24件目の失踪
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モンテドーロ西部、スピネル州の郊外にて。
4人は案内者、もとい通報者の後をついてはるばる、問題の民家までやってきていた。
たかがひとつの都市の中の移動といえども。モンテドーロは並一通りでない大きさを誇る都市であるからして、中々な労力を要する。
しかし、そうまでしてでも見聞する価値のある現場が、そこにはあった。
「身共には現場検証の経験が無いのでよく分からないのですが。素人目線だと、とても事件現場には見えませんね……」
「ふぅん?」
ヴィオラは屈み込んで、床に落ちた被害者のものであろう空のコップをまじまじと見つめる。
それから、シミになった紅茶の跡を確認して、立ち上がった。
「アマンダさん……で、あってるよなアンタ?」
「は、はい!?そうです……」
スピネルの管轄する事務所まで通報したらしい女性、アマンダは少し驚いた様子で眼を開いた。
「本当に、ここに住んでたんだよな?アンタの友人は」
「間違いありません……今日は、彼女と会う約束をしてて、でも一向に来なくて」
「そう怖がんな。ただ確認しただけさ。……成る程、こりゃあ、あのモンテドーロが外部の力を借りようと思うわけだ」
「我々の調査班が正式に記録する前ですので、可能な限りお手は触れないようお願いしますね」
「分かってるさ。……マーキュリー?」
「はい?」
「お前にはどう見える?」
「どう見えるか、ですか」
彼はゆっくりと視線を動かし、周囲の情報を漏らさず読み取る。
それから、苦笑いを浮かべながら顎に手を当てた。
「少なくとも。突然家主が帰宅したとしても僕は驚かないでしょうね」
「サリナ、喜びな。こーゆー現場を飽きる程見てきたヤツでもそう感じてるってことは、お前の感覚は間違ってねぇってことだ」
「願わくば、身共には分からないことがあって欲しかったです」
「残念ながらな。元々分かっていることではあったが……七面倒くせぇ」
「私が初めて現場検証に当たった際の感情を共有できたようで、何よりです」
几帳面に整えられた掛け布団、少々ヨレてシワができているベッドのシーツ、転がった陶器のカップに、染み付いた紅茶とティーバッグ。
お湯が入っていたのであろうポッドは既に冷えており、この現場より誰かが失踪してからある程度の時が経過していることを想像させる。
窓脇のランプの中の蝋は完全に溶け切って、楯状火山のような丘を形成していた。
「それでは、僕から少し質問を。アマンダさん、最後に被害者の方と連絡を取れたのはいつですか?」
「数日前、カフェで会いました。その後は分かりません。彼女の家族にも会ってみたんですけど……やっぱり、数日は会ってないみたいで」
「一人暮らしなんだろ?ま、他人と会う頻度はそんなもんだろうな。後は仕事先に連絡して確認を取ったり、領収証やレシートが見つかればその店に聞き込みしたり、って感じか?」
「はい、その辺りは現在こちらの調査班が実行中です」
「ほーん。じゃ、今のところ私にできることは何もねぇな」
行き詰まったぞ、とばかりにヴィオラはアレキサンドライトを見つめる。
漸次、彼女は返答に迷うようにキョロキョロしてから、微かに笑みを漏らした。
「ふふ。難解さを共有するだけでは、何も進みませんね」
「まぁ、なぁ。これ以上は、取っ掛かりが必要だな」
「いつ切り出すべきか、と思っていたのですが、良い機会です。調査に有用であろうものをお渡しします。こちらへどうぞ」
そういうと、彼女は狭い家屋の外に出て、いつの間にか準備されている簡易茶会セットに腰を下ろした。
強い日差しを避ける為だろう、アレキサンドライトが座る椅子の上に、従者と思しき男が日傘を差している……流石はマフィアのボスだ。待遇が違う。
「今日は気分が良いので。日傘は大丈夫ですよ、クレメンテさん」
「いえ。もしものことがあるといけませんで、はい」
「そうですか……疲れたら、すぐに下がっていただいて大丈夫ですからね。安全第一でお願いします」
「御意。ただ恐れながら、俺が疲れるよりも先に、ボスの方が疲れてしまうと思んます」
「ふふ。確かにそうかもしれませんね。さぁ、皆さんもお座りください」
モンテドーロは、海が近い。
刃のように鋭い光が降り注ぐ中、ツンと鼻につく涼風が抜けていった。
「アンタ、良い上司を持ったな」
「俺のことですか?仰る通りで、ハイ」
「私も良い部下を持ったと思っていますよ?お互い様ですね」
「いえ。俺なんて、上手く団扇も仰げないパンピーで。っと、俺のことよりも、大事なお話があるんですよね?」
サングラスをかけた大男は、その外見に似合わず、少し照れた様子でそっぽを向いていた。
「ふふ。はい、そうですね。雑談はこの辺りにしておきましょう。このように、今のところはまんまとしてやられているわけですが……我々モンテドーロも、ただ指を咥えて市民が攫われていくのを眺めていたわけではありません」
「んなことは、もう伝わってるさ。それで?」
「円滑な調査の為に、このようなものを用意させていただきました」
アレキサンドライトはどこからともなく小ぶりな鞄を1つ取り出し、机の上に乗せると、手慣れた様子でボタンを外す。
中には、何やら通信機器らしきものが4台入っていた。
「トランシーバーです」
「……アンタ、金持ちだな」
「購入したわけではありませんよ。作ったんです」
「は?」
「お忘れですか?ここは、大陸一の職人が集まる場所ですよ?このくらいの精密機器であれば、いつでも作れます」
「それでも、材料費は馬鹿になんねぇだろ」
「ふふふ」
彼女は、トランシーバーを片手に微笑んでいる。
すると、徐に右手を握り締めた。
「ヴィオラさん?」
「なんだ?」
「宝石の名前を、言ってみてください」
「宝石の名前?よし。サリナ、言ってみろ」
「……どうして身共が?」
「良いだろ。お前、喋らねぇしな。そう硬くなるなって。宝石の名前なんて、少しくらいは知ってるだろ?」
「確かに、知らないわけではありませんが……」
はぁ、と溜息を1つ。
しかし、サリナはそこまで迷うような素振りを見せず、即座に宝石の名前を口にした。
「それでは、サファイアでお願いします」
「サファイアですか。特有の蒼色が美しい宝石ですよね——」
そして、彼女は右手を開く。
「これをどうぞ」
「えっ」
「……」
アレキサンドライトの開かれた掌の上には、濃厚ながら透明度のある、親指の爪サイズのサファイアが置かれていた。
緻密なカットの断面は、プリズムのように光を反射し、眩い程の輝きを放っている。
「何をした?」
「このような不思議な力に、皆さんも身に覚えがあるのではないでしょうか」
「手品じゃないとすれば、1つしか無いが」
「改めて、自己紹介を。私は、ジェムストーンマフィアのボスであると同時に、オルガンの一人。コード、《技》。アレキサンドライトと申します」
「《技》……その能力の一環が、これか?」
「はい。私が脳内で構築できるものであればなんでも、このように具現化することができるのです。尤も、サイズや複雑さによって難易度は大きく変わりますし、とてつもなく長い時間を要することもありますが」
「では、やはりこのサファイアは本物なんですね」
サリナはそして、恐る恐るサファイアを手に取る。
そこら辺に落ちているどんぐりとほぼ変わらない大きさだというのに、その華やかさは荘厳な宮殿に全く引けを取らない。
「勿論です。宝石は得意分野ですから。とはいえ、商品価値の低下に繋がりますから乱発することはできませんね。それに、私のようなアマチュアが加工したものよりもずっと、プロの職人が生み出したものは美しいですよ」
「いつか見てみたいです」
「事態が落ち着けば、いつでも。本部でお待ちしていますよ」
「何故教えてくれたんだ?」
「材料費がどう、と仰っていたじゃないですか。このように用意したものですからご心配なさらず、とお伝えしたかっただけですよ。それに」
彼女は、掌を閉じて握り締める。
「秘密を抱えていては、信頼など得られませんからね。お互いに」
「……」
刹那の沈黙が走る。だが、すかさずヴィオラは口を開いた。
「フン。そこまでやらなくても、依頼された時点である程度アンタのことは信じてるさ」
「そうですか。嬉しい限りです。こちらも、協力の為の努力を惜しむことはありませんから」
「——そうそう。オレ達もそれには、変わりねぇ」
ヴィオラ達の背後から聞き覚えのない老人の声が響く。
驚いて振り向くと、白髪の男が1人、後頭部を掻きつつこちらに近づいてきているのが目に入った。
「アンドレアさん?どうしてこちらに?」
「ひでぇじゃねぇか、ボス。月牙泉からの助っ人がもう来てるんなら、オレにも挨拶するチャンスをくれねぇとなぁ。何せ、そのトランシーバーを作ったのはこっちの職人どもなんだからよ」
「……こっちの職人?」
「あぁ、成る程。そういうことでしたか。私の配慮が足りませんでしたね」
「いやいや、良いってことよ」
そして、彼はパラソルの下に入って息を吐いた。
「ふぅ……椅子、借りていいか?老骨に対してこの酷暑は、中々厳しくてね」
「どうぞどうぞ!」
「ありがとう。いや、早くも冷えたヨーグが恋しいね」
「ヨーグ?というか、アンタは?」
「ヨーグを知らねぇのか?お嬢さん、人生損してるぜ。ヨーグってのは、モンテドーロ産のフルーツを使ったジュースさ。微かに残った果肉の食感と、とろみが特徴でね。もし良ければ、君達が泊まっているホテルの方へ届けさせよう」
「いや、それよりもアンタの名前は……」
「飲みたいです」
「あ?」
サリナが真っ直ぐな瞳でこちらを見つめている。
「飲んでみたいです」
「ハハハッ。なら、今夜にでも届けようじゃないか」
「ありがとうございます」
「……」
ヴィオラはそして、額を抑えながら嘆息した。
まぁ、サリナは成人も迎えていない少女だ。
空気を読まず突き進んでしまうことがあっても……あって、も……。
いや。それにしても、マイペース過ぎるのではないか?
「申し訳ありません。ヴィオラさん、マーキュリーさん。アンドレアさんはこういう方なんです。面倒見は良いのですが」
「おぉ?ボスはオレのことをそんな風に見てたのか?」
「代わりに、私から紹介させていただきます」
「……あぁ」
「彼の名前は、アンドレア=プレラーティ。ジェムストーンマフィアと共にモンテドーロを支える職人ギルドの当代グランドマスターです」
「まぁまぁなお偉いさんじゃねぇか」
「何、地位があるだけの老耄に過ぎんさ。オレを追い落とすだけの若もんがこっちのグループから出てきて欲しいもんだよ、全く。いつまで経っても隠居できやしねぇ」
やれやれ、と言った風に彼は背もたれに寄りかかる。
アンドレアは、風貌からして7、80歳でも不思議ではない。
普通なら、とっくに引退して次世代に引き継いでいるところだろう。
「ま、それまでは気張るがな。そのトランシーバーは、こっちからの送りもんさ」
「アンドレアさんが?」
「いや、作ったのはオレじゃねぇよ?オレんとこの職人どもが、ボスから材料を受け取って作ったんだ。モンテドーロの中であれば、どこでも通信できるぜ?便利なもんだろ」
「電波ってヤツか?世界連合の方で確立した技術と聞いたが」
「あぁ、そうそう。世界連合、特にベネトナシュ共和国の科学技術は凄まじいからな。モノ作りはオレ達の土俵だが、モノ作りに必要な技術の開発に関しちゃあ、あそこの右に出る場所はねぇだろうなぁ」
「アンドレアさんは中々、頭の柔らかい方なんですよ。お陰で私も助かってます」
「過去は過去、現在は現在、未来は未来、ってな。オレたちみてぇな前時代の人間こそ、最新の技術を知っておくべきなのさ。そして、それを利用する。でないと、これから生き残るなんて夢のまた夢だろ?ただな……」
アンドレアは打って変わって真剣な様子でヴィオラ達を見据えた。
垂れ幕のように皺の寄った瞼を開き、優しくも芯のある眼が、3人の姿を映す。
「最近の事件で、多くの人間が行方不明になってるのは知っての通りだが。その中には前途有望な若者が沢山含まれていてな。オレ達職人ギルドとしても、困りもんなんだ。この事件の解決には、モンテドーロの未来が掛かっていると言っても過言じゃない。だから、オレからも頭を下げさてくれ」
「わーってるよ。もう断りなんてしないさ」
「ありがとう」
彼の白髪頭がゆったりと持ち上がる。
それから、微かに笑みを浮かべて立ち上がった。
「その言葉を聞いて安心したぜ。ま、オレが頭下げたのも一種の敬意だと受け取ってくれればそれで良い」
「はい。僕たちもこのモンテドーロで、お世話になります」
「ハッ、世話んなるのはオレたちの方だろ?でもまぁ、不快な思いはさせないさ。……さてオレは、そろそろ持ち場に戻るとするかな。何か新しい情報が手に入ったら教えてくれ。オレの方も、できるだけ早く伝達するようにする」
「よろしくお願いします、アンドレアさん」
「おうよ。……あぁ、そうそう」
ヴィオラとアンドレアの眼が合った。
老人の掌の上には、いくつかの硬貨が乗せられている。
「あ?なんだ?」
「君たちはこれで、たんと美味い飯でも食ってくれ。特に、ここは魚介がうめぇぞ。パスタでも、スープでも、ピッツァでも。ま、好きなようにしてくれ」
「いいのか?」
「悪いなんてことはねぇさ。安心しな、これはただの贈り物、プレゼントだ。地道な作業で気も滅入るだろうが、これで元気出してくれ」
「分かりました。ありがたく頂戴致します」
ぶっきらぼうなヴィオラに代わって、マーキュリーが進み出てそれらを受け取る。
ジェムストーンマフィアの創業者達が顔を連ねるその硬貨は、モンテドーロという都市の重みを表しているかのようだ。
「では、こちらからの話はこれ以上ありませんから。アンドレアさんもお帰りになることですし、ここらでお開きにしましょう。皆さん、宜しいですか?」
3人が頷き、アレキサンドライトはにこりと笑う。
炎天下の昼下がり、海に面した大都市の快晴日。
頭が痛くなる程の日差しの下、大規模な捜査が動き出す。
輝かしい黄金都市の底で眠る龍が如く、彼らは貪欲に真実を追い求めるのだった。
*
一行がその場を去り、アンドレアもまた軽い現場検証の後にギルド協会本部へと戻った後。
1人椅子に座って現場を眺め、黄昏ている少女の元に、大木のように聳え立つ何者かが現れた。
その者は、光の無い眼で彼女を見下ろしている。
「遅かったですね」
「フフ。思ったよりも、用事が長引いてしまいまして」
「用事?何を言っているんですか?どうせ、いつもの娼館にでも立ち寄っていたんですよね?」
「……」
かれは答えない。微かな笑顔を貼り付けたまま、口を閉ざしている。
「はぁ。あなたという人は、我慢という言葉を知らないのですか?アルカヘストさん」
「そう言われては困りましたね。これでも、かなり我慢している方なのですよ?」
大袈裟に眉を下げて、腰に手を当てるアルカヘスト。
性欲に負けて遅れた人の口から我慢だなんだと言われても、全く説得力が無い。
「尤も、気を緩めた際の止め処なさは、より酷くなっているかもしれませんが」
「それは、我慢のやり方が間違っています。少しずつ発散するようにすれば良いだけの話です」
「そのような誰でも思いつくような方法ならば、既に試したこともありますよ。それに、あの場所を私に教えてくださったのは他でもないあなたではありませんか」
「……」
呆れのあまり、アレキサンドライトは口をつぐむ。
何かとかっちりしている彼女と、自由奔放なきらいのあるアルカヘストとでは、あまり相性が良くないのだろう。
「まぁ。感謝していないわけではありません。あなたが大量のお金を落としていってくれているお陰で、外縁にある娼館で働く人々は食い扶持を繋ぐことができていますから」
「それは、副次的な恩恵です。私は、あのお店のサービスを気に入っていますからね。この案件が終わった後も、関係が続いている限りお邪魔する予定ですよ」
「モンテドーロの市民全員の幸福を願う私としては、喜ばしいことですね」
だからといって、遅刻を容認するわけではないが。
彼女は折衷案として、軽くかれを睨むのに留めることにした。
アルカヘストは、微笑ましい、とでも言いたげにこちらを見つめている。
むかつく。
「フフ。それで、こちらが派遣した3人についてはいかがでしたか?何かと優秀でしょう?」
「そうですね。これでやっと、本格的な捜査に乗り出すことができそうです」
「22人存在する、アテュをその身に宿したオルガンたち。その内の何人が、このモンテドーロに集まっているのでしょうか。ようやく長い物語が始まるのですね」
「……私は、追い求めます」
アレキサンドライトは握り拳を勢い良く机に叩きつけた。
その苛烈さは、普段の落ち着き払った彼女の様子から遠く駆け離れたものである。
「失踪事件の真実を、絶対に。この裏には必ず、特殊な力を持った誰かが暗躍していますから。私はその者を許しません。このモンテドーロで陰謀を働いたことを後悔させてやらなくては」
「フフ。熱くなっていますが、大丈夫ですか?」
「この事件の存在を知ってからというもの、私の腑は煮えくりかえっています。しかし——」
ふぅ、と彼女は眼を瞑って息を吐く。
すると、その声音はいつもの柔和なものに戻っていた。
「怒れる時ほど冷静に、憎らしい時ほど慎重に。私のモットーですから。お気遣いいただきありがとうございます」
「いえ、元気な様子を久しぶりに見ることができて安心致しました」
「できれば、こんな所は見せたくないのですが。まぁ、協力相手であればこれくらい大丈夫でしょう」
「……アレキサンドライトさん」
かれは彼女の肩に手を置いて、そのまま顔を近づける。
身体の柔らかさを活かしたぬるりとした動きは、まるでろくろ首や一反木綿といった妖怪のようだ。
「なんですか?」
「この件に関して、オーラムさんも裏で動いてるようです」
「……」
「数年前のことを思い出しますね」
「ふふっ」
アレキサンドライトは静かに笑うと、それからアルカヘストの手を振り払って立ち上がった。
その眼には、丘の下に広がるモンテドーロが映し出されている。彼女は今や、この都市の支配者としてその場に立っていた。
「大丈夫ですよ。もう、逃げたりはしません」
「そうですか」
「この都市は沢山の問題を抱えています。最早、モンテドーロという都市そのものは黄金時代を抜けて、ゆったりとした衰退期に入っていることを認めざるを得ません」
「200年もの安定統治。立派なものですよ?」
「それを次の100年、200年に繋げることが私の仕事です。私は、私にできることをやります。だから、あなたは見守っていてください」
彼女は振り向き、監督者を見つめた。
その身長差は歴然としているが、存在感という意味では、小柄の彼女も引けを取らない。
そして、そんなアレキサンドライトに対して、アルカヘストは敬意を払っていた。
お疲れ様でした。
今回の初登場キャラは、アンドレアさんです。
モンテドーロを支配するマフィアとギルドの内、後者の顔役であるグランドマスターに相当する重要人物。
力関係で言えば、ボスと同等の発言力を持つ御仁。
身長はマーキュリーくんと同じくらいですが、かつては優秀な職人だっただけあって、年齢の割に良い体格をしています。
また、実は射撃が得意だとか。
白髪もかっこよく映るくらい、パワフルなお爺さんです。