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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
入学式~他の高校とはちょっと違うぜ!
21/109

2-10

「俺には関係ないけどぉ、男の俺から見ても今日のトモの新入生代表挨拶はカッコ良かったな」

 ピクッ……と、俺のセリフに反応するミクを見ながら、俺は言葉を続ける。

「トモが挨拶している間、『カッコイイ~』って声があちこちから聞こえたよな」

 ううっ……と、また、反応するミクを見ながら、更に俺は言葉を続ける。

「A組の女子はトモと1日中クラスが一緒だし、トモは優しいからなぁ、女子から『天城くぅん、勉強教えてぇ』とか言われたら、嫌がらずに教えそうだな」

 ふぇっ……と、ちょっと泣きそうな顔になったミクを見ながら、悪ノリした俺は言葉を続ける。

「美少女が云々言っている間に積極的な子に告白されたらなぁ、さっきも言ったけどトモは鈍感だし……」

 ミクが顔を床に向けてすっかり黙り込んだ。

 たまには俺にもこういう反撃の場がないと不公平じゃないか。

 ずっと下を向いているミクの様子に、ちょっと虐めすぎたかなぁ~と、顔を眺めようとした時。


「お待たせー、あれ?ミクちゃん元気ないね?どうしたの?」

 天堂先生との話が終わったトモが、俺達の側に来ると俯いているミクの顔を覗き込もうとした。

「ぜんぜん元気に決まっているじゃない!トモ。お腹空いたぁ、何食べる?テへッ」

 顔を上げたミクは、周りに花と光と蝶が飛んでいるのかと思うくらいの可愛さ満載の笑顔をトモに向けた。

 チキショー、いいところでトモが戻ってきたから、俺が今まで与えてきたダメージが消えてしまったじゃないか!

 ミクの嬉しそうな笑顔を見て、今度は俺の方がガックリと肩を落としてしまった。


「ユウ、どうした?」

「もしかして……具合が悪いなら、早く帰ったほうがいいんじゃない?」

 俺の様子に心配したトモの声に、ミクの口撃がはじまった。チキショー、ムカツクやつだ。

「んな訳ないだろう?大丈夫だよ」

「ううん、無理しなくていいよぉ。コンビニでお粥を買って安静にした方がいいんじゃない?」

 マリア様のような慈悲深い笑顔を浮かべながら、俺という邪魔者を排除しようとするミク。この性悪女め。

「ミクちゃんはいつも優しいね。ユウ、本当に大丈夫かい?」

 トモ、心配はありがたいが、俺はミクに騙されるお前の方が心配だ。

「単に腹が減ってふらついただけだぞ。肉食おうぜ、肉!」

 トモとミクだけ美味しいモノを食べるなんて絶対に許さん!俺の心に気合が入る。

「ハハハ、ユウらしいや。ミクちゃんもお肉系大丈夫?」

「うん、私は好き嫌いないから。なんでも大丈夫」

 トモの問いかけに、ミクは少しはにかみながらニッコリと笑って答える。

「じゃあ、『ハッピー☆ピエロ』でいいかな?」

「ハッピー☆ピエロ」とは、市内のあちこちにある大手ファミリーレストラン。

 品数の多さと値段が安いわりにはボリュームがあって美味しいのだ。

 平日のランチセットは飲み放題のドリンクバー付きで500円。神様、仏様、ハッピー☆ピエロ様なのだ。


「ウンウン、『ハッピー☆ピエロ』にレッツゴー♪」

 ミクは左手を上に伸ばす、爽やかで可愛らしい仕草をした後、トモと並んで階段を降りて行った。

 その後ろを俺が歩き、階段を下り始めた時。

 ミクが俺の方を振り向き、一瞬イーッと口をしかめた顔を見せた。

 しかし、すぐにトモの方を向いて今日のクラスでの出来事を話し始めた。

 先に俺がトモと約束していたのに~。

「あの子可愛い~」「あいつら付き合っていんのか?」

 1階の生徒玄関で、楽しそうに話しながら外靴に履き替えるミクとトモの姿を見た生徒から、羨望の声が漏れる。

 ったく、誰から見てもお似合いなんだから、サッサと告ればいいのに――俺の楽しい高校生活の為にも。

 俺は軽いため息を吐くと、先に歩いているトモとミクの後ろを黙ってついて行った。


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