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RPS BATTLE SCHOOL  作者: 赤木梓焔
リア充は突然に……
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エピローグ1

『RPS BATTLE』の決勝戦が終わった次の日――。


 ザクッザクッと、雪の上を歩く足音がミクの耳に届く。誰か分かる足音にミクは緊張してきた。

「ミクちゃん、ごめんね待った?」

「ううん、こんなとこに呼び出してゴメンね」

 ミクがトモを呼び出したのは、トモの自宅から歩いて5分ほどの場所にある公園。

 幼い頃、トモやユウと楽しく遊んだ思い出の公園にトモを呼び出していた。

 遊具には雪が積もり、遊ぶことが出来ないせいか、公園の中にはミクとトモしかいない。


「ここ、懐かしいね。昔よく一緒に遊んだね」

「うん……そうね……」

「ん、ミクちゃん、元気ないね。『RPS BATTLE』の疲れが出たんじゃない?」

 視線を合わせようとしないミクにトモが一歩近づいた時。

「あ、あ、あのね、わ、私ね……」

 決心したミクがトモの顔を見つめ、話始める。しかし緊張で上手く話せない。

「うん?ゆっくりでいいよ」

「私……私ね、トモのことが小さい時から好きなの。大好きなの!」

 トモの優しい態度に、ミクは生まれて初めて、精一杯の愛の告白をした。 しかし、トモはミクから視線を反らすと、少し顔を伏せ呟いた。


「ゴメン……」

「――ンッ!――」

 トモの口から出た言葉で結果を理解したミクの目からは涙が滲んできた。

「いいの、聞いてほしかっただけっ、じゃあ!」

 告白を謝られたミクは、トモに背を向けると足早に立ち去ろうとした。


「ミクちゃん待って!」

「えっ?ヤダッ、離し――」

 大好きなトモに振られたと思ったミクは、トモに掴まれた腕を離そうとする。しかし―――。

 トモがそのまま後ろから手を伸ばしてミクの体を抱きしめると、ミクの体が一瞬ビクッとなった後固まった。

 ミクの耳元に顔を近づけたトモはそっと囁く。


「女の子から告白させてごめんね。――僕もミクちゃんのことが好きなんだ」

「え――?」

 ミクはそのままの姿勢で顔だけをトモの方に向けた。

 そこにはいつもよりずっと優しい顔をしたトモ。


「僕も……生徒会長になれたら、その時はミクちゃんに自分の気持ちを伝えようっていたんだ」

「トモ、本当に?トモはいつから……私のことを……」

「うーん、幼稚園の頃さ、ミクちゃん女の子達から意地悪されていたよね?」

「……あっ……」

 ミクの頭の中に当時のことが浮かぶ。当時から誰よりも可愛かったミクは、女の子達の妬みで話しかけても無視をされていた。


「あの時さ、僕もユウも女の子達にムカついていたのに、ミクちゃんは笑顔で皆に挨拶してて……そんな一生懸命な姿に目が離せなくなったんだ」

「そうだったの……だからあの時」

「うん、『挨拶できない女の子って嫌いだ』って言ったんだよね」

 無視が続いたある日、トモに話しかけてきたいじめのリーダー格に、トモは冷たく言い放つ。

 リーダー格の女子は初めて見る冷たいトモに泣き出してしまう。

 そして普段穏やかなトモが怒ったことで、ミクへのいじめも無くなった。


「でも僕はユウとかと違って楽しいこととか話せないし、堅物で面白くないヤツだって全然自信が無かったんだ」

「そんなことない!いつだってトモは優しくて、側にいると安心できたの」

「ありがとう。そんなことを言ってもらえるなんて嬉しいよ」

 幼い時から好きだったトモと気持ちが通じ合った瞬間、ミクの目に涙が溢れた。

 トモがミクの顔に手を沿え、親指でゆっくりと涙を拭う。

「トモ……」「ミクちゃん……」

 トモとミクは互いの背中に手を回すと、そのままゆっくりと抱き合った――……。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「さすがトモ!俺じゃ『先に告白させてゴメン』なんてできないぞ。聞いただけで憧れるぜ!」

「そんなことないよ。やだな、照れるじゃないか」

「で、そのあとミクと、チュッとかしちゃったんすか?しちゃったんすよねぇ~、トモ?」

「な、な、なんてことを言うんだよ~、ユウ」

「なに動揺しちゃってんだか。照れなくたっていいだろ?」


――次の日。俺の家に遊びに来たトモからその話を聞いた俺は、顔を真っ赤にしているトモの脇腹をつつきながら、リア充になったことをからかっていた。

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