全ての不可能を除外して
いつもありがとうございます。それではごゆっくりお楽しみください。
マーキュリーは、半ば唖然としながら、傍で額を押さえながら溜息を吐く、赫赫たる容姿の宰相に視線を戻した。
この報告が王国にとって重要だということは、最早疑いようもない。
しかし、国王自ら私室を抜け出して合議の場に訪れるとは、予想だにしないことであった。
「王よ。僭越ながらお尋ねいたします。その鍵束は本来、相手が誰であろうと、譲渡してはならないものであるはず。一体、どのようにして手に入れられたのですか?」
「どうって……管理室の人にお願いしただけだが。割とすんなり貸してくれたぞ?」
「……どうやら、管理室の体制を見直す必要があるようですね」
「なっ!そんなことをしたら、深夜に抜け出して城下を散歩できなく——」
「……」
「あ」
へへへ、と後頭部を右手で掻きながら、決まりが悪そうに口角を上げるダインⅦ世こと、現ラグナル王国元首。
膝の上で両手を組みながらその様子を見守るシルバーは、どこか愉快げに生温かい眼をしながら、わなわなと震えているアウグスタの顔を見上げた。
「フフ。心中察するよ、宰相閣下」
「お黙りなさい。はぁ……全く、去年の襲撃事件で懲りたと思っていた私が浅はかでした。陛下のお部屋の守衛を増員しなくてはなりませんね。それも、とびきり気骨のある方を」
「無体なことを!深夜の散歩は私の数少ない日々の楽しみだというのに!ほら、なんだ、そんなに私が心配ならば、君がついて……」
くればいいだろう、と。
ダインⅦ世が口にしようとしていたことは誰の目にも明らかであったが、その言葉が喉の底から飛び出る前に、はたと途絶える。
彼の瞳が、根源的な恐怖を前にして、小刻みに震えた。
その視線の先には、アウグスタのようやく開かれた相貌が光り輝いている。
憤怒、瞋恚、激昂……その感情は様々な単語で表すことができるが、彼女の瞳の奥に沸き立つ深淵は、そのどれであっても的確に表しきれないだろう。
太陽のような光輪が、細められた眼の端に輝きを迸らせると、国王は忽ち、風の前に降り積もった塵のようにか弱く縮こまった。
「まぁ、まぁ。国王がそのような行動に出る程、王都は平穏に包まれているということさ。無論、宰相たる君の手腕によってね。そう言いたいのでしょう、国王陛下?」
「そう……そうだ!私がこよなく愛する一人娘のお前が、命を賭して作り上げた平和を感じ取りたくてな!断じて、個人的な趣味とか、そういうものが理由ではないのだぞ?」
「……」
アウグスタは、何やら言葉を発しようとぱくぱく空気を噛み、それから再び閉口する。
的確な返しが思いつかなかったのか、はたまた別の理由によってか、彼女は暫しの沈黙の後、溜息を吐きながら腰を下ろした。
「失礼いたしました。大変、お見苦しいところをお見せしましたね」
「いえ……お気になさらず」
珍しく無表情な顔を崩し、困惑気味にぼーっとやり取りを眺めていたマーキュリーは、アウグスタの声を耳に入れるや、すぐさま襟を正して、ダインに向き直った。
想像していた威厳のある国王の像からは遠くかけ離れているが、彼の纏うシルクのような清潔さ、非凡な雄大さ、光り輝く神秘性は、まさしく一国の主たる王威を担保していると言わざるを得ない。
一瞬、首をもたげた疑念は、一瞥の内に溶けて消えていった。
ただ、胸に手を当て、腰を折り、月牙泉の家長に恥じない貞淑さでもって、ダインⅦ世を心の内に迎え入れる。
「お初にお眼にかかります。僕の名前は、マーキュリー=ヴァレンティヌス。御身のお噂はかねがね伺っております……お目にかかれて、光栄です」
「おぉ……まさか、こんなに端ない登場の仕方をしたというのに、ここまでしてくれるのか。いかにも、私がダインⅦ世だ。君の話はシルバーから聞いているよ。随分、優秀な傭兵なようだね。確かに」
ダインはそう言うと、警戒する様子も見せず、マーキュリーの隣に空いていたスペースへと腰を下ろし、興味深げに彼を見つめた。
「聡明な振る舞いをしている。ここまで礼儀作法のなった傭兵は、そう多くない。主人がかの高明なアルカヘスト殿となれば、言葉遣いにも厳しいのかね?」
「旦那様のことをご存知なのですね。あの方も光栄に思われることでしょう」
「ハッハッハ!おだて上手だな、君。雇用主として、近くに置いておきたくなる気持ちも分かるというものだ。シルバー、相変わらず、君の人を見る眼に狂いは無いようだね」
「恐縮です、陛下。さて、陛下がいらっしゃったとなれば、尚のこと時間が惜しい。話を続けよう。陛下は、どこまで聞いておいでで?」
「概ね盗み聞いたさ。俄かには信じられんことだが、彼の持ち寄った手紙……」
全員の視線が、ふと机上の便箋及び、封筒に集まる。
細かい破片になった蝋が、小さな赤いシミを紙に刻みつけていた。
「それがフェルナンド第三議長のものであるならば、信頼せざるを得ない。しかも、だ。そこには、我々の行動を期待するとある。こともあろうに、聖地において随一の力量を持つ彼女がそう記述したということは、余程の事態がゴール村で発生していると見るべきだろう」
「……陛下も、そう思われるのですね」
どこか和やかなムードに包まれている中でも、ただ1人茫然としていたアルフは、力感なく崩れ落ち、ソファの表皮が微かに波打つ。
それは、普段の調子であれば、決して取らないような行動であった。
ましてや、高貴にして偉大なる国王の前で感情を全面に出すなど、到底考えられない。
だが、その不安定さこそが、彼の強みにして称賛を得る理由の1つ、“若さ”が齎す恩恵にして弊害であった。
「あぁ。こればかりは、現実から眼を背けても仕方がないことだ。我々は、聖樹の守護者の異名を取る国家であり、異端の排斥を目指して中心的に行動してきた。なればこそ、第三議長の発令を疑うことは許されない。それが、明確な反論によって退けられるものでない限りはね」
「僕は、信じられません。僕は——」
「アルフ」
「シルバーさん……」
「君が、サン・ジュストと深い交友を持っていることは本官も知るところだ。君が、アイーダを姉であり師と慕うのと同様、大英雄たるダリウスに憧れていることもね。しかし、君の師匠を育てたかつての上官として、敢えて厳しい言葉をかけよう」
シルバーは、サファイアのような眼で動揺するアルフを捉えながら、ずいと身体を少しだけ前のめりにした。
普段の彼女に宿っている、我が子を見守るような温もりは、転じて抗い難い冷たさに変わり、マーブル状に渦巻いて瞳の内を席巻している。
「並べて軍人は、信念のもとに生き、国家のために死ぬべきだ。それができず、あろうことか脆い友情のために現実から眼を背けるような人間は、“十人衆”どころか、軍人として失格と言わざるを得ない」
「くっ……」
「戦場は冷たく、惨い。人の暖かみなど介在する余地はない。無数の兵士を率いるお前は、彼らに死ねと命令することもあるだろう。故に、己の番が回ってきた時、逃亡することは誰にも許されない。躊躇、恐怖、後悔、様々な感情が心中に渦巻くことだろう。しかし、絶対に逃げてはならないんだ。それが、他者に何かを強制する権力を持った我々の責務なんだよ」
「……」
分かったかい?と、最後に口にした声は。
飄々としていて、どことなく締まらないシルバーの姿を思い出させるものだった。
アルフは口をつぐみ、ただ足元を見つめている。
これ以上、シルバーは彼に対して言葉をかけようとはしなかった。
自問自答の時間もまた、感情の整理をする上で極めて重要であることを、彼女はよく理解しているのだった。
「さて、幾度となく話を脱線させてしまい、申し訳ないね。今度こそ、報告を続けようか。シルバー君、ダリウスとサン・ジュストが嘆かわしい行為に及んだことは理解した。では、現在のゴール村の状況について、詳しく教えてくれないか?」
「はい。ダリウスがゴール村に火を放ち、虐殺を行い、住民の殲滅と資料の焼却を企図したことは先程申し上げた通りですが、残念ながらこれは概ね完遂されてしまいました。現在、ゴール村の住民で生き残っているのは、僅かに11名。うち5名は、火傷や切り傷による重傷を負っていました」
「記憶が正しければ、ゴール村の人口は400名から500名ほどだったはずです。とすると、90%を優に越す人々が殺害されたことになりますね……続けてください」
「また、役場の2階に収められていた多くの資料も燃え尽きてしまい、大半の証拠は彼らの手によって消滅させられてしまいました。しかし、尚も彼らは、ゴール村に執心しているようなのです」
「ふむ。それだけの大規模な破壊行為を行なっていながら、未だに執着するとは不思議なものだ。不必要になれば姿を消し、別の場所で新しくコロニーを形成するのが太陽派の常套手段だろう?」
ダインⅦ世は顎髭を撫でながら、納得いかないとばかりに声を漏らす。
電球の光に当たって形成された影は不気味に引き延ばされ、大理石の床にシミのような暗がりを落とした。
「ダリウスは撤退時、再びゴール村を狙うと言い残して、教父が生み出す霧の中に消えていきました。故に、ゴール村が太陽派にとって何か特別な意味を持つことは、間違いのないことだと思われます」
「そちらについては、調査中ということかな?」
「はい。僕の同僚と第三議長閣下が協同し、防備を固めながら現地で調査を進めているところです」
「ゴール村に特別な意味、ですか。突き止められれば、我々の悲願である異端の排斥に大きく近づくピースとなるやもしれませんね。1つ、思い当たるものがあるとすれば——」
そう言って、アウグスタは口を閉ざした。
5秒、10秒、15秒。
時計の針の音だけが静寂を揺るがしており、言葉が続くことはない。
「どうしたのかね、アウグスタ。間違っていたところで、私は責めはしないぞ?」
「そうではないのです、国王陛下。陛下の前で、この言葉を口にするのは……」
「では、代わりに本官が言おうか。“廃帝の棺”だろう?」
「シルバーさん!」
「……」
瞬間、白髪混じりの男は眉を顰めた。
“廃帝の棺”……その単語は、マーキュリーにとって聞き覚えのないものだ。
しかし、ラグナル王国の政界において、廃帝という言葉がどのような意味を持つかは、嫌というほどよく知っていた。
「いや、そう気にするな。私が居ることで議論のできない内容など、あってはならないのだから。しかし、“廃帝の棺”か。真実であれば、厄介な問題になるな」
「恐れながら、お尋ねしてもよろしいでしょうか?“廃帝の棺”とは、どのようなものなのですか?」
「文字通りのものですよ。その棺の中には、行方不明になった廃帝の遺体が納められていると言われております。主派にとっては仇敵の肉体、異端にとっては紛うことなき聖遺物。双方に対して極めて大きな意味を持つ、二者の争いの中心となるアーティファクト。それが、“廃帝の棺”です」
「ありがとうございます。その棺が、村に隠されているかもしれない、と」
「単なる推量に過ぎません。しかし、彼らがそこまでして執着する理由として思い当たるものが、棺以外に無いというのも事実ですね」
アウグスタは紅い紋様の煌めく腕を組みながら、苦々しげに眉間に皺を寄せた。
「加えて、彼らはあなた方の伝令を誘拐し、息のかかった別の伝令に取り替えていたのでしょう?これは、繰り返せば繰り返す程、真実が露見する可能性の高まる危険な行為です。そのようなリスクを負ってでも情報を絞っていたということは、彼らも逼迫した状況に置かれている証左と言えるでしょう」
「或いは、本人が口にしていた通り。マルセル=ブルトンという男は、本当に信頼されていたのかもしれません。彼が居る限り、村の秘密は守られるだろう、と」
「マルセル=ブルトンというのは、確かゴール村の村長の名前だったね?」
「はい。ブルトン村長は、水面下で太陽派の教義を浸透させ、ゴール村を異端の巣窟に変えてしまいました。言わば、太陽派との癒着を推し進めた元凶です」
「ふむ。敵ながら驚嘆すべき手腕だ、常人の業ではない。思い上がるだけの力量を持ち、教父からも充分な信頼を得ていたのだろうね。実際、交友のあった村が検挙されていなければ、今も素知らぬ顔で活動していたことだろう」
「……こうなれば、シルバー様が当初に仰っていた制約とやらも、適用されないのではありませんか?」
「制約?……あぁ!フフ、君は記憶力が良いね。本当に、抜け目のない男だ」
虚を突かれたとばかりにシルバーは眼を丸くさせ、微笑む。
制約。そもそも、マーキュリーたちが彼女らの代わりにゴール村を調査したのは、王国と関わりの薄い調査員である方が、何かと都合が良いという理由からだった。
しかし、ことここに至っては、体面など気にしてはいられないだろう。
「うん、マーキュリー君の言う通りだ。ここまで真実が露呈し、“十人衆”の裏切りというあってはならない事態にまで発展した以上、我々が動かないわけにはいかない。国王陛下、いかがですか?」
「無論、そのつもりだ。国を挙げて、ゴール村の死守に力を注がなければ。勿論、限度というものはあるがね。アウグスタ、君は即刻、村へと派遣する人員を決定し、明日までに私に報告してくれ。できれば少数精鋭がいい。彼らに勘付かれず、合流するのが賢明だろうからね」
「承知いたしました、陛下。マーキュリー様、他に何か報告するべきことはございますか?」
「いえ。僕が伝えるべきことは、ダリウスとサン・ジュストの裏切り、ゴール村と太陽派の癒着、ゴール村の現状報告、そして太陽派の再来に向けた注意喚起。この4点に尽きますから」
結えた金色の髪を揺らしながら首を縦に振ると、アウグスタは徐に立ち上がる。
そして、丁寧に便箋を封筒の中に入れ、胸の内にしまうと、茫然自失な様子のアルフを一瞥して口を開いた。
「アルフさん。お時間よろしいですか?」
「あ……は、うん」
「場所を変えましょう。1つ、ご相談があるのです」
「相談……分かった……」
「それでは皆様方、お先に失礼いたします。良い夜を」
「……良い夜を、みんな」
「あぁ。良い夜を、アウグスタ。それに、アルフもね。ゆっくり休みなさい」
アルフはぎこちなくダインの言葉に頷くと、アウグスタに続いて腰を上げる。
その背中は、どこか萎んで、酷く小さく見えた。
年齢以上に頼り甲斐があった先刻の後ろ姿と、マーキュリーの記憶の中で重なり、混ざっていく。
大丈夫だろうか、と声を掛ける前に、二人は扉を押し開き、部屋から姿を消してしまったが、その間に、誰一人として言葉を発することはなかった。
「ふむ。行ってしまったな。であれば、今日のところは解散としようではないか。服の汚れ具合を鑑みるに、大変な旅路だったのだろう?」
「汚れ……あぁ」
そうだ。
脇腹には、血の染みがある。
仮に国王が姿を見せると分かっていれば、似合わない服を買ってでも、事前に着替えておいたのに。
「申し訳ありません。お恥ずかしい限りです」
「ハッハッハ!まぁ、そう言うな。努力の証じゃないか。とはいえ、寝る時も血の匂いがするというのは考えものだろう。今夜は、王宮の一室を貸与する。そこで服を換え、じっくり休息を取るといい」
「僕に、ですか?」
「他に誰が居る?努力は報われるべきじゃないか。当然、これくらいの報酬は受け取るべきだろう」
ダインはそう言うと、人懐こそうに笑い、立ち上がった。
未だに人差し指の中で揺れている鍵の束が、高い音で鳴いている。
「巡回の衛兵には私が伝えておく。シルバーはこの後、目ぼしい部屋に案内してやってくれ。私は……ふわぁ。疲れてしまった」
「えぇ、勿論です。本官にお任せください」
目端に涙の粒を抱えながら、国王らしからぬ蕩けた表情を浮かべつつ、彼はノブに手を掛ける。
老いて夜更かしなどするものではないな、などと独り言を溢しながら、等身大の老人は、気怠げに部屋を後にした。
これが、ラグナル王国の元首か、と暫しマーキュリーは感慨に耽る。
しかし、すぐに現実へと引き戻されると、どこか懇願するように残ったシルバーを見つめた。
「シルバー様。国王陛下直々に、身に余るお誘いをいただいたところ誠に恐縮なのですが、僕は一刻も早く……」
「ハハッ!マーキュリー君。もしや、既に仕事を終えた気分で居るのかい?或いは、村に置いてきた仲間が気が気でないとか」
「……。どちらかといえば、後者です」
「あぁ、分かっているさ。君はそういう人間なのだろう。しかし折角、直接私たちにゴール村の状況を伝えてくれたんだ。明日の対談にも是非、出席して欲しい」
「対談?」
シルバーは深刻そうに表情を固め、車椅子の車輪を動かしながらマーキュリーに向き直る。
その動きは、どことなく演技めいた大仰なものに感じられたが、直後に鼓膜を震わせた言葉の内容を鑑みると、そうと言い切るのはあまりにも愚かしいことだった。
「明日、ディアナの取り計らいで、私と宰相、そしてアイーダは、ドヴェルグ=ハールヴダン外務局長と対談する。内容は、主に君が口にした、ゴール村の問題に関わるものだ。君にも、同席してもらえないだろうか?」
マーキュリーは真っ直ぐに、シルバーが浮かべる深い青によって貫かれた。
拒絶を突きつけることもできただろう。
疑問を投げかけることもできただろう。
しかしその提案は、彼の願望と懸念を優に掻き消す程、あまりにも重要であるように思えるのであった。
お疲れ様でした。
国王がサプライズ登場するというハプニングもありましたが、マーキュリーくんはなんとか正確に情報を報告できたようですね。
流石はマーキュリーくん、仕事は冷静にこなす男です。
そして、次回はとうとう、あの男が登場します。
それに、皆様には忘れ去られているかもしれない、あの外交官も再登場するかも!?
乞うご期待ください!
さて、それでは、私の不手際で延期になってしまったキャラクター紹介をやっていきましょう。
今回の主役は、ディアナ=クレメンティアさんです。
といっても、まだちょい役でしかありませんが。
前々回に登場した、ギルドの受付役をやっているあの子のことです。
ラグナル王国の、それも中心地であるメダリオンのギルドラウンジで毎日、朝から晩まで入れ替わり立ち替わりやってくる仕事の依頼者と請負者とを仲介している凄腕中の凄腕。
勿論、彼女以外にもスタッフは居るのですが、彼女が居れば、大方一人で仕事が片付いてしまうことでしょう。
しかも、どんな仕事に対しても嫌な顔せず、淡々と笑顔のままこなしてしまうのですから、超人と表現せざるを得ません。
マーキュリーくんの様子を見るや、すぐに只事ではないと理解し、シルバーやアウグスタに重い腰を上げさせ、報告の場を整えてしまう……そんな彼女は、優れた柔軟性と行動力を併せ持つ女性と言うことができるでしょう。
ディアナさんがギルドの受付役を担っている限り、ラグナル・ギルドが仕事に追われることはないでしょうね。
勿論、直属の上司であるアイーダさんやシルバーさんは、ギルドの顔役として、また別の大変な業務に勤しんでいるわけですが。
ちなみに、ディアナさんは普段武器を持っておらず、受付役らしい明るい格好で傭兵や商人、旅人を迎え入れているのですが、ギルドというのは時に荒くれ者が訪れる場所でもありまして。
そういった「ハプニング」の収拾も、彼女が率先して、しかも迅速に、対応しているようです。
はてさて、底知れない、末恐ろしい人物ですね。
噂によると。ディアナさんが“十人衆”第一位にして宰相のアウグスタさんを凄み、圧倒している現場を目撃したことがある人が居るとか、居ないとか。
市井の人々は、そういう根も歯もない、どことなく面白い噂話を好んで広めるものですからね。
彼女のように優しく、魅力的で仕事に秀でた人物は、そういった迷信の格好の的なのかもしれません。
最後になりますが、感想やレビューなどいただけると本当に嬉しいです。
執筆の励みになりますし、1つ1つじっくりと読まさせていただきます。
それでは、りんどうでした。




