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13話 罠を作りましょう

《雪兎》

Lv:11

種族:邪毒蟲


特性【無限進化】【蟲を統べる者】


スキル【魔蟲の創造】【麻痺毒生成】【階級付与】


創造可能種

《魔蟻》

《兵隊魔蟻》

《酸魔蟻》

《甲殻蟲》

《角殻蟲》

《建築魔蟻》

《雌魔蟲》

《無限蟲》


剣兎を倒した俺はステータスを確認した。この三日間でレベルは丁度、十上がった訳だが、混沌蟲の頃に比べるとレベルアップは極端に遅い。進化したのだから当然と言えば当然なのだが。


『もう《剣兎》を倒せるようになるなんて呆れた適応能力ね。』


「俺は強くならなきゃいけないからな。

それに俺に言わせればやっと兎程度を狩れるようになっただけだ。まだ俺はこの森に山ほどいる強者の足元にも及ばない。」


まだまだ俺は弱い。兎に勝ったくらいで喜んではいられない。


「とりあえず運ぶか。」


魔蟻を百匹ほど創造し、兎の死体を運ばせる。これほど大きな魔物だ、これでしばらくは飯には困らない。


剣兎との戦いに時間を取られてしまったようで、辺りは夕日の茜色に染まっている。俺も今日は狩りを切り上げて帰ることにした。










『トイレを作って頂きたい。』


夜の会議で《騎士魔蟻》のファイがそう提案してきた。


「許可する。建築魔蟻を使って作らせろ。」


トイレか、俺や蟲達は食べた物を全て体が分解してくれるようでトイレなんていらないと思っていたが幼生体はそうもいかないらしく、無視できない量の糞をしているらしい。


そうそう、幼生体だが昨日初めて卵から孵った個体が現れた。全ての種族に与えた雌魔蟲が卵を産んだようだが、孵ったのは蟻種だけだ。それに産む卵の数も蟻種がダントツに多く、儚蟲がダントツに少ない。

ならば雌魔蟲を増やせば良いかと言えば、そういう訳でもないらしい。雌魔蟲は特別なレベルアップをするらしく、一つの種族に一匹の雌魔蟲でないとレベルが上がらないそうだ。雌魔蟻のレベルが上がれば卵から産まれる魔蟲の質が上がり希少種が産まれることもあるようになるらしい。


会議は後はそれぞれの成果の報告で終了した。どのチームも特に大きな被害も出さず順調にレベルをあげているようで何よりだ。











「今日は罠を作ろうと思う。」


次の日の朝、俺は会議の場にてそう発言していた。

自分の実力以上の魔物を倒すならばやはり罠を使うべきだという考えからだ。


「なので、【チーム蜘蛛(スパイダー)】はこの後集合してくれ。」


『御意』


その後、会議が終わった後、《氷結蜘蛛(アイスタランチュラ)》を筆頭に蜘蛛達が俺の元に集まった。

それらを連れて俺は昨日、事前に目星をつけておいた罠を仕掛けるのに丁度良さそうな場所に向かった。


着いた場所は適当な広さの地面が露出している場所。そこをまずは建築魔蟻を使って大きな穴を掘る。

建築魔蟻が掘っている間に俺は魔蟻と蜘蛛達にギリギリ運べるくらいの大きさの枝を運んできてもらう。そして、運んできた枝を無限蟲の顎で削り、先端を鋭く尖らせる。更にそこに俺の麻痺毒を塗りつければ準備は整った。


大いに体力は削られたが、進化してからレベルも上がって、体力の上限も上がったようで、結構な回数【麻痺毒生成】を使ったが特に問題は無かった。




しばらくして穴が出来上がった。この規模の穴だとせいぜい《剣兎》レベルの魔物しかかからないだろうが、まぁいいだろう。今回のは言ってしまえば試作のようなものなのだから、あまり高望みする気はない。


穴の底に杭のようになった枝を鋭い方を上にして立てる。

杭に塗った麻痺毒は保険だ。もし獲物が穴に落ちてこの杭で死ななかった場合、瀕死ならトドメを刺すのを簡単にする為のものだ。


仕掛けは殆ど終わったのであとはこれを見つからないように隠すだけだ。

まずは《氷結蜘蛛》のユラに糸を掛けてもらい、それを足場にさせて他の蜘蛛達にも糸を吐かせる。すると最終的には白い膜?のようなものができあがったから、その上に魔蟻や蜘蛛達が膜を破かない程度に薄く土を被せて落とし穴は完成した。

端から見たのだと、どこに落とし穴が掘られているのかわからないほどの完成度だ。


後は獲物が掛かるのを待つだけである。

と言っても、獲物が来るまでここで待つのも退屈なので、無限蟲を一匹ここに残し、俺達は巣に戻ることにした。無限蟲とは視覚がリンクしているので、何かあったらすぐに分かる。






罠に何かが掛かったのは、蟲達が全て帰ってきて夜の会議をしている最中だった。

掛かったのは剣兎の二倍の大きさはある猪。アリスが言うに《剛毛猪》というらしい。分類としてはそこまで強い魔物ではないようだが、少なくとも剣兎よりはよっぽど強いのは確かだ。


「チーム全員を急遽集合させよ!!」


猪は運の悪いことに穴に転げ落ち、丁度背中の脊髄に麻痺毒付きの杭が刺さったらしく、全身を痙攣させるばかりで起きようとしない。これなら蟲を総動員すれば勝てる。そう俺は判断した。




百を優に越える蟲の群を引き連れ、俺達は落とし穴に到着した。そこには落とし穴からはみ出している状態で倒れている猪がいた。

ここまで大きい獲物は想定していなかったので、はみ出してしまっているのは仕方ないとして、ともかく早くけりをつけなければならない。早くしないと、他の魔物達が集まってくるかもしれないし、そうでなくとも猪の痺れが取れてしまう。


「全員、行け!!」


夥しい数の蟲が猪に群がる。俺も無限蟲を出し、猪に向かわせる。


結果だけ言うと、猪を殺すのはひどく簡単だった。というのも口から蟲を侵入させ、体内を食い荒らせばそれだけで猪は簡単に死んだからだ。

だが、その後の死骸を運ぶ作業が困難を極めた。とにかく量が多い。出かける前に建築魔蟻に食糧庫の増設を依頼したが、それでも巣に入りきるか怪しいところだ。

しかし、俺の心配は杞憂に終わることとなる。猪の死骸の三分の一も運び切れていない内に邪魔者が現れたのだ。ゴブリンである。


「退却!!」


幸いにもアリスが早いうちに気がつき教えてくれたので、蟲達に被害はない。しかし、取った獲物を横取りされるとは……。

もちろん、自然界ではよくあることだと知ってはいる。しかし、ゴブリンごときに横取りされるのはやはり悔しかった。






















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