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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
涙と笑いの文化祭~ユメの涙は俺が拭く!
71/109

7-5

 『学年選抜RPS BATTLE』では、バトルに参加しない3年生の担任教員が審判を勤め、1年生の副審は2年生の担任、2年生の副審は1年生の担任がクジで選ばれた。

 1年生男子の主審は3年A組の担任で国語を担当している藤原隆義ふじわらたかよし先生。

 副審は2年C組の担任で数学を担当している志田貴成しだたかなり先生だ。

「では第1試合、白1年A組、天樹友助。青1年B組、松前譲。礼!」

「「よろしくお願いします」」

 トモと松前は頭を下げると、体制を整えた。

 2人の体の位置を確認した藤原先生は、右手を肩くらいの位置までスッと上げた。


「両者セット!……RPS GO!」

 ――しかしここで信じられないことが起こった。

 白、トモの電光掲示板に「Attack」と点灯された瞬間――。

 バシンと何かが叩かれたような音と、ブーーーッと、大きな機械音が響き、「Hit!!!」の文字が白の電光掲示板に赤く光った!!

 「Attack」の表示が「Hit!!!」に変わるまで約0.5秒。

 トモの試合を見学していた誰もが何が起きたか分からなかった。

「ヒ……ヒット、勝者、白、天樹友助!」 

 上擦った藤原先生の声がバトルブース内に響いた。

 青のバトルブースにいる松前は自分の置かれた状況が把握できていないようだ。

 その時、藤原先生の後ろにあるモニターに、今の試合のリプレイが映し出された。

 先生の合図でトモはグーを出し、松前はチョキを出す。

 そして白の電光掲示板に「Attack」と点灯されるまではいつもの流れ。

 ここでモニターがスロー映像に変わる。

 グーを出した右手はそのまま。しかしトモの左手が松前の腹部目掛けてまっすぐ伸びている。

 松前は防御の動きを見せずに、そのままの姿勢でいた。

 モニターに表示されているスピードメーターを見ると、トモが自分の勝ちを確信して左手が松前の鳩尾みぞおちに届くまで約0.1秒しか経過していない。

 松前の動作が遅いわけじゃない。トモの反射運動が早すぎるんだ。

 なぜなら、人間の反応速度の限界は0.1秒だと聞いたことがある。

 しかしトモは視覚伝達から脳が処理して腕に伝達が伝わるまでの全ての処理を0.1秒以内で行ったことになる。

 普通ではありえない動きをトモはやってのけたのだ。


「ス、スゲー。こんなの見たことないぜ」「俺、天樹と当たらなくて良かった」

 トモの試合を間近で見ていた出場生徒は驚愕していた。

 また、トモと対戦した松前もモニターの映像で自分に起きたことを理解したようだ。

「試合終了、両者、礼!」

「「ありがとうございました」」

「勝者、天樹はそのまま体育館にいなさい。敗者、松前は制服に着替え、一般生徒と合流しなさい」

 藤原先生の指示で、トモと松前は礼をして、バトルスペースから降りる。

 トモに一瞬で敗れた松前は先生から防具マスクを外してもらった途端に両手で顔を押さえ泣いていた。

 試合に負けた方はその時点で今年の『RPS BATTLE』参加権が無くなる。

 負けた松前は他の生徒と一緒にクラスの出し物を手伝うか、教室のモニターで『RPS BATTLE』を観戦するしかない。これは結構精神的にキツイな。

 そう思っていたところで、同じく防具マスクを外してもらったトモが俺の側に来た。

 興奮していたのか、少し顔が赤く見える。

「トモ、おめでとう!次は明日だな!」

「ありがとう、明日も頑張るよ」

 試合に勝ったトモは、明日の本戦に出ることが決まった。


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