表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
最初の行事は宿泊学習!
55/109

5-21

「白、天樹。青、賀川かがわ。両者、礼!」

「「よろしくお願いします!」」

 その言葉が掛けられたトモは、対戦相手の賀川に頭を下げた。

『絶対に勝って、生徒会長になる!そして――』

 そこまで考えたところで、トモは頭を左右に振る。

『……いや、今は目の前の勝負に集中しよう』

 ため息を吐いた後、呼吸を整えた。


 A組の主審を務める東方先生が両者の顔を交互に見つめる。

「両者セット!……RPS GO!」

 その時、賀川がジャンケンを出す右手の上に左手を重ねた――。

『――ハッ!?――』

 トモが指の動きを見て判断できることを知った賀川は、右手の動きをトモから見られないように左手で隠した。

『悪いな天樹。俺だって生徒会長になりたいんだよ!』

 賀川の両手が体の前に伸びていく。

 そして右手に重なっていた左手が動き、隠されていた右手が見えてきた。

『あの右手、僅かだが、小指が少し浮いている!』

 トモの右手が素早く前に動く。

 次の瞬間――

 トモの手がチョキ、賀川の手がチョキ。――あいこ!

 2つの電光掲示板に「Draw」と点灯された。


『フフン、やっぱり。手の動きさえ分からなければ、俺にだって勝機しょうきはある!』

 あいこになった瞬間、賀川の顔に笑みが浮かぶ。

『公式練習場でも、天樹の勝ち以外見たこと無かったからな』

 ミクの父親「時実道場」が開いた『RPS BATTLE 練習場』で、トモと同じ時間に練習をすることができた賀川。

 そこで賀川は、トモがジャンケンで1回も負けていないことに気づく。

ト モの動きを見ているうちに、トモの目が対戦相手の手の動きを見ていることが分かった。

『それに……天樹に勝てば時実さんだって――』

 賀川は入学式で見かけたミクに一目惚れをした。

 最初はミクの外見の可愛さに惹かれただけだが、遠くから見ているうちに気持ちが抑えられなくなっていた。

 しかし、『RPS BATTLE 練習場』でトモを見つめるミクを見て、ミクの気持ちに気づいた賀川はトモに嫉妬した。

『天樹に勝って、時実さんも手に入れてみせる!』

「ドロー、リプレイ。両者セット!……RPS GO!」

 賀川の心に気合が入った時、審判の東方先生の声が響いた。

 さっきと同じように、賀川の両手が宙に動き、右手の上に左手が重なる。

 マスクで隠れているため、賀川からはトモの表情を知ることができない。

『生徒会長の座も、時実さんも、俺のモノだぁぁぁ!!!』

 賀川は両手をググッと前に伸ばしてから、素早く右手を動かす。

 その動きに合わせるかのように、トモの右手も動いた。

 トモの手がグー、賀川の手もグー。――またあいこだ!

 2つの電光掲示板に「Draw」と点灯された。

『そう簡単に天樹にやられてたまるかよ!』

 あいこだと分かった賀川の額にはうっすらと汗が滲んでいる。対してトモは黙って何かを考えているようだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしかったら↓クリック↓をお願いしますm(_ _)m
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ