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「それにしてもさっきの試合、凄かったな」
「あー、無意識だったんだよ」
「へっ!?」
「気がついたら体が動いていて、勝っていたんだ」
嫌味ではなく、不思議そうな感じで話し出すトモ。
あれだけの素早い動きが無意識だっていうのか?
コイツ、どんだけ強くなるんだろう。
俺は思わずトモの顔を見つめてしまった。
「あっユウ、モニター見て。他のブースの試合結果がでてるよ」
「おぉ、こんなのが表示されるんだ」
トモの声で大型モニターの画面を見ると、試合で勝った生徒の名前が映し出されている。
【RPS BATTLE 学年選抜予選 勝者】
1年A組男子 天城 友助 Tomosuke Amagi
1年A組女子 西郷 刹那 Setuna Saigou
2年A組男子 斉木 千里 Senri Saeki
2年A組女子 小脇 結奈 Yuna Kozeki
……
A組の生徒ばかりの名前が表示されている。
運も実力のうちといわれている『RPS BATTLE』だが、成績優秀なA組の生徒が多いのか?
しかし、それで落ち込んでいる場合じゃない。
俺はこの『RPS BATTLE』を勝ち抜いて絶対に男子生徒会長になるんだ!
「勝者、青、鈴元力斗!」ワアァァァッ
モニターを見ていた俺の耳に勝者を告げる藤原先生の声と歓声が聞こえてきた。
「次、第3試合、白、1年A組依田旺士。青、1年B組入船恭介」
藤原の声にバトルスペースに依田と入船が姿を見せた。
「第4試合出場者、富岡賢治と三上有利はスタンバイしなさい」
俺と富岡を呼ぶ副審の志田貴成先生の声が聞こえてくる。
「ユウ、呼ばれたよ。頑張って!」
「おう、こんなところで負けないぜ!」
俺はそう言うと、バトルスペース側の控え席に移動した。
「勝者、白、依田旺士」ワァァァッ
1年生男子予選の第3試合が終わった。いよいよ俺の番。
防具マスクを着用している間、男子バトルブースの大型モニター画面には勝った生徒の名前が次々と表示されていた。
【RPS BATTLE 学年選抜 予選 勝者】
1年A組男子 天城 友助 Tomosuke Amagi
1年D組男子 鈴元 力斗 Rikito Suzumoto
NEW!1年A組男子 依田 旺士 Ouji Yoda
1年A組女子 西郷 刹那 Setuna Saigou
1年C組女子 石川 小春 Koharu Ishikawa
NEW!1年B組女子 今金 香織 Kori Imagane
2年A組男子 斉木 千里 Senri saiki
2年A組男子 片岡 大和 Ymato Ktaoka
NEW!2年B組男子 沖田 俊三 Syunzou Okita
2年A組女子 小脇 結奈 Yuna Kozeki
2年C組女子 三口 莉香 Rika Mikuti
NEW!2年B組女子 前下 姫芽 Hime Maeshita
……
今さっき勝ったばかりの依田は、名前の前に「NEW!」と目立つロゴまで付いている。
うわー、スゲー、プレッシャーだよぉ。
暑くもないのに背中に汗が出てきた。しかしこんなところで負けたくない。
『諦めるな、諦めるな、俺! 明日ユメに俺の試合を見せるんだ!!』
「次、第4試合、白1年C組富岡賢治。青1年D組三上有利」
俺が自分に気合を入れていた時、藤原先生の声がブース内に響いた。
『勝てる、勝てる、勝てる!絶対に勝てるんだ!』
気合を入れたまま、俺は青のバトルスペースに上がる。
そして白のバトルスペースに立っている富岡に一礼をして、開始の合図を待つ。
「両者セット!……RPS GO!」
『イッケェー、俺!ウラァァ!!』
俺の右手が空を切り、体の前に出る!俺の手はパー。富岡の手はチョキ。富岡の左手が俺の胸元に飛んできた。
『お前の攻撃は絶対に防ぐ!!』
俺の左手が、富岡の左手を素早く払いのける。
富岡の電光掲示板に「Attack」と点灯されたが、数秒後、俺の電光掲示板に「Defense」と点灯された。
「「あーぁ」」「「おぉー」」
「白、デフェンス。両者リプレイ」
バトルを見ている者達から出る悲鳴やため息と、冷静な審判の声が混じる。
『よーし、次だ次、ぜってー諦めないぞ!』
俺は体制と気合を入れなおした。