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しかし、この高校に入学したほとんどの生徒は「生徒会長選抜」か「一芸選抜」のどちらかに参加している。
なぜなら、幸命高校の生徒会役員になった者の中からは、総理大臣、企業の社長など……多数の各著名人が輩出されているからだ。
著名人の中には中学校時代は目立たなかったのに、幸命高校の生徒会役員を経験した後に頭角を現した人が多い。
そしてその著名人のほとんどがインタビュー等で「RPS BATTLEに参加をして人生が変わった」と語っている。
そう、この幸命高校に入学を希望する生徒が憧れているもの。
「運も実力のうち。学力や立派な資格がなくても誰でも平等に生徒会長に立候補することが出来て、生徒会役員になったものには幸運が訪れる」と言われるこのシステムだ。
『RPS BATTLE』システムのルールを簡単に説明すると以下のような感じだ。
・1対1で向かい合い、それぞれ隣り合った80cm四方のバトルスペースに入る。
・バトルを行う時はRPS専用の全身防具を必ず着用する。
・ジャンケンを行い、勝った方は一回の攻撃権を得る。負けたものは防御に入る。
・攻撃する場所は胴体と頭のみで、自分の腕を使って攻撃する。蹴りでの攻撃を行ったものはその場で失格となる。
・防御側が防御をする前にトルソーかヘッドに攻撃が当たれば攻撃側の最終勝利となる。
・防御側が完全に攻撃から逃げ切れば攻撃権は消滅し、再び攻撃権を得る為にジャンケンを行う。
・どちらかが最終勝利を得るか、リタイアするまでこれを繰り返す。
・バトルスペース80cm四方の枠内で移動可能だが、スペースから出ると失格。
・バトルは幸命高校の教職員立会いのもとで行われ、それ以外のバトルは無効となる。
・八百長や無気力試合など悪質な反則をした場合は有期または無期の停学処分。
他にも色々なルールが冊子に書かれているが、ルールは毎年少しずつ改訂されたり、付け加えられたりしているようで、生徒会長の説明によると、新しい項目が書かれたプリントだけ2、3年生には配られているようだ。
この『RPS BATTLE』 は、あくまでも生徒会長を選ぶためのシステムで、生徒に怪我をさせる訳ではない。
したがって『RPS BATTLE』 を行う時には、必ず全身に身を守るための防具を身につける。
『RPS BATTLE』の時に着用する全身防具は、首下まで続くマスクに首から腰までのプロテクター、腕から指先までを覆うグローブ、胸下から足元まで続く肩紐のついたズボンなど。
防具はどれも白色で、冊子に掲載されている着用写真を見ると、フェンシングの選手のように見える。
軽くて薄い素材で作られているが、衝撃に強く安全性と耐久性に優れていて、例えばボクシングの世界王者がこの全身防具をつけた一般人を殴ったとしても、全く怪我をしないようなっている。
手につけるグローブは相手への攻撃を半減するので、攻撃での防御側のダメージはほとんどといって無い。
トルソーとヘッドには衝撃探知機がついており、わずかでも攻撃が当たれば判定が出るようになっている。