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「本校を受験し、入学したのならすでに知っている者がほとんどだと思いますが、当高校の生徒会長は希望者参加による『RPS BATTLE』で決められます――」
体育間の中に、十文字生徒会長からのハキハキとした説明が続いていく。
それに合わせながら、俺達新入生も、冊子を開いて書いてあることを確認した。
この高校の生徒会のメンバーは、男子生徒会長・女子生徒会長・書記・会計と役員補佐4名の計8名。
特に生徒会長を決める『RPS BATTLE』システムは、他校にはない幸命高校独特の選抜システムで、「運も実力のうち」とまで言われている。
RPSとはROCK(岩)、PAPER(紙)、SCISSORS(鋏)の略で日本語に直すと、それぞれが「グー」、「パー」、「チョキ」……つまり「ジャンケン」のことだ。
クラス戦、学年戦、全体戦と……4月から12月まで行われる「ジャンケンバトル」にエントリーをして勝ち抜いた男子が「男子生徒会長」に選ばれる。
同じように「女子生徒会長」も「ジャンケンバトル」にエントリーをして勝ち抜いた女子がその栄冠につく。
生徒会長が男子、女子と2人いるので、この高校には「副会長」という役職は存在しない。
体力、体型などの違いがあるので、男子選抜、女子選抜と分かれてはいるが、男子生徒会長と女子生徒会長の立場は同等となっている。
もし、2人の意見が分かれた時は、他の生徒会メンバーの話し合いなどで様々なことが決められていくそうだ。
対して、書記や会計の役職はこの高校独自の選抜試験「テスト選抜」をトップの成績で勝ち抜いた者が選ばれる。
書記は字の綺麗さと漢字の知識など、国語の能力が要求されるため、学校オリジナルの毛筆や硬筆、漢字テストなどを勝ち抜いたものが。
会計は計算能力の高さが要求されるため、学校オリジナルの計算テストや数学の応用問題を勝ち抜いた者が選抜される。
書記や会計の方に立候補する生徒は「テスト選抜」となるので、「生徒会長選抜」にはエントリーできない。
そして役員補佐の4名は、「生徒会長選抜」と「テスト選抜」の参加者で役員に選ばれなかった、所謂「敗者」の中から選ばれる。
その選考方法とは、役員候補エントリーの時に提出した履歴書を参考に、パソコンの得意な者、スポーツが得意な者、美術や造形が得意な者など、一芸に秀でた者の中から先生と生徒会役員が話し合って選んでいくのと。
男女、生徒会長に就任した者がそれぞれ1名ずつ、敗者の中から直接指名をすることもできる。
しかし、いずれの場合も生徒会選抜システムにエントリーしなかった棄権者は、いかなる理由があろうと生徒会役員になることはできない。
つまりこの高校は、来年の生徒会メンバーをこれから先、約10ヶ月をかけて選ぶのだ。
12月中旬に各役員が決定した後、1月から2月にかけて生徒会の引継ぎをして、新しい生徒会役員達が活動するのは、3年生を送る卒業式から。
したがって生徒会選抜システムには新3年生は参加できない。当たり前なんだが。
後、現生徒会メンバーも在任中は『RPS BATTLE』の手伝いをする為、参加することは出来ない。
3年生と生徒会メンバー、それと一芸選抜参加者と棄権者を除いた、俺達新入生と新2年生の中から選ばれることになっている。