表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

目覚めた俺、天井をみる

「村をやったのはあなたですか」


まずは、まずはこの確認だ。

敵だったら逃げないとやばい。

でももし敵だったとして、この質問はまずいかもしれない。記憶があることで消されるかもしれない。

選択ミスをしてしまったかもしれない。

そう思っていると、男はフッとわらった。

何わろてんねん。


「それはちがう。あれは僕じゃない。というか僕のこと覚えてないの」


違うらしい。

覚えてないのと聞かれても思い出せない。

うーん、と考えを頭にめぐらせていると


「覚えてないのか、じゃあこのクリスタルは覚えているかい、ラビト」


そういって俺の名前を言うと、クリスタルのはめ込まれた棒を俺に差し出してきた。

その瞬間、柔らかな光に包まれていく。

そして頭に映像が浮かんできた。


それは幼き日の俺とこの男だった。

村長と話しながら俺は男にベッタリだった。

外から来た人間。そしてとても強い。

白いドラゴンを従えた男。

この男はグラディアスだ。

ポーターというのをしているらしい。

ポーターというのがなんなのかわからないが、簡単に言えば運び屋らしい。

剣を教えてもらったり、魔法を見せてもらったりと男の子ならワクワクすることを沢山教えてくれた人だ。


「グラディアス」


俺は思い出した。

めったに人が来ない村で突然白いドラゴンにのって現れた男。なぜ現れたのかは理由はわからないがとてもかっこよかった記憶がある。


「やっと思い出したか。本当にラビト、君が生きててよかった。そして、村を助けられず申し訳ない」


悲しそうな顔で謝るグラディアス。

なんで彼が謝るのかはさておき、村はどうなったのだろうか。あの感じではもう、全滅だろうが改めて聞いておく必要がある。

意を決して俺は口を開いた。


「あの、村はどうなったんですか」


その言葉にグラディアスは目を伏せる。

言葉にはしていないがそれが答えだろう。

やっぱりだめだったか、そうなるとこれからどうするべきだろうか。

帰るところはもうない。かといって頼れる人はいない。

グラディアスは知ってはいるがそこまで頼ることは出来ない。不安が一気に襲ってくる。

これからどうしようか。一難去ってまた一難。

悲しむ余裕はまだないのである。

そんな事を考えているとグラディアスはお茶を渡してくれた。


「これからのことを話さなければならない、そして君は真実を知る必要がある。少しだけあとで付き合ってもらえるかい。」


目は真剣である。

真実とはなんだろうか。とにかくその話で俺の行く末は決まるわけだ。こうなってしまったらもうままよ。

俺は一気にお茶を飲み干した。あつい。

ゆっくり飲めばよかった。


「わかりました」


ちょっとだけ後悔した俺はそう返答をした。

グラディアスは俺の返事に頷くと一安心という表情になった。


「ありがとう、ではまずギルド長に話を通してくる。あとでまた来るから少しゆっくりしているといい。」


そう言うとかかとを返しグラディアスは扉を出ていった。ほんとに何者なのだろう。

外から来た人間という情報しか正直ない。

彼は何かを知っているのだろう。

とりあえずゆっくりしていいとのことだ、俺はベッドに横になり目を閉じたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ