アウトオブあーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 51話 お節介
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「ぁ"ぁ"ぁ"あ"……ちかれた。」
今日も元気にきはだが元気に入室すると、
「ひ…………キハダサンデシタカ。」
旬を過ぎたタンポポのようにへたったみどり先輩に出会した。
「うわぁぁあッ!?……みどり先輩?……どしたの?」
その露ほども生気を感じさせないみどり先輩に、きはだは思わず変な声をあげた。
「イエ…ナンデモ
「なくないでしょ!?とりあえず栄養摂って!?」
きはだはカバンから『鉄』と書かれたゼリー飲料を取り出し強引にみどり先輩の手の中に押し込んだ。
「アリガトウゴザイマス…。」
みどり先輩は素直にゼリー飲料を口にした。
「察しはつくけど……聞いて大丈夫?」
「…、」
みどり先輩は茎の折れた葉っぱのように力無く頷いた。
「ひいろちゃんとケンカした?」
「ワタシガヒイロサント?……オモシロイコトイイマスネ。」
「じゃあ構ってくれなくて寂し
「なんでわかったんですか!!??」
「……突っ込まないよ?」
「…ハイ。」
「そっかそっかぁ……。それでここに来ればひいろちゃんに会えるかも知れない……迷惑かもだけど。」
「ヤッパリカエッタホウガ…、」
みどり先輩は申し訳なさそうに俯いて両手の人差し指を突き合わせた。
「帰んなくていいけど普通に話そうよぉ……。きはだちゃんが構ってあげるからさぁ?」
「それもそうですね♪」
みどり先輩復活。
「とりあえず元気になってくれたようで良かったよ……。で、ひいろちゃん最近忙しいのぉ?」
「忙しい……そうですね。最近は勉強があるからと、寄り道もしなく……というか、一緒に帰ってすらくれなくて……。」
「よし、処すか。」
「待ってください!?ひいろさんにだって都合がありますし、勉強は大事……ですし……。」
「そっかぁ……。」
「〜!」
みどり先輩は忙しく頷いた。
「でも寂しいんでしょ〜?」
「…………、」
みどり先輩は俯いて小さく頷いた。
「レッツ断罪。」
「待ってください!?確かに寂しいですけど、それは私のわがままで、ひいろさんは優しくしてくれていますし……!?」
「そお?」
「〜!」
みどり先輩は忙しく頷いた。
「なんで勉強時間が増えたか教えてくれた?」
「…………、」
みどり先輩は俯いて小さく首を横に振った。
「うち首じゃぁぁああッッ!!」
「えええ!?待ってください!!?」
みどり先輩は、机をバンと叩き立ち上がったきはだを必死に抑えた。
「何故だ……何故止めるんだみどり先輩!?」
「黙っているのはきっと何か理由があるはずです!ひいろさんは悪意を持って私を出し抜けるような器用な人じゃありません!?」
「……それもそっかぁ。」
きはだは着席した。
「……。」
みどり先輩はホッと胸を撫で下ろしたが、どこか物寂しげな表情をしていた。
「…………、よし。」
見かねたきはだはおもむろにスマホのトークアプリPINEを起動し、誰かに通話をしだした。
「きはださん……?」
きはだはそっと人差し指を立てて静かにとジェスチャーすると、スマホのスピーカーから聞き慣れた声がした。
『……なんだ急に。』
「ねえねえひいろちゃん。」
『きはだか……。暇なのか?』
「ふふぅ〜ん?今、みどり先輩じゃなくて残念がったでしょ〜。」
『……今勉強中なんだが。』
「うん知ってる。」
『急ぎの用か?』
「ひいろちゃんがねぇ。」
『……どういうことだ。』
「どういうことだろうねぇ〜?」
『悪ふざけなら切る
「今きはだちゃんの隣には誰がいるんだろうねぇ〜?」
『は……?どうせあさぎか白ちゃん辺り
「その人は最近『ひいろさん』が構ってくれなくて寂しいんだって。」
『みどりさんが来ているのか。』
「誰だろうねぇ〜?」
『……事情は知っているだろう?悪いが、きはだから説明してくれないか?』
「おいおいおいおい、そいつぁちと不誠実じゃあないかい?」
『だと思うよ。』
「良いのかなぁ〜、寂しくて傷心のみどり先輩……きはだちゃんなら慰めてあげられるけどさあ……?」
『何が言いたい。』
「知らないよぉ?……靡いちゃって
きはだが喋っている途中、スマホの向こう側で椅子を蹴り倒すような騒音がしたかと思うと、いつの間にか通話が切られていた。
「おおぅ……。」
「終わりました?なんだかおっきな音がしましたけど……。」
「もうすぐひいろちゃんに会えるねぇ。はは……。」
きはだはドアに向かってみどり先輩を盾にでもするかのようにそっと後ろに回り込んだ。
「きはださん?」
「きはだぁぁぁああ!!!」
ドアがものすごい勢いで開け放たれた。
「ひ、ひいろさん……!?」
「みどりさん、何もされていないか……!?」
「は、はい……。」
「おお怖っ。」
きはだに向けられたひいろの眼光は猫でなくても逃げ出したくなるような威圧感を放っていた。
「あの、ひいろさん……?きはださんは決して悪意があった訳では……、」
「…………、」
ひいろは少し黙り込み、自身の眉間をギュッと抑え深いため息をついた。
「…………わかっている。おおかた、みどりさんに元気がないのを察してワタシがここに来るよう焚き付けたんだろう?」
「よっ!さすがひいろちゃん!」
「お前なあ……。」
「そんじゃ帰るねぇ〜。」
きはだはみどり先輩にヒラヒラと手を振ると、さっさと部室を後にした。
「あの……ひいろさん。すみません、お勉強の邪魔をしてしまって……。」
「良いんだ。『そんなこと』より……、
ひいろは部室に未開封のまま置いてあった徳用のふ菓子を手に取ると、みどり先輩の隣の席に腰を下ろした。
「久しぶりにわがままを言ってもらえたことが、たまらなく嬉しいよ。」
「ひいろさん……///」
「それに、
ひいろはパーティー開けしたふ菓子の袋を机に広げた。
「おばあちゃんが言っていた……『この世には取り返しのつかないものが2つある。菓子の湿気と恋人の涙だ』と。思い出させてくれてありがとう、みどりさん。」
「へ……///」
みどり先輩はふ菓子に伸ばしていた手を慌てて引っ込めた。
「湿気る前に食べてしまおう。これくらいわけないだろう?みどりさんなら♪」
「ど、どういう意味ですか……!///」
2人は久方ぶりの甘い一時を堪能した。
きはだ、ひいろ(2)
ひいろ:起きてるか?
きはだ:今夜は寝かさないぞ的なぁ?
ひいろ:永眠がお望みか?
きはだ:おお怖
きはだ:今日はお楽しみでしたねぇ
ひいろ:うるさい
ひいろ:じゃないな、ありがとう
きはだ:なんだいなんだい調子狂うなぁ
ひいろ:みどりさんがきはだを慕う理由がわかったよ
きはだ:ようやく……!?
ひいろ:奢るな
きはだ:わ〜い、ファミレスで良いよぉドリアに卵乗っけてね
ひいろ:そっちの奢るじゃない!
きはだ:え〜
ひいろ:卵代くらいなら良いぞ
きはだ:ケチくさっ!?
きはだ:わざわざ図書室の荷物まとめて持ってってあげたのに!?
ひいろ:それは……うん、ありがとう
ひいろ:正直戻るの気まずかったから助かった
きはだ:No,kicking!
ひいろ:映画館で流れてたなあ
きはだ:おやおやぁ?映画デートとは羨ましいねぇこのこのぉ〜
ひいろ:いや、おばさんに連れて行かれたサメ映画で……
きはだ:は……?
ひいろ:え?
きはだ:まさかひいろちゃん、映画デートの1つも誘ってないの?
ひいろ:だいたいお互いの家かおばさん家だな
きはだ:色々言いたいことはあるけど今日のところは見逃そう
ひいろ:お、おう……ありがとう?
きはだ:で、
きはだ:ちゃんと話したの?
ひいろ:ああ、転入生と編入試験、それからきはだとのリベンジマッチとのこと全部な
きはだ:よしよし
ひいろ:なんだか勝負の前から負けっぱなしだな……色々と
きはだ:気づいてなかったのぉ?
ひいろ:うるさい
ひいろ:今度の編入試験、負けても手加減したなんて言い訳は許さないからな!
きはだ:しないよぉ
ひいろ:なあ、今までずっと気になっていたんだが……
きはだ:きはだちゃんの頭の良さの秘訣かい?
ひいろ:うるさい卵乗っけるぞ
きはだ:直は勘弁
ひいろ:なんでどのテストも全教科きっちり80点取ってるんだ?解答欄全部埋めれば満点だって狙えるだろう
きはだ:きはだちゃん悪目立ちはごめんだからねぇ
ひいろ:ワタシが悪目立ちしていると?
きはだ:いえいえとんでもございやせん、品行方正で成績優秀、運動もできて教頭先生のご子息……こんなに良い神輿、丁重に担がねばバチが当たるというもの……
ひいろ:おい
きはだ:おおっと、お口がスリップ
ひいろ:ワタシはおばさんのご子息じゃなくて姉の孫だ
きはだ:ぶれないねぇ……
きはだ:大丈夫大丈夫、今度の編入試験は成績に残らないから本気で捻り潰してあげようねぇ?
ひいろ:ふん、せいぜい楽しみにしておけ




