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4話 進化

「アリス、ステータスを見せてくれ。」


《雪兎》

Lv:36

種族:混沌蟲


特性【無限進化】


スキル【魔蟲の創造】

創造可能種

《魔蟻》

《兵隊魔蟻》

《酸魔蟻》

《甲殻蟲》


残存蟲数

《魔蟻》…21匹

《兵隊魔蟻》…6匹

《酸魔蟻》…3匹

《甲殻蟲》…5匹


そして、今の俺の率いる群はこんな感じだ。

《魔蟻》…3匹

《兵隊魔蟻》…2匹

《酸魔蟻》…3匹

《甲殻蟲》…5匹



レベルは上がったが、随分と群の蟲が減ってしまった。少し焦り過ぎたのかもしれない。


とりあえず、減った戦力を補給しなければなるまい。という訳で、兵隊魔蟻を三匹、魔蟻を十匹、創造した。

後は、ブラックマウスの死体を俺と蟲達で食べ、食べきれなかった分は兵隊魔蟻一匹と魔蟻五匹に任せて巣に運ばせることにした。

兵隊魔蟻と魔蟻には更に、巣についたら巣の拡張を命令しておく。このままだとあの巣が死骸で一杯になりそうだし。


そうすると、俺の率いる群の数はこうなった。

《魔蟻》…8匹

《兵隊魔蟻》…4匹

《酸魔蟻》…3匹

《甲殻蟲》…5匹


「アリス、今の戦力で比較的簡単に倒せる魔物を探してくれ。」


今日はもう冒険する気にはなれない。残りの時間は確実に強くなることに費やすと決めた。


『了解。それなら向こうにワームの群がいるわね。数は五匹よ。』


アリスについて行き、ワーム五匹を問題なく倒す。ブラックマウスに比べれば、大きさも脅威もどうってことない。

だが、そこで俺は蟲達の異変、というか違和感に気付いた。


「なぁ、最初の方からいた魔蟻、明らかに強くなってないか?」


最初のワームを倒し、夜通しの狩りを乗り越え、ブラックマウスとの戦いでも生き残った魔蟻三匹、それと兵隊魔蟻二匹が今さっき創り出した個体と比べて、目に見えて分かる程、強い。特に魔蟻達は、産まれたての兵隊魔蟻よりも強いくらいだ。


『蟲達にもレベルがあるから当然よ。』


「ということは進化もするのか?」


『多分、する個体も中にはいるんじゃないかしら。』


「進化した個体は俺の命令を聞くと思うか?」


クロシアのような問題児が増えるのはごめんだ。それに召還獣であるクロシアと違って、蟲は帰還させることができないので、もしそうなったらなお厄介だ。


『分からないわね。でも、ユキトを襲うことは無いと思うわよ。』


まぁ、分からないことを今考えても仕方ない。


ワーム一匹は俺と蟲達で食べて、残り四匹の死骸はクロシアに食べさせることにした。

なんだかんだ言ってもブラックマウス戦は助かったからな、せめてもの御礼と餌付けが目的だ。

まぁ、一向に言うことは聞いてくれそうもないが。


その後もアリスに頼んで堅実なレベル上げに勤めた。倒した魔物はワームが三匹、小さな蜥蜴リトルリザードが二匹、肉食の蝸牛ガルゴが一匹。

どれもそこまでの強敵ではなかったが、朝派遣した別働隊も頑張ってくれているようで、レベルは着実に上がっていった。


《雪兎》

Lv:42

種族:混沌蟲


特性【無限進化】


スキル【魔蟲の創造】

創造可能種

《魔蟻》

《兵隊魔蟻》

《酸魔蟻》

《甲殻蟲》

《角殻蟲》


残存蟲数

《魔蟻》…15匹

《兵隊魔蟻》…4匹

《酸魔蟻》…3匹

《甲殻蟲》…5匹


新しく《角殻蟲》というのが創造可能になっていたが試すのは後にして、とりあえずは巣に戻ることにした。


巣に戻ると、大量の死骸が俺達を迎えた。朝と同じく弱い魔物ばかりだったが、これだけの量が集まるとやはり凄い。

それに随分と広くなっている。拡張を命令した蟻達が頑張ってくれたのだろう。


「腹一杯まで飯を食べていいぞ。」


俺の命令で死骸を貪る蟲達。心なしか、その表情は喜んでいるようにも見えた。


俺も腹は減っているので、まだ残っているブラックマウスの肉にかじりつく。

ブラックマウスの肉はワームの肉よりも柔らかくジューシーだ。


夢中で食事をしていると、俺の横を三匹の魔蟻が横切った。

どうかしたのかと思い、その行方を目で追う。三匹は壁際まで行くと、いきなり糸を自らに降り掛かるように真上に吐き出し始めた。


「アリス、あれは何をしているんだ?」


そもそもで、魔蟻が糸を吐くこと自体初耳だ。


『あ、あれは、進化の前兆よ。凄い、まさか三匹も進化できる個体がいるなんて。

いえ、もしかしたら、ユキトの特性【無限進化】は産みだした個体にも適用されるのかもしれないわね。でないと、この状況に説明がつかないわ。』


アリスが本気で驚いている。どうやら進化とはそれほど珍しいものらしい。


「つまり、あの魔蟻達はレベル100に至ったわけか。」


ならば、あの三匹は最初から生き残っていたあの個体達で間違い無いだろう。


「俺より先にレベル100になったのは種族差が原因か?」


『そうね。ユキトは一応、魔蟻に比べたら高位種だから。』


俺って高位種だったのか。意外だ。こんな小さな体なのに。

実は俺、かなり強かったりする?


「俺も戦いに参加するか。」


『それはオススメしないわね。確かにユキトは魔蟻に比べたら強いわ。でも、やはり蟲には違いない。ユキトが死んだら全てが終わりなのだから、生き残ることを優先するべきだと思う。』


「そうか。」


まぁ、死ぬのは怖いし痛いのは嫌だからな。アリスの言う通り、大人しく後ろで見ているべきか。少なくとも、明確な武器を手に入れるまでは。



アリスと話しているうちに、魔蟻三匹は大きな繭に変化していた。


「あいつらはいつ羽化するんだ?」


『明日の夜くらいまでは掛かると思うわ。』


明日の夜。このまま繭の状態の三匹を放置しておくのは危険だな。となると、明日は別働隊だけ狩りに行かせて俺も含めた主戦力は巣に残しておくべきか。


食事が終わった後は昨日と同じく、別働隊を派遣し、俺は広くなった巣で新たな魔蟲《角殻蟲》を創造することにした。


「創造、種族は《角殻蟲》、数は一。」


現れたのは甲殻蟲に大きな角があるバージョン。

太さも強度も申し分ないその角は急所に当てることができれば魔物の命を一撃で刈り取ることができそうだ。

角殻蟲、創造には魔蟻十匹分の体力を消費した。

失った体力は周りの食糧を食べれば回復するが、明日のことを考えると、いたずらに消費するわけにもいかない。蟲の数が多くなれば、その消費する食糧だって増える。明日は狩りに出ないのだから、今無理に創造することはないだろう。










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