表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
とある3人の日常生活~花火は最高!
66/109

6-8

「お姉ちゃんとユウ兄ちゃん、何してるんですぅ?」

「ほ、ほら、ユウが肩凝ったって言うから……」

 コンビニから戻ってきたユメが、俺とミクに質問をする。

 ユメにトモのことを知られたくないのか、ミクはわざとらしい言い訳をした。

「あっ僕、線香花火買ってきたんだよ」

「みんなで花火しますぅ」

 トモはコンビニのビニール袋から線香花火とライターを取り出す。

 ユメはその場でピョンピョン跳ねながら、トモが花火の準備をするのを待っていた。

「じゃあ、一人ずつつけるよー。ユメちゃん、火に気をつけてね」

「ハーイなぁ、気をつけるですぅ」

 トモは、ユメ、ミク、俺の順で線香花火に火をつけていく。

「ユウ兄ちゃん、線香花火が途中でポタッってしないと願いが叶うんですか?」

「そうらしいな。ユメ願い事あるのか?」

「イヒヒ~、秘密なのですぅ」

 そう言うと、ユメは静かにしゃがんで、真剣な顔で花火を見ていた。

「……お母さんがお家に帰れますように……」

 秘密と言いながら、願い事を呟いているユメ。

 くうぅ、抱きしめたいほど可愛いぜ!!


『トモに私の気持ちが伝わりますように……』

 ユメと同じく、ミクも線香花火をじっと見つめ、願い事をしていた。


 ジジジジジ……


『あと少し、頑張って、落ちないで!』


 ポタ……。


「トモ兄ちゃん、線香花火くださいですぅ」

「いいよ、火をつけてあげるからおいでユメちゃん」

「はいなぁ!」

 線香花火の火玉が落ちてしまったユメが、立ち上がった。が――。

「足がしびれちゃったですぅ~」

「おっと、危ない」

 ユメは同じ姿勢でしゃがんでいた為、足が痺れてふらついた。

 斜めになったユメの体が俺の方にきたので、とっさに腕を上げて支える。

 その時、振り上げた手がミクの背中にぶつかった――。

『あと少し、落ちないで!』

「ユメ、転ぶぞ!」 


 ポタッ……。


『えっ……』

 ドンッと、ミクの背中に衝撃があった後、ミクの足元に小さな火玉が落ちた。

「悪いなミク。ユメ大丈夫か?気をつけろよ」

「ユウ兄ちゃん、ありがとうですぅ」

『……花火が……』

 ユメは立ち上がると、花火を貰いにトモの側に行った。

 ミクは火玉が落ちた花火の燃えカスをジッと見つめている。

『あと少しだったのにー!』

「ミク、どうした?震えてるぞ?寒いのか?」

 肩を細かく震わせているミクに話しかけた俺。しかし、顔を上げたミクの顔は能面のようになっていた。

「ユウ~!人の恋路をじゃまするヤツは……」

「えっ、な、何、俺、何かしたぁ?――ガハッ」

 ミクはコサックダンスのように、しゃがんだ状態から俺のすねに蹴りを入れた。

「ドォォッ、火玉が落ちたの、俺だけが悪いのかよぉぉ」

「うるさい、問答無用!」

 弁慶でも泣くところを蹴られて、思わず涙が出てしまう。

 こうして俺の夏休みはミクの暴力で終わったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしかったら↓クリック↓をお願いしますm(_ _)m
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ