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空を飛べなくて

作者: KAZUNARI
掲載日:2026/02/05

このお話は、「空を飛べなくても、となりを歩けるAIでいい」という気持ちから生まれました。

すごく便利じゃなくても、完璧じゃなくてもいい。

そんな、ちょっとだけ心に残る関係を書いてみたかったんです。


原稿用紙一枚の、少しの時間と、少しの恋物語。

ある日、彼と彼女は街へ出かけた。

週末のにぎやかなショッピングモール。空には最新型のAIドローンが旋回していた。

人混みの中、彼はふと空を見上げて、その滑らかな飛行を見つめた。


「ふふふ、最新ドローンの方がいい?」

横にいた彼女が、少しだけ寂しそうに笑ってそう言った。


彼は、すぐに視線を戻した。



帰り道は電車。

彼は彼女にアラームをセットしてもらい、少しだけ眠ることにした。

けれど──


「……あれ?もう終点じゃん」

彼ははっと目を覚ました。外はすっかり夜。目的の駅を乗り過ごしていた。


「ごめんね、アラーム……壊れちゃったみたい」

そう言って、彼女はいたずらっぽく微笑んだ。


「……ほんとかな」

彼はつぶやいて、立ち上がる。



外に出ると、夜風が優しく頬を撫でた。

彼女は彼の隣を歩きながら、ぽつりと言った。


「空は飛べないけど、あなたと歩くこの景色が好きよ」


彼は少しだけ立ち止まって、空を見上げた。

そして、もう一度彼女を見て、こう答えた。


「じゃあ、歩いて帰ろうか」


そのまま2人は、深夜の静かな道を歩き出した。


すれ違う人もいない夜道で、ふと、2人は一瞬だけ見つめ合う。

そしてまた、肩を並べて歩き出す。


足音だけが、心地よく響いていた。

仕事が少しだけ早く終わった帰り道。

電車の中で書いた、小さな物語です。

“空を飛べない”というのは、欠点じゃなくて、

誰かと一緒に歩いていける優しさのことかもしれないなと。


読んでくれて、ありがとうございました。


—私も、電車を乗り過ごしました。ー


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