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再会 前編
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再会 前編
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ガサリ・・
草むらの方で音がしたので振り向いてみると黒髪の幼女が倒れていた。
「そこのキミ、大丈夫!?」
多分富士登山に来て両親と逸れてしまったのだろう。
いや、それだとこんな樹海の奥までくるはずがない。
こんな小さな子の足ではここに来る前に死んでしまうはずだ。
・・もしかして一家心中か!?
奥まで親と一緒に来てこの子だけ逃げ出したとか?
私は胸に嫌な気持ちが溜まるのを感じた。
「・・親のすることではないな。」
そうと決まった訳ではないがそうだったら一発ぶん殴ってやろう。
取りあえずは風通しのいいところで寝かせてやらないとな。
お腹も減っているに違いない。魚しかないが、好き嫌いは無いだろうか?
とりあえず固い地面に寝かせるわけにもいかない。膝枕をして起きるのを待つ。
「うーん・・燈花ちゃん――」
聞き違いだろうか?私の名前を呼んだ気がした。
そういえばこの子、昔遊んだ人形に似ているな。