傾国の乙女を目指しながら、後輩魔人を待つ 1
ハローハロー、私は現在、傾国の乙女を一先ず目指してみようという野望に燃えて、色々調整中だよ!
ちなみに何でこんなテンションが高いかと言えば、ただたんに私が久しぶりに人の街に顔を出して、思いっきり遊ぼうと考えているから楽しみで楽しみで仕方がないのだ。そのため私はどんな遊びをしよう、どんな風に人を絶望に陥らせようか――とそんな思いでいっぱいなのだ。
あ、ちなみに私は自分の黒髪と黒目を違う風に見えるようにしているよ。この長い魔人生活の中でそういうものも作れたしね。私は中々そういう新しいものとか作るの好きなんだよ。だから色々作って楽しんでいるんだよね。気まぐれにあえて人が喜びそうな薬とか流すときもあるよ?
私は人を絶望させるのも好きだし、あの困惑に満ちた顔や絶望に陥った顔を見ることが大好きだよ。けれど、飴と鞭を使い分けることも楽しいよね? 魔人だからこそ、沢山楽しめることがあるんだもの。魔人として魔人らしく生きられれば私はそれでいいのだから。
さて、そんなわけで今の私、憧れてた金髪に見えるようにしてみました。黒髪黒目のまま人の街にいってもいいけど、日本人の私はちょっと金髪とか憧れてたんだよね。目は青だよ。レルナに「似合ってる?」って聞いたら、「もちろんです」と答えてくれたのだ。
とりあえず他の国から流れ着いてきた美少女ってことにしているの。今から訪れる街は、人の行き来が多い、街なんだよね。
ふふふ、ちなみにここの王様はとっても優秀な王様らしいよ? まだ若い王様は、先王が亡くなって若くして王位を継いだ王様をたぶらかすの楽しそうじゃない?
まぁ、私は美少女だけど、王様を落とせるかどうかっていうのは、ちょっとだけ分からないけど、落とせなかったら落とせなかったで色々やりようがあるからね。無理そうならちょっと姿を変えてみて、冒険者として過ごしてもいいしね。
そんなわけで私意気揚々と街に向かった。
私は中々注目を浴びてたよ。日本人の顔立ちってこの世界の人たちの顔立ちとちょっと違うしね。これはなかなか権力者の注目を浴びる事が出来るだろう。
ふふふーん、楽しみだなぁ。
なんて思いながら、私がぶらぶらしていると男たちがよってきた。
割と治安のよい街ではあるけれど、近場に『黒き死の森』っていう私のダンジョンがあることもあって、荒くれものな冒険者もいるしね。
「よお、姉ちゃん、暇しているのか?」
「な、なんですか。貴方達」
ちなみに私はワンピースを着た大人しい少女みたいに見えていると思うよ!
そんな私は男からしてみれば誘いたい対象なのである! ふふふん、こんな連中はどうにでも出来るけど、私の計画のためにもちょっと演技をしたよ。
こういう時はいい感じに男の人が助けてくれたりするのがセオリーだよね。助けに来る人がいればよし、なければどうにでもするってことで私はわざと腕を掴まれてみた。
あー、気持ち悪い。
私って人に触られるのそんなに好きじゃないんだよね。親しい人ならともかくさ。こいつすぐ殺したいなって気になったけど――まぁ、我慢だね。楽しい楽しい遊びのために、私全力を尽くす。そのためには私は少しの我慢ぐらいするよ。我慢をしたあとの快感ってすさまじいからね!!
「な、なにをするんですか」
「いいからいいから」
下卑た笑みを浮かべる男は気持ち悪いものだ。うーん、私のこと襲いたいのかな。どうしようかなーっと考えていたら、制止の声が聞こえてきた。
「何をしているんだ、嫌がっているだろ!!」
そんな声と共に、私は声のしたほうを向く。
不安そうな表情を敢えて作っているのだ。私はなかなか演技が上手く出来たと思う。
なんかすごい美形の男を含む、五名の若い冒険者パーティーがいた。おお、いい感じの人たちが連れたかな?
そんな風に思いながら私は内心では笑う。
もちろん、表情には出さないけど。
ダンジョンマスターである私は全然知らなかったけど、この人たち中々有名人なのかな? 私に絡んでいた人たちは去っていったよ。
「大丈夫かい?」
そう問いかけてくる男の人は中々いい感じの美形だね。銀色の髪の綺麗な人で、何だか所作とかが綺麗で育ちがよさそう。
「は、はい。ありがとうございます」
そう言いながら手を伸ばしてきた男性の手を取った。
男性は私が手を取って安心した笑みを浮かべると笑ってくれた。
うんうん、良い感じではないかな。そんな風に私は思いながら、彼らと話す。彼らのパーティーは男三人、女性二人の良い感じなバランスが良いパーティーだよ。
さーて、一先ず縁は結べたけど、流石にこのままグイグイ仲良くなるのは難しかったので、とりあえずこれからの布石ということにしておこう。——もっと人との交流を深めて目指せ傾国の乙女ということで頑張るよ!!