それから
・・・
それから
・・・
私の昔話を聞き終えると幼女は涙を流し始めた。
やはり小さい子にこういう話は刺激が強すぎたかもしれない。
こう言う時はどうすればいいんだろうか?
「ひっく・・よかったぁ。私、燈花ちゃんに捨てられた訳じゃ無かったんだ。」
幼女は嬉しそうな笑顔を浮かべながら涙を流している。
どうやら心配はないようだ。私は幼女の頭に手をのせて気を落ち着かせるように撫でた。
しばらくして幼女は泣きやんだ。
そういえば名前を聞いてなかった事を思い出して聞いてみる事にする。
「そういえば、キミの名前はなんだい?」
「私?私はメリーちゃんよ?忘れたの?」
そうだ、メリーちゃんだった。
私の親友だった人形の名前は。忘れないと思っていたのに霞みが掛かってしまっていたようだ。
「そうだ、メリーちゃんが良ければだが、うちに住まないか?」
なにか避けられない事情があったにしても幼い子をこんな所に放り込む親のところになんてメリーちゃんを戻せるはずが無い。
幸い我が家は道場で部屋は余ってるし、事情を説明すれば両親も悪い顔はしないだろう。
まだこの子があの人形とは思えない。
いや、あの人形のはずはない。なんで人形の事を知っていたのかは分からないけど・・・
「いいんですの?私なんかが・・」
「もちろんだ。キミさえ良かったら、だけどね。」
私の言葉にメリーちゃんは太陽の様な笑みを浮かべて抱きついてくる。
そのままのメリーちゃんの唇が私の唇に合わさる。舌が入る。
「えっ!?」
私は突然の事に反応ができない。
メリーちゃんは未だに私の唇と舌を蹂躙している。
10秒くらい蹂躙は続き、唇が離れた時は私もメリーちゃんも息が荒くなっていた。
「不束者ですが、よろしくお願いします。」
「はははっ・・よろしくね、メリーちゃん。」
これが私とメリーちゃんとの出会いだった。
そして私のファ―ストキスの終焉だった。
メリーちゃんが本当にあの人形だという事に理解したのはこれから随分先の事だけど、それはまた別の話――
これにて百合幼女編終了です。
私の所にもこんな幼女が来ないかしら・・・