食の女神
俺は近づいてきた輝いている小さな女の子に話しかけた。
「貴方は女神様ですか?」
「ええそうよ、私は食の女神べザー。貴方に頼みがあってこの世界に転移してもらいました。」
と女神べザーは返してきた。
「頼みとは何でしょうか?」
「この世界の食を発展させて欲しいのです。」
???
意味がわからない。確かに俺はいっそのこと異世界に行きたいとか寝る前に考えていたが、普段ホットケーキぐらいしかつくらない俺がなぜ選ばれたのか。
などと考えている最中に女神べザーが話し始めた。
「はぁ~、疲れた、この話し方めんどくさいからタメでいい?あ、君もタメでも、あとこれからは"晴 "って呼ぶね!」
あれ???さっきまでの丁寧な女神らしい話し方は?
俺は不思議に思ったが、
「はい、いいですけども..... 僕もタメで大丈夫何ですか?」
と答えた。
「あぁ、いや~でも、久しぶりに下界に降りたもんだ、」
「下界?」
「あぁ、私たち女神は普段天界で生活してる。いつもこの世界をそこから見てたんだが、この世界の食文化は全く発達していなくて、本当に困るよ。例えば肉でいうと、ブツ切りにして焼いて塩つけて食べるぐらいしか、彼らはしない。もっとアレンジしろよ、アレンジ。」
「はぁ、」
はじめの女神らしさはどこにいってしまったのだろう、まるで少し口の悪い唯の女子高生にしか見えない。
「何が困るんですか?」
「あぁ、特に困るわけないんだが、強いていうなら、食の女神としての威厳かな?」
「は?」
「うん、威厳、他の神達にバカにされちゃうからね」
「ほう、そうなんですか、それよりなぜ俺を選んだんですか?」
俺は1番謎に思っていた疑問をぶつけてみた。
「あぁ、それは適当に、」
「ん?」
「ん?」
俺とべザーは顔を見合わせた。
「え、?適当?」
「うん、だから言っている、適当にだよ。巨大な地球儀をまわしてダーツの矢が刺さった所が晴の家だった。」
「は?、マジ?」
「うん、マジ。」
俺たちはまた顔を見合せた。
「え?、料理の達人みたいな人を呼べば良かったのに」
「あ~、それがあったか、」
「思いつかなかったの?」
「うん。」
マジか、こいつバカだ。うん、バカだ。
「まあ、晴は面白そうだし、いいじゃん」
「そんな軽い感じで大丈夫なの?」
「うん、まあ、少しでも発展すれば」
うん、異世界に来れたことはつまらない日常から解放されて嬉しいが、うん、
不安しかない......