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魔力なし公爵様に嫁いだら  作者: はぐれうさぎ


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第1話 唐突な縁談

「プリムラ、お前の嫁ぎ先が決まった」


 いつも通りに過ごしていたある日の夕方、父に呼ばれて向かった執務室でそんな言葉を聞かされた。


「えっ、私の嫁ぎ先ですか?

 フリージア姉さんの婚姻もまだ済んでいないのに?」


「ああ、隠していたお前の魔力量がばれてしまったらしい。

 そのせいで、公爵家から是非にとのことだ」


「うげっ」


 年頃の娘としてふさわしくない言葉が口から漏れる。

 いや、私の魔力量がちょっと多いからって、公爵家からの縁談はないでしょ。

 私なんて、たかが田舎の男爵家の三女でしかないんだし。


「あー、心配するなというのもおかしいかもしれんが、一応お前が心配するような相手ではない。

 というより、どちらかというとかなりの良縁だ」


「良縁?

 うちに公爵家から縁談が来るなんて、お年寄りの後妻とか第10夫人とかくらいでは?」


「いや、さすがに公爵家でも第10夫人はないぞ……。

 ではなく、本当に良縁なんだ。

 相手は新しく公爵家当主となった20歳の若き天才と呼ばれるお方だからな」


「は?」


 えっ、公爵家の当主で20歳の若き天才?

 いや、そんな好物件がこんな田舎の男爵家の小娘に降ってくるわけがないでしょう。


「いやいやいや、お父様、それ絶対騙されていますよ。

 その話の見返りに大金とか要求されていませんか?

 というか、まさか既に払ったなんて言いませんよね!?」


「お前が信じられないのも無理はないが、少し落ち着け。

 ちゃんとした理由がある」


「理由、ですか?」


 その言葉を聞いて、こちらもちゃんと話を聞こうという姿勢になる。

 まあ、正直、公爵家から男爵家に対してまともな縁談が来るという話の理由がまったく想像できないけど。



「……なるほど、要はお飾りの妻として迎え入れたいという話ですか」


 理由を聞いた結果、私の中で出た結論がこれだった。


 どうやら、お相手の新公爵様は生まれつき魔力量が少なかったらしい。

 それが原因で公爵家の後継候補から外され、最近までは公爵家の持つ子爵家の爵位をもらって独立するという予定だったそうだ。

 で、実際に独立のための準備を淡々と進めていたものの、少し前に前当主と次期当主予定だった腹違いの弟が亡くなったことで事情が変わったらしい。

 本来であれば、残った腹違いの妹が婿を取る形で決着するはずだったのに、この妹が前当主の子ではないと発覚したからだ。

 どうやら、跡継ぎを生むために迎え入れられた後妻が分家当主との間に作った子供だったらしく、それが露見したことで親子ともども追放されたのだとか。

 結果、残った新公爵様が公爵家を継ぐことになった、と。


 正直、ここまでの流れだと、なぜ私に縁談が持ち込まれたのかがわからない。

 こんな田舎の貧乏男爵家に縁談を持ち込まなくても、いくらでも手を挙げる貴族家がいそうに思えるから。


 そう思ったのだけれど、どうやら魔力量が少ないというのは思った以上に問題になるものだったらしい。

 新公爵様が公爵家を継ぐと決まったものの、周囲からは完全にお飾りのつなぎの当主として扱われているそうだから。


 とはいえ、いくらお飾りの当主であっても公爵様が独り身というのは外聞が良くないらしい。

 いや、お飾りでつなぎの当主として扱うならそんなこと気にするなよと思ったりするのだけど、どうやら貴族としてそれは許されないそうだ。

 で、結果としてお飾りの当主にふさわしいお飾りの結婚相手も必要だということになり、それに私が選ばれたらしい。






「それにしても、万が一にも子供ができないように、魔力量に差がある相手を探すというのもどうかと思うけどね」


 自室へと戻り、ベッドに寝転がってつぶやく。

 ちなみに、お飾りの結婚相手として私が選ばれた理由のひとつがこれだったりする。

 基本的に男女間の魔力量の差が大きくなれば大きくなるほど、子供ができにくくなるということは広く知られているから。

 まあ、さすがに絶対というわけではないらしいけど。

 とはいえ、子供ができる確率はかなり低くなるそうなので、一応は白い結婚という話ではあるけど、万が一にも子供ができることがないようにとのことだ。


 で、私が選ばれたもう1つの理由は、単純に田舎の貧乏男爵家ということで実家の影響力がないからということらしい。

 まあ、こちらの理由はとてもわかりやすい。

 もし仮に嫁いでくる結婚相手の実家の力が強かった場合、次期当主を決めるときに余計な横槍が入りかねないから、それを排除したかったということなのだろうし。


 そんな事情があり、色々と都合が良かった私に縁談が持ち込まれたということらしかった。


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