表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
あくまでも番外編っす!
109/109

お菓子のおまけっ!

「ユウ兄ちゃん、トモ兄ちゃん、見に来てくれたですか?」

「ユメの踊り、楽しみにしているからな」

 

 時は流れて、俺達は高校2年生になった。

 札幌市内は今日から「よさこいソーラン祭り」が始まり、大通りにはたくさんの観光客や見物客で溢れている。

 実はトモの父親が経営する天樹総合病院のスタッフも、このよさこいソーラン祭りに参加している。

 そして今回ユメはちびっ子メンバーの一員で踊るんだ。

 

 大漁旗のような鮮やかな半被を着て、顔にフェイスペイントをしたユメは……めっちゃくちゃ可愛いんでないかい!

 ユメを見る俺の顔が自分でもとろけてくるのが分かるくらいだ。

 

「――チーム天樹、リハーサルを開始します……」

 

 俺がユメに見惚れていると、拡声器から呼び出しを掛ける声が聞こえた。

 

「あっ、リハーサルが始まるですぅ。じゃあ行ってきますですぅ」

「おう、ここで見ているから頑張ってこいよ!」

「ハイなぁ、頑張るですぅ~☆」

 

 ユメは俺とトモに手を振ると、リハーサルが行われる場所に走っていった。

 

「トモ、遅くなってごめんね」

「大丈夫だよ。地下鉄混んでいたんだよね?」

 

 ユメと入れ替わるように、ミクが少し息を切らしながらやってきた。

 膝上のワンピースを着たミクを見たトモの顔が赤くなっている。

 今までだってミクの私服を見てきたのに、付き合った途端、照れることはないだろう?

 

「ユメはとっくにリハーサルに行ったぞ。ほらそこ……に……?」

 

 ユメの方を指差しながら視線を走らせた俺は、そこで固まる。

 

「ユウ、どうしたの?……ユメ、なにやってるの?」

 

 リハーサルで踊っているのかと思いきや、ユメは踊りの列から少し離れていた。

 そしてユメの隣には札幌では有名なアナウンサーがマイクを持って立っており、テレビカメラがユメに向いている。

 

「ユウ、ワンセグにユメちゃんが映ってるよ!」

「えっどれどれ、うわっマジか?」

 

 トモが見せてくれたスマホのワンセグの画面に、今ユメがインタビューを受けている様子が映し出されていた。

 

 **********

 

「こんにちはー、お名前を教えて頂けてますか?」

時実夢愛ときざねゆめですぅ」

「ユメちゃんですかぁ、可愛いですね。よさこい参加は初めてですか?」

「はい、初めてですぅ」

 

 男性アナウンサーの質問に、笑顔でハキハキと受け答えするユメ。

 するとユメの周りに若い男性の姿が多くなってきて、スマホやデジカメでユメを撮影している。

 

 その姿を見た俺は……イライライライライライライラ。

 

「それではインタビュー終わります、ユメちゃん、どうもありがとうね」

「ありがとうございますですぅ」

 

 ユメのインタビューが終わり、男性アナウンサーからユメが離れようとした時。

 

「その子、ちょっと写真撮らせて~」

 

 中学生くらいの男子がユメに近づこうとした。

 

「ユメ、ミクが来たぞ」

「ユウ兄ちゃん、お姉ちゃんが来たんですかぁ?」

 

 俺がユメの側に来ると、ユメは俺の腕にしがみついてきた。

 

「あ、あの~、写真……」

「あ゛あ゛?」

 

 ユメに近づこうとした男子中学生がまた、声を掛けてきたので、思いっきり低い声で返す俺。

 

「あっ、いえ、何でもないっす」

 

 俺にビビッタのか、そいつは慌てて人ごみの中に消えていった。

 

 **********

 

「本当、ユウってユメのことになると周りが見えなくなるわね」

「ハハッ、それだけユメちゃんが可愛いってことだよね」

 

 俺がインタビューを受けているユメの側に駆けつけて行った頃、それを見ていたトモとミクが笑いながら話していた。

 

「お姉ちゃん、遅刻ですよぉ」

「地下鉄が混んでいたの、遅くなってゴメンね」

 

 リハーサルが終わって俺たちと合流したユメがミクに突っ込みを入れる。

 

「それにしても可愛い半被ね。ユメに似合っているわ」

 

 大漁旗をデザインいた半被をみて、ミクが笑顔を浮かべると、ユメもニィーっと笑みを返す。

 

「お姉ちゃんの勝負下着には負けますですぅ♪」

「バ、バカ、ユメ、な、何を言うの!?」

 

 ユメの爆弾発言に、ミクの顔が途端に真っ赤になる。

 トモは飲んでいたジュースをむせまくっている。

 まーた、変な雑誌を見ていたなミク。

 俺は冷ややかな目でミクを見る。

 

「だってお姉ちゃん昨日、しろ……ウグググッ…!」

「ユメ、あっちに白いとうきびが売っているから買いに行くわよ」

 

 ミクはユメの口と体を手で押さえて、屋台の方に引っ張っていった。

 

「……トモ、お前の好きな色って白か?」

「そういうユウは何色が好きなんだ?」

 

 俺達はミクとユメが消えていった方向を黙って眺めていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしかったら↓クリック↓をお願いしますm(_ _)m
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ