無題Ⅱ
「無題」の続編です。
「無題」を読んでいなくても、楽しめると思います。
「もう、無理だよ。これ以上は」
最後まで言えなくて、唇を閉じる。目を伏せて、地面を見つめる。
自分でも何を言おうとしていたのか、わからなくなった。
頭が真っ白になって、彼を見つめる。
彼は、なにも言わない。彼のせわしなく動く瞳が、自分を責めているような気がした。
私、彼と別れようとしているの?
ありえない、そんなこと。
ずっとずっと、好きだった。
今だって、愛している。
けれど。
それはいつの日か、重荷になった。
どうしようもなく重くて、彼の負担になっていくのが嫌で。
だんだんと、口数が少なくなった。
メールのやり取りも減った。
一緒に隣を歩くことも、手を繋ぐことさえなくなった。
手をのばしてみる。
私の手は、青白い。
病人のように真っ白で、冷え症だから冷たくて。
そんな私の手を包んでくれるのは、彼の掌しかなかった。
もう、戻ってきてはくれないのだろうか。
そう思うと、目の前が真っ暗になった。
なにも考えられない。なにも考えたくない。息をするのさえ、痛い。
涙が、頬を濡らす。
一時の熱さを残して、涙は頬を滑り落ちていく。
湿った頬は、風に吹かれて冷たくなった。それがまるで、私の心みたいで。
彼がいる。それだけで熱くなった私の心。
彼がいない。それだけでこんなにも空っぽな私の心。
おかしい。涙に、私の心を具現化する力なんてない。
いつかまた、逢えるだろうか。
いつかまた、手を繋いで一緒に歩いてくれるだろうか。
いつかまた、彼はキスを。
――――してくれないだろう。
もう二度と、彼に触れられないのだろうか。
胸をえぐられるような苦しさが全身を貫き、そっと目を閉じた。
いつかまた、彼と笑顔で逢いたい。
それだけのために、今は思う存分泣くとしよう。
調子に乗って、続編まで書いてしまいました。
この小説はどこに向かうのでしょうか・・・?
ぜひ、感想をください。