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魔力なし公爵様に嫁いだら  作者: はぐれうさぎ


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第20話 魔道具作り(2)

 魔法陣を刻むレオン様の様子をしばらく眺めていると、無事に刻み終えたのか、手を止めて資料にある魔法陣と手元の板の魔法陣とを見比べだす。

 そして、納得したように頷くと、魔法陣を刻んだミスリルの板を私へと差し出してきた。


「ほら、試してごらん。

 このプレートに魔力を流すと魔力を隠蔽する効果が実感できるはずだよ」


 その言葉に従い、差し出されたプレートを受け取って恐る恐る魔力を流す。

 すると、刻まれた魔法陣が光を放ち、それと同時に私から漏れ出ていた魔力を吸収し始めた。


「おぉ」


「その反応だと上手くいったみたいだね」


 私の反応を見てレオン様がそう口にする。

 けど、これって使った人以外はどうやって効果を確認するんだろう?

 私はなんとなく魔力を吸収されていくのが感じられたから上手くいったとわかったけど、はたから見てわかるものなんだろうか?


「この魔道具はどうやって効果を確認するのですか?

 使った私はなんとなく効果があることを感じられましたが」


「ああ、それは魔力鑑定をすればわかるよ。

 一般的な魔力鑑定器は、対象者から漏れ出る余剰魔力の量をチェックすることで魔力量を鑑定しているからね」


 そう言って、レオン様が用意していたらしい魔力鑑定器を目の前に出してくれる。


「ほら、それを起動したまま鑑定してご覧。

 上手く効果が出ていれば、魔力量が本来よりも下がっているはずだから」


「わかりました」


 そうして、言われるままに魔力鑑定器へと手を伸ばす。

 すると、鑑定器が示す魔力量が私の本来の魔力量よりも少なくなっていた。


「あっ、本当に魔力量が下がっていますね。

 でも、隠蔽というには効果が足りないのではないですか?」


 結果を見て、ふと気になったことを質問する。

 さっきの説明だと、一定の魔力を吸収するという話だったけど、これだと隠蔽とまでは言えない気がする。


「まあ、確かに君の魔力量だとそうなるだろうね。

 一応、僕が使うことを想定した吸収量になっているから。

 あと、さっきも説明したけれど、魔力を吸収するタイプのものは隠蔽というより偽装というイメージに近くなるんだよ。

 だから、このタイプのものだと正常な動作だね」


「そういえば、完全に隠蔽してしまうのは問題だという話でしたね」


「うん、だから対象者の余剰魔力の内、一定以上のものを吸収する形だよ。

 ただ、そのプレートサイズに刻める程度の魔法陣だと、どうしても吸収できる量に限界があるからね。

 君くらいの魔力量になってしまうと、少し下げるくらいにしかならないかな」


 なるほどね。

 いくらミスリルを使っているとはいえ、小さなプレートサイズでは限界も出てくるか。


「ということは、素材や大きさを変えれば、私の魔力量でも隠蔽できるものが作れたりするのですか?」


「素材を厳選しても、これと同じサイズにするのは難しいだろうけれどね。

 ただ、しっかりとした腕輪サイズくらいのものにすれば、君の魔力量でも僕と同じくらいにまで隠蔽することは可能だと思うよ」


 あっ、ちゃんとできるんだ。

 ということは、かつての魔力鑑定のときにその魔道具を持っていれば、今みたいな事態に巻き込まれることもなかったのか。

 いやまあ、うちみたいな貧乏男爵家にそんなものを用意するお金はないから、結局はどうしようもないんだけど。


「さ、魔法陣の効果も確認できたことだし、仕上げをしていくよ」


 一瞬、どうにもならない過去に思いを馳せてしまったものの、レオン様の言葉で思考を現在へと戻す。

 とりあえず、今はせっかくの見学の機会に集中しないとね。

 そう切り替えて、差し出されたレオン様の手に、持ったままだったプレートを返す。


「今確認してもらったように、この状態でも魔道具としての効果はあるんだよ。

 でも、見栄えも含めて、このままだと心許ないから、仕上げとしていくつかの工程を足していく感じだね」


 先ほどのプレートを錬金台の上に置き、私に説明しながらレオン様が端によけていた素材の中から一つの魔石を取り出す。


「これはアンブッシュオウルという魔物の魔石だよ。

 この魔物は自身の余剰魔力を隠すために周囲に霧散させるという能力を持っているんだ」


 そう言いながら、レオン様は魔石をのせた手を錬金台の上にかざし、そこに魔力を込めていく。

 すると、手のひらの上にある魔石が形を崩し、ドロッとした液体状に変化した。

 そして手のひらをゆっくりと傾けていくと、液体になった魔石がゆっくりとプレートに刻まれた魔法陣へと流れ込んでいく。


「えぇっ!?」


「ふふっ、面白いよね。

 ただ、これは僕がやっているわけではなくて、錬金台の機能によるものなんだよ。

 だから、今後練習すれば、君でも同じことができるようになるよ」


 おぉ、それは楽しみかもしれない。

 自分で魔法を使えるようになったときも感動したけど、これはまた違う感動がある気がする。

 そんなことを考えている間にも、魔石は魔法陣へと流れ込み続け、気づけば魔法陣全体に広がっていた。


「こうしてアンブッシュオウルの魔石を流し込むことでこの魔法陣の効果を高めることができるんだよ。

 一応、他の魔物の魔石でも効果は高くなるけれど、魔道具としての機能と同じ系統の能力を持つ魔物の方がより効果的になるね」


 そう言って、魔石を流し込んだプレートを再度私に差し出してくる。

 それを受け取り、先ほどと同じように魔法陣を起動して魔力鑑定器に触れてみる。


「あっ、さっきより魔力量が下がっています」


「うん、ちゃんと効果が出ているね」


 そう頷くレオン様にプレートを返し、次の工程を見守る。


「これが最後の工程だね」


 そう言って、レオン様は最初に取り分けていたもう一つのミスリルのプレートを手に取る。

 すると、そのプレートを使って魔法陣を刻んだプレートを完全に覆ってしまった。


「えっ?」


「大丈夫だよ。

 魔法陣は別に直接触れないと起動しないというわけじゃないからね」


 つい驚いてしまったけど、確かに普段使っているような魔道具でも魔法陣が表に出ているものはないね。

 そう納得し、再びレオン様の行動を見守っていく。


「最後に刻むこれは、固定化の魔法陣になるよ。

 一応、デザイン性も考慮して、魔法陣をデザインの中に組み込んだものだけれどね。

 これを刻むことで作成者以外の魔力で加工できなくするんだよ」


 そう言いながら、レオン様がプレートの端に小さく飾りのようにデザインされた魔法陣を刻んでいく。

 その後、刻み込んだ魔法陣を確認し、その反対側にチェーンを通す穴をあけて手を止めた。


「後は魔法陣に魔力を流せば完成だね」


 プレートを手にしたレオン様がそう言うと、魔法陣に魔力を流したのか、表面に刻まれた魔法陣が一瞬だけ光る。

 どうやら、これで魔力を隠蔽するための魔道具が完成したらしい。


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