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「トモはやっぱりA組だな!」
天樹という五十音順だと最初に書かれる苗字と、『ある理由』でトモの名前はA組の欄ですぐに見つけることができた。
しかし、俺の名前は前にいる人達の影になってなかなか見つけることができない。
「ユウの名前見つかったかい?」
「ここでもない。うーん、俺の名前はどこだぁ?」
それから数分後……。
「チョッ、なんで俺がD組なんだよぉぉ」
俺は自分のクラスを見て、思わず不貞腐れた声をあげてしまった。
なぜ入学早々悪態をついたかと言うと、この幸命高校は入試の成績順でクラスが決められ、入試点の良い人はA組、悪い人がD組に振り分けられる。
確かに俺は勉強が得意ではないが、入試の時はトモから勉強を教わってそれなりに頑張ったはずなのに……。
俺は横にいるトモの顔を眺めながら深いため息をつく。
なぜならトモは全ての教科を満点で合格し、この後の入学式では新入生代表挨拶にまで選ばれている。
さっき言った、とある理由とはこれのこと。
実はトモの家系は代々医者をやっていて、トモの祖父は医療法人社団・天樹会の会長で父親は天樹総合病院の院長、母親は天樹調剤薬局で薬局長をしている。
頭が良いのは努力もあるが、遺伝も影響しているだろうと思わざるを得ないヤツなんだ。
トモの父親が経営している天樹総合病院は地下2階。地上15階建ての大型病院。
診療科目は30以上あり、屋上にはドクターヘリが2台着陸出来るヘリポートがある。
病床数は1000床。近隣地域だけではなく、時には海外からの患者や要人までヘリコプターで運ばれてくる高次医療病院。
しかも老人や体が不自由で病院に足を運ぶことが困難な人のための往診や検診車のサービスまで至れり尽くせり。
病院食や院内レストランも有名店に勤務していた料理人が作っていて、患者だけではなく一般の人もよく利用している。
そんな超エリートな家系にも関わらず、トモの家族は庶民的でトモを普通の幼稚園~中学校に通わせた。
実際トモも小さい時から一緒に遊んでいるが、成績や家柄が良いことを鼻にかけたことは一度もない。
勉強が苦手な俺と優秀なトモが仲良くしているのを見た同級生は意外な顔をするヤツが多いが。
俺もトモもそんなことを気にしたことは無かった。