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そして、試験当日……。
―国 語―
「ええと、漢字『賓』の部首を記せ。は……」
「これは、『ウかんむり』一目瞭然じゃん」(正解:貝・かいへん)
―理 科―
「ええと、磁場内において電流が流れる導体に力が発生する現象は……」
「そうそう、フラミンゴの法則」(正解:フレミングの法則)
―英 語―
「You look tired, Jeff……ユー、ルック、タイヤ、ジェフ……は」
「あなたはジェフのタイヤを見た。だな」(正解:疲れているようだね、ジェフ)
―社 会―
「近年著しく工業化が進んでいるアジア・ラテンアメリカなどの国や地域は……」
「これは簡単、NICE。余裕だな」(正解:NIES)
―数 学―
「整数mと、0(ゼロ)でない整数nを用いてm/nの形に表される数を……」
「見たまんま、分数じゃん。すぐ分かった」(正解:有理数)
よし、今の俺なら大丈夫!トモと一緒に毎日1時間。勉強してきた甲斐があったぞぉ。
「ユウ、テストの結果どうだった?」
「ンフフフン、トモ、来年は同じクラスで仲良くしような!」
テストが終わった後、いつものように階段の横で待ち合わせをした俺とトモ。
問題がスラスラと解けた俺は、嬉しくてトモの肩を何回か叩いてしまった。
「ちょっと痛いよユウ。そんなに自信があるんだ」
「あ、悪りぃ。高校のテストってドキドキしたけど、楽勝だったぜ」
「そっか、良かったねユウ」
「これもトモのおかげだよ~。ありがとな」
一緒に帰宅しながら、今日のテストについて話し出す俺。
問題が解けた嬉しさで舞い上がっていた俺は、トモの笑顔が引き攣っていくことに気づかなかった。
――テストから一週間後――
「な、なんでですの!?有り得ないわ、こんなこと!?」
テストの順位表が貼られている廊下で、西郷は体を震わせていた。
【 第1回 学力テスト 順位表 】
1位 A天城友輔 500点
2位 D時実未来 498点
3位 A西郷刹那 496点
……
……
「おぉ、スゲー1位満点だってー」
「時実さん、凄くねぇ?」「顔も可愛くて、頭も良いなんて最高だな」
オール満点のトモにも注目がいったが、D組のミクの2位の方が注目度が高かった。
「ミクちゃん、すごいよ!2位だって」
「テヘッ、でも、数学で間違えちゃったみたい」
「なーにが『テヘッ』だよ、嬉しいくせに」
廊下でトモに話しかけられたミクは恥ずかしそうに照れ笑いをした。
その時、俺たちの背後に嫌な気配を感じ振り返ると……。
そこには腕を組んで仁王立ちしている、三つ編みにメガネの西郷芹菜がいた。