表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
最初の行事は宿泊学習!
45/109

5-11

「白、木村。青、天樹。両者、礼!」

「よろしくお願いします!」

 その言葉と一緒にトモと対戦相手の木村は頭を下げた。

「こちらこそよろしくお願いします。精一杯がんばろう」

 これから戦う相手に礼儀正しい言葉を掛けるトモ。

 A組の審判は天堂先生。副審は理科教員の引田和子ひきたかずこ先生

「「「天堂くん、頑張ってー!」」」

 青のバトルスペース後方から防具服を着た女子生徒の黄色い声援が飛ぶ。

 どうやらトモのファンみたいだ。羨ましいぞトモ。

「両者セット!……RPS GO!」

 天堂先生の声と同時に、木村の右手が振りあげられる。

 しかし、トモの腕はすぐには動かない。

 じっと木村の指の動きを見る。


『あの指の動き――僅かだが、人差し指と中指だけが動いた!』

 幼い時から医学書を読み漁り覚えた人体の動き。

『拳のまま、指がまったく動かないのはグー。小指とそれに連動している薬指が動く時はパー。そして、今回は――』

 柔道の練習で鍛えた動体視力。

『まだ早い、まだ……まだ――今だ!』

 そして物事を瞬時に計算できる判断力。

 その知識と才能が合わさった時、トモは自分の出す手を決めた。

 そして、右手でグーを出したトモの目の前には!

 ……木村の右手から出たチョキがあった。

 トモの電光掲示板に「Attack」と点灯される。トモの攻撃権だ!

『右足を一歩前に踏み出し、右腕を前に伸ばしたので、右肩が前に出ている。しかも今、右腕は下がっている――』

 コンピュータより素早く的確に木村の防御の弱点を計算し、迷わず狙いを定めるトモ。

『よし、ここだ!』

 ジャンケンでの勝利を確信していたトモの左手が!

 素早く木村の右鎖骨付近を捕らえた――!!

 トモが右手でグーを出して、左手で攻撃するまで約1秒。

 トモの攻撃まで考えていなかった木村の体は……動けなかった。

 木村は防御の姿勢を取ることも、トモの左手を払うことも、出来ない。

『しまった!』


 ドンッ!!! ブーーーッ!!!


 トモの電光掲示板から大きな機械音が流れた。

 青の電光掲示板には「Hit!!!」と点灯されている。

「ヒット、勝者、青、天樹友助!」 

「「「天樹くん、おめでとう~」」」

 トモの勝利が決まった瞬間――青のバトルスペース側から華やかな声が上がった。

「試合終了。両者、礼!」

「「ありがとうございました」」

 トモと木村は深く頭を下げると、がっちり握手をする。

 その後2人は、先生からマスクを外してもらってから、バトルスペースを後にした。


「トモ、初戦突破おめでとう!」

「ありがとう。ユウも勝ったんだね」

 試合を観ていた俺の側に、バトルスペースから降りてマスクを外して近寄ってきたトモ。

 俺とトモはお互いの勝利を祝うように、ハイタッチを交わす。

「第1投ですぐに攻撃権を得て、さらに勝利をするなんて、さすがトモだな」

「たまたま計算が当たって良かったよ」

「そうか、あっ、俺もちゃんと計算したぞ。俺はあいこが2回続いて3回目で勝ったけど、3回目のあいこの確率は1/9。だから、ぜったいここで勝負がつくと思ったんだ!」(正解:1/27)

 俺が嬉しそうに報告すると、なぜかトモは引き攣ったような笑顔をみせた。

「トモ、どうした?」

「ううん……何でもないよ。あっ、ミクちゃんの登場だね」

 トモの声でD組の方を見ると、バトルスペース上にはミクが立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしかったら↓クリック↓をお願いしますm(_ _)m
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ