツやバトルの時はこういうのを食べると体にいいんだよ」

「そういえばマラソン選手はよくバナナを食べているわね」

 りんご飴を食べながら、俺にはよく分からない難しい話をしているトモとうなずいているミク。

 俺はりんご飴が美味しけりゃどうだっていいさ。


「フー、美味かった。天堂先生にあとで礼を言わないとな」

「お礼なら僕から先に言っておくよ。もしかしたら会えないかもしれないし」

「先生も審判やクラスを回ったりしているからな。じゃあ天堂先生に会ったら言っといてくれ」

 学校祭でも帰りの会やホームルームがあるので、その時にトモからお礼を言ってもらうことにした。

「トモにまかせっきりにしない。学校祭が終わってからでもちゃんとお礼しなくちゃ」

「そんなこと分かっているよぉ、ミク」

 ミクの突っ込みに思わず反論する。俺だって常識くらいあるぜ。

 りんご飴を食べた後、まだ休憩時間が残っている俺達は体育館の端においてある椅子に並んで座っていた。


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