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アナザーワールド  作者: りんどう
二部 青薔薇の太陽
88/89

会談

いつもありがとうございます。それではごゆっくりお楽しみください。

 朝のメダリオンは、大都市特有の蒸し上がるような人の波、心地良いリズムを刻む馬車の音、大地を震わせながら白煙を放つ蒸気機関のスチームに包まれていた。

 あちこちから香ばしい小麦の香りが漂い、それは焼きたてのパンの姿を思わせる。

 向こうに見える、行列のできたカフェテリアは、かの有名なカフェ・ロズブロークだろうか。

 仕事の関係上、娯楽目的の旅行とはてんで縁のないマーキュリーだが、それでも情報収集がてら、ガイドブックに眼を通すことは度々ある。

 そして、メダリオンの特集となれば、カフェ・ロズブロークの名は必ずと言って良いほど、一面か二面に記載されているのであった。

 毛羽だったつぎはぎだらけのズボンと青い鳥の一枚羽根から成るシンボルが、昇りたての太陽の光を反射し、煌々と輝いている。

 彼は、眼が眩まないように手を翳しながら、間隙を縫うようにして人混みを抜けていった。

 大通りを横断し、人気店と人気店が当然のように隣り合う商業区画の中でも特に格式高いエリアを通過すると、突如として、際立って背の高い円筒形の建物——昨夜、集合場所に指定された幾何学様式的なデザインの尖塔が眼前に現れる。

 マーキュリーがふと立ち止まり、天を衝く頂を見上げると、そこには褐色に錆びついた、しかして新品のそれよりもずっと威厳と歴史に満ちているであろう、薔薇と剣の紋章を眼にした。

 あぁ、美しい。

 昨夜感じた、月を背負う王宮に対する感慨深さとはまた別種の……敢えて言語化するならば、厳かさを前にした平伏にも似た畏敬の念が、自然に湧き上がる。

 土地を囲うように積み上げられたレンガ壁の端。入り口の為に切り離された断面のすぐ脇には、青銅製のプレートが埋め込まれている。

 そこには、“ラグナル外務局本庁舎”と刻まれていた。


「ほほう。最後のお一人とは、あなたのことでしたか。実に興味深い」


 マーキュリーは、その粘り気がありつつも真意の見えない声を耳にして、既視感に駆られた。

 遅れて聞こえてくる、ステッキが石畳を叩く高い音……彼は、眉一つ動かさないながらも、その思わぬ再会を前にして、溜息を吐きたい思いであった。


「改めて、自己紹介が必要ですか?」

「いいえ……一度お聞きしたお名前を、忘れることはありません。お久しぶりです、サイラス=スウェイン様」


 クフ、と喉に何かが詰まっているような、特徴的な笑い声を上げながら、サイラスは鼻下の白髭を震わせた。

 どこか愉快げに眼を細め、杖を持つ右手の上に、左手を重ねる。

 そうか、とマーキュリーは心の内で呟いた。

 彼は、ラグナル外務局に所属するエリートだ。

 それも、ただの外交官ではない。モンテドーロという愛すべき友好国家とのやりとりを統括する存在なのである。

 であれば、外務局の中の地位も、相応に高いものだと予想できる……。


「何か、思案されているようですな。迷いがあるようでは、宰相閣下の足を引っ張りかねませんぞ?」

「お心遣い痛み入ります。ふと、メダリオンに到着してから一度も、貴国の名産と言えるものを口にしていないと思い至っただけのことですので」

「ほう!それは、由々しき事態と言えましょう。ですが、ご安心ください。宰相と外務局長の対談においては、出席者全員に対して、紅茶とケーキが振る舞われる習わしとなっております。我が国の誇り……いや、芸術とでも形容すべき菓子の真髄を、是非にご堪能ください」


 そう口にして、にこりと微笑んだサイラスは、ゆっくりとマーキュリーの前へ進み出た。


「さぁ、それではお部屋へとご案内いたしましょう。本日のワタクシは、ハールヴダン外務局長の駒使いに過ぎません。マーキュリー様に対してこのように申し上げるのは、猿に木登りを伝授するが如き行いだと承知してはおりますが……えぇ。あの方に対して失礼の無いように、よろしくお願いいたします」


 マーキュリーは、ゆったりと一歩を踏み出す壮年の男の曲がった背中を見つめる。

 視線の先に聳える、解放されたままの巨大な扉は、何人たりとも拒まない自由の象徴のように見えると同時に、無差別に命を呑み込む獣の口のようにも見えた。


 

 或いは、外務局の本庁舎とは、マーキュリーにとって敵陣とも言える場所であるからだろうか。

 通された部屋の向こうで、見知った顔が3つ程並んでいるのを見た彼は、らしからぬ安堵感と緊張の弛緩を無意識の内に感じ取っていた。

 しかし、彼女らの表情は、お世辞にもリラックスしているとは言えない。

 この部屋は、3人にとって——特に、アウグスタにとって、戦場と呼べるものであった。


「マーキュリー様……良かったです。無事に合流できたのですね。サイラス様、お手数お掛けしました」

「いえいえ。これは、会談のホストとして当然の務めでございます」

「ホスト……発案者は、外務局長閣下だったのですね。てっきり、アウグスタ殿が主導のものだとばかり」

「ふむ。どうやら、情報通と噂のマーキュリー様でも、我が国の制度については疎いようですな。では、閣下がいらっしゃるまでの余興として、僭越ながらワタクシが説明いたしましょう」


 サイラスは、照明を照り返す程に磨き上げられた漆塗りの木札に、一字一句誤りなく“Silas Swain”と刻まれているのを確認してから、椅子の背もたれに杖の持ち手を引っ掛ける。

 そして、あなたもどうぞ、と促されるまま、マーキュリーは、アウグスタとアイーダの間で空虚を抱いている焦茶の椅子へと腰を下ろした。

 既に、机上には銀製のクローシュで覆われた皿が一枚置かれており、隙間から仄かなクリームとスポンジの香りが漂っている。


「凡そ20年前のことです。内務局と外務局の関係性が最も緊張していた時、ある協約が締結されました。それは、宰相と外務局長の会談は、どちらが発案したかに関わらず、交互にホストとして相手を迎え入れなければならない、ということです。また、使用されるテーブルはこのように——」


 徐に机の輪郭を視線で舐め、変わりないことを認めたサイラスは静かに頷く。


「円卓でなければならないとされました」

「成る程。上下の争いの種となる要素を、一切排除したのですね」

「ほう。流石は、シルバー様の選ばれた傭兵。出来が違いますな」

「彼の聡明さは、本官に依るものではないさ。ま、お褒めに預かれるというのは、実に光栄なことだけれどね」

「話を戻しましょう。何を隠そう、前回は、我々外務局が王宮にお邪魔したのです。であれば、此度は我々が環境を整えるというのが筋というもの。我々とて、進んで諍いを産みたいわけではありません。おもてなしとなれば、このように惜しみなく接待させていただくのですよ」


 ふと、頭上のシャンデリアを見上げ、マーキュリーは眼を細める。

 諍い、か。

 確かに、ラグナルの外務局と内務局は、慢性的な対立関係にあると聞いた。

 それでも、彼らが1つの国に対して奉仕することを選んでいるのは、正しくその理念が国家の為に存在しており、尚且つ取り纏めるだけのカリスマ性を持った国王が上に立っているからなのだろう。


「さて。今頃、奥の部屋で、給仕が紅茶の用意をしていることでしょう。聞くところによると、マーキュリー様は根っからの紅茶党だとか。これは実に幸運なことです!大地で最も茶葉を消費する国家の、最高会議に名を連ねることができるのですから。いかがですか、好みのフレーバーなどあれば、すぐにでも……」


 外交官らしい饒舌さを披露しながら、捲し立てるようにサイラスは言葉を発し、空間を支配する。

 このままでは、本丸と相対する前に疲弊してしまうだろう……思わず、アウグスタが牽制するように口を開こうとしたその時。

 大きな音を立てて、入り口の扉が開いた。

 護衛の一人も連れず、誰かに視線を向けることもなく、真っ直ぐに自らの席と奥の壁に描かれた世界樹の宗教画の頂を見つめながら、奇妙な程均一な感覚で甲高い足音を鳴らし、大股でその男は机の側へと歩み寄る。

 鬱蒼として、喉元を覆い尽くさんばかりの口髭は微動だにせず、広い額の下に繰り抜かれた深い穴の底で輝く両眼は、ダインⅦ世をゆうに上回る厳粛さを備えていた。

 ゆったりとした法衣を羽織った宰相と対照的な、軍服にもスーツにも似た暗色の大ぶりなコートを着た彼は、両肩から黄金の肩章を垂らしている。

 依然として、男は言葉を発しようとしていなかったが、その振る舞いを一瞥しただけで、マーキュリーは彼が何者であるかを理解していた。


「閣下!いらっしゃ——」

「サイラス、吾輩は言ったはずだな。貴様の長所は、時に短所となると」

「……はい、一時も忘れたことなどありません」

「会談の場で軽々な言葉は避けよ」

「申し訳ありません。改めて、肝に銘じさせていただきます」


 どこか焦った様子で、サイラスは静かに頭を下げる。

 禿頭の男は、元より眼中にないとばかりに視線を逸らし、伏せられた木札に手を伸ばすと、ゆっくり持ち上げて名前をマーキュリーへと知らしめた。

 “|Dverg Halvdanドヴェルグ・ハールヴダン”。

 ゴツゴツとした手を軽く上げ、給仕に合図を送りながら、彼は粛々と口を開く。


「役者は揃ったようだな。給仕のサーブなど待ってはいられん、時間の無駄だ。今すぐにでも会談を始めよう。時に、宰相よ。そなたは議題を詳らかにするのを渋っていたな。であれば、進行はそなたに任せようではないか。吾輩及び、麾下の外務局に対して、如何なる報告事項があるというのだ?」

「えぇ。であれば、僭越ながらわたくしが。というのも、此度の会合は、国家を揺るがすに余りある事件が発生したがためのものなのです」


 湯気を上げる香り高い紅茶を受け取り、クローシュをワゴンの上に重ねながら、アウグスタは言い聞かせるように言葉を続ける。

 対するハールヴダンは、人の力ではどうすることのできないこの大地のように、不動の二文字を体現していた。


「であれば、聞かせてもらおうか」

「端的に申し上げます。外務局長、あなたの派遣した部隊が、太陽派に加担するという前代未聞の悪行に手を染めました」

「……」

「これは、単なる末端の部隊が、生命の危機に瀕して魔が差したなどという、情状酌量の余地があるものですらありません。外務局を、そして国王を裏切ったのは、“十人衆”の第五位と第九位だったのです」

「ほう」


 そこで、少しでも彼女の言葉を気に留めるような様子を見せれば、アウグスタの波一つない心の海に、突風を起こすことなどなかったのだろうが。

 眼を見開いて顔を上げたサイラスを横目に、外務局長は一切動じていないようであった。

 或いは、全くもって興味がないのか。

 いずれにせよ、アウグスタの報告が彼の心に響いていないことは確かである。

 それは、国政を主導する立場にある彼女にとって、全く面白くないことだった。

 拝樹教の守護者たる王国の宰相として、彼女は太陽派が齎した悲劇を幾度となく眼にしてきた。

 国民のためにも、現状を看過することはできない……その点で言えば、内務局も外務局も同じ立場であるはずなのに。


「……相槌ひとつで、あなたは済ませてしまうのですね」

「現状、何の証拠も報告もない。それでは、市民の愚かしい噂話に耳を傾けるのと、そなたの譫言に何の違いもないではないか」

「外務局長閣下、それはあまりにも乱暴な言い方というものですよ。敢えて、王国の統治に関わりのない青年を、この場に招いた理由が分からないあなたではないでしょう?」


 不服そうに眼を細めるアウグスタを助けるように、努めて冷静な様子のまま、シルバーは口を挟む。

 ハールヴダンは、どこか不愉快ながらも、試すような眼付きで彼女を見た。


「であれば、この者が——雇われの傭兵に過ぎない男が、今し方宰相の口にした、奇想天外な事実とやらを保証するのだな?」

「仰る通りです、ハールヴダン閣下。僕はこの眼で、“十人衆”の裏切りの一部始終を眼にしました。彼らはゴール村を焼き払い、村民を虐殺し、証拠を隠滅したのです」

「……」

「あり得ない!ダリウス様とサン・ジュスト様は、人格者で知られ、多くの尊敬を集めている方々。特にダリウス様は、アテナバレーの戦役で敵を退けた、救国の英雄なのですぞ!それを、外部のあなたが……!」


 珍しくヒートアップした様子のサイラスが、音を立てて立ち上がり、ずいと身を乗り出す。

 しかし、ティーカップを倒す勢いの彼を左手で制したハールヴダンは、呆れた様子で眼を瞑り、溜息を吐いた。


「続けたまえ、マーキュリー=ヴァレンティヌス。先に言っておくが、無論、この場のあらゆる言葉がそこの書記によって記録されている。根拠が充分でなければ、名誉の毀損としてそなたを国際的に手配することになろうぞ」

「重々承知しております。ゴール村は、異端と繋がっていました。現在、僕の仲間が対処に当たっていますが、人手も戦力も不足しています。このままでは、取り返しのつかない事態に発展する恐れも——」

「あぁ、分かった。充分だ。だが、そなたの言葉も、アウグスタの言葉も、本質的に何ら変わりないな。吾輩は問いを繰り返そう。誰がその言葉を保証する?その主張の根拠を、この場で提示せよ」


 すると、目配せでアウグスタと頷きあったアイーダが、懐から一通の封筒を取り出す。

 それは、当に昨夜、マーキュリーが彼女らに届けた手紙であった。

 絶句した様子で座り込むサイラスを気にも留めず、依然として揺るがない無表情でハールヴダンは便箋を受け取り、開く。


「これは?」

「フェルナンド=ヘンドリクセン第三議長がしたためた、彼の言葉を真実と保証する書簡です」

「なっ……」

「つまり、そなたの言葉は全て真実だと、第三議長が保証するということか?」

「仰る通りです」

「理解できんな。あの女はなぜ、そなたに不相応な大権を与えた?仮にそなたが第三議長を糾弾すれば、それさえも彼女は保証するというのか?」

「そのような言葉で有耶無耶にすることはできませんよ、外務局長。彼女は、マーキュリー様にその言葉を託し、真実を伝えることが最善と考えたのでしょう。長年あの方と交流のあるあなたであれば、理解できるはずです。第三議長閣下は、国家を超越した事態において、最も頼りになるお方であり、聖地に対する奉仕者である我々は、その言葉を信じるほかないのだと」

「……」


 ハールヴダンは、丁寧に手紙を折り畳み、ティーカップに口を付けた。

 ケーキはおろか、紅茶すら、手をつけられるような空気では決してない。

 しかし、若干ぬるくなり始めた紅茶は、喉を潤すだけであれば、これ以上ない温度であった。


「ふむ。封蝋が健在であり、未開封の状態でなければ信頼に足らん……と、普段であれば口にするところだが」

「局長閣下……」

「便箋の文章の末尾にも、第三議長閣下のサインと印が捺されておる。これは、易々と複製できるものではない。そなたの主張を認めよう」


 口元で両手を組み、念を押すように、外務局長は一語一語を口にする。


「今日この日より、ラグナル王国軍大将ダリウス=ローラン及び、ラグナル王国軍少佐アントワーヌ=サン・ジュストを永久に追放する。詳細な処置については、査問委員会を立ち上げ、その結果の如何によって後日通達する。これで良いな?」

「いいえ。もう1つあります」

「言ってみよ。外務局の身内で、これ程の汚職が判明したとなれば、吾輩も協力は惜しまん」

「今日中に、あなたの元まで詳細なレポートを送付します。彼らがゴール村に派遣されていたことは、命令したあなたが誰よりも理解しているでしょう?」

「無論だ。ゴール村が太陽派に汚染されており、“十人衆”までもがその餌食となったならば、相応の対策を講じる必要があるだろう。だが、1つ許容できんことがある」


 それを口にすれば、最早この部屋に未練はないとばかりに、彼は腰を上げた。

 窓から差し込む午前中の陽光を浴びて、ニスの塗られた机の表面がてらてらと輝いている。


「この事実を民衆に知らせるのは、全てが片付いた後だ」

「……」

「反論はしないようだな。不服なようだが、そなたも一介の政治家。安易に“十人衆”の相反を表にすれば、外務局どころか、国内外における“十人衆”の権威は暴落すると理解しているのだろう?その長であるそなたもまた、監督責任を問われることになるのは疑うべくもない。国王に対する奉仕の何たるかを熟考するが良い、宰相よ」


 男は最後に、正面の世界樹に会釈をした。

 アウグスタと異なり、彼が真に支えるのは、王国でも、国王でもなく、その遥か上に聳え立つ神の樹であると言わんばかりに。

 彼が去った後の会議室には、冷めやらぬ熱気と、香ばしくも仄かに甘い茶葉の香りだけが残されていた。

 暫し、両肩にのしかかるような重い沈黙が、思考を阻害する。

 悶々として座っていることに耐えかねたか、サイラスが憤懣やるかたない様子で足早に部屋を出ていくと、緊張の糸が切れたように、シルバーは息を吐いた。

 

「ふぅ……。堅苦しい場は、肩が凝っていけないね。お疲れ様、マーキュリー君。実感はないかもしれないが、外務局長を動かすとは大したものだよ」

「僕は何も。第三議長の手紙のおかげです」

「いえ、お見事でした。わたくしは、どうしてもあの方と相性が悪いようで……」


 アウグスタは、少しばかり表情を綻ばせ、仄かに頬を紅く染めながらはにかむ。

 確かに、彼に対する強硬な姿勢は、どこか彼女らしくないものではあったか。


「この後のことは、皆さんにお任せしてもいいのでしょうか?予定通り、外務局長に現状を共有し、協力の約束も取り付けたことですし……」

「あぁ、君がすぐにでも村に戻り、仲間と合流したがっていることは分かっているからね。後のことは任せたまえよ」


 右腕を曲げ、盛り上がった力瘤に手を当てながら、ウィンクをするシルバー。


「ただ、王都を出る前に、医療局に寄ってから帰ることをお勧めするよ。帰途で傷が開き、倒れられてはお互い寝覚めが悪いだろう?」

「ふふ。はい、急いで戻れば時間に余裕もありますし、そうさせていただきます」


 マーキュリーはそう言うと、音を立てないよう慎重に椅子を引き、立ち上がった。

 課された任務は終わった。

 軍事医療局に滞在する時間を考慮しても、3日あれば確実にゴール村まで帰還できるだろう。

 村で待たせているヴィオラとサリナのため、茶葉でも買って行こうか……などと、朧げに想像しながら、彼は部屋を後にした。

お疲れ様でした。

前回までの新キャラ紹介が終わっていないのに、また新しいキャラが出てきてしまいましたね。

そうです、ドヴェルグ=ハールヴダン外務局長閣下です。

彼の紹介も、後日やらないとですね。

それに、久々のご登場なのが、サイラス=スウェインさんです。

いやぁ、胡散臭いですねぇ。

でも、こういう人って書いていて楽しいんですよね。

増やしすぎるとくどい気がするんですけど、狂言回しとしてめちゃ優秀です。

さて、それでは新キャラ紹介をしていきましょう。

アルフくん、ディアナさん、と来ましたから、次はエクムントさんですね。

フルネームはエクムント=アッヘンバッハ。軍事医療局の局長にして、親衛隊の参謀です。

ちなみに、ラグナル王国には王国軍と親衛隊と駐屯軍があります。

簡単に言うと、王国軍が皆さんの想像される軍隊で、親衛隊は軍としての役割のほか、諜報や長期遠征、護衛といった幅広い業務をこなす精鋭部隊、駐屯軍は文字通り王都に駐屯するスペシャリストって感じですかね。

話を戻しましょう。

眼の下のクマ、痩せこけた身体が特徴なエクムントさんですが、何よりも印象的なのはその喋り方。

「でぇす」とか、「ですねぇ」とか、何かと間延びした語尾になっています。

多分、疲れていて、いつも怠そうだからそうなるんでしょうね。

彼自身は非常に真面目で、有能なのですが。あるいは、真面目だからこそワーカホリックなのかも。

緩いながらも精密な医者としての彼。そして、切れ者として取り立てられ続けた参謀としての彼。

後者の側面は、これからのストーリーで明らかになるかもしれません……お楽しみに。


最後になりますが、感想やレビューなどいただけると本当に嬉しいです。

執筆の励みになりますし、1つ1つじっくりと読まさせていただきます。

それでは、りんどうでした。

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