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どんな遊びをするか考える。

 神様は遊びに来ると伝えしてくれているけれど……、まだ来る気配はない。

 神様にはやくきてほしいな、いつ来るかなと楽しみでうずうずしていたわけだけど――中々くる気配がないので、私はレルナと共に後輩魔人を迎え入れるための準備をすることにした。





「ねぇ、レルナ。次はどんな遊びをしたら楽しいと思う? エルフたちでもけしかけてみる??」

「それもよろしいですね。私もアイ様の遊びに思う存分、便乗させてもらいますわ」



 優しい笑顔を浮かべているレルナだが、自分が迫害されて生きていたことや、すっかり私に心酔してしまっていることからそんな恐ろしいことをにこにこと微笑みながら告げる。



 こんな風に私に忠実なレルナのことを私はとても気に入っている。

 それにしてもどんなふうに遊ぼうか。一緒に魔人になった人たちのことで散々遊びはしたけれど――どんな遊びをしたほうが楽しいだろうか。





「戦争でも起こさせようか? 魔人の出現による起きる争い――。その中に私は飛び込んで、傾国の乙女みたいになってもいいかもね。

 昔はまだまだレベルも低かったから公に大暴れするのは難しかったけれど、今の私はレベルも上がってきたし!!」



 折角魔人が新たに増えるのだ。思いっきり遊ぶのがいいだろう。

 私はかき乱すことしか考えていないけど、どんな風にかき乱すことが出来るだろうか。





 そのためにも安心させるような設定を作るのと、あとは人の世に顔を出して戦争を起こせそうな要素を探しに行こうか。

 穏やかで平和な日々を過ごしていた人が急に異世界で魔人をやれと言われたかと思えば、その場所では戦争が勃発していた。——そうなると、異世界からやってくる魔人はどういう行動を起こすだろうか。

 人というものは、予想外の行動を起こすものだと知っている。そして私は自分の遊び相手がどんな行動をこれから起こそうとしていくだろうかと、それにわくわくする性質だ。


 人を絶望に陥らせるのも楽しいけれど、予想外の行動を起こされるのも楽しい。結局の所、私は遊ぶと決めた相手がどんな行動を起こそうと楽しんでいけるのだ。






「戦争ですか。それも楽しそうですね。愚かな人々がアイ様の手のひらの上で転がり続けるのは見るのが愉快ですもの」

「だよね、だよね!! 絶対に楽しいもん。戦争起こして、それで魔人のせいにしたりとか、ひっかきまわしたりとか――、あれだね、長期戦狙いで率先してダンジョン攻略を進めてもいいかもね。それでどんな遊びが出来るだろうか……っていうのはまだまだ分からないけど、きっと楽しいもの。どうしよう? 傾国の乙女っぽくしようか。それとも凄腕の冒険者みたいにする?」

「どちらでもよいと思いますが。傾国の乙女とかだと、有力者の愛妾などのイメージです。ただの人相手がアイ様に触れるのは……」

「あ、それはもちろん、そんな相手はしないよー。私はそういう経験ないしね!! 幻覚見せてそういう事をしてしまったってすることは出来るでしょ。前にさ、試したじゃん。《幻覚蝶》とか、《九尾》とかの実験!! それで上手く行けそうだなと思ったんだよね。なんかあれば殺して逃げることは出来るしさ。

 上手く、そういう事をやったと錯覚させるアロマでも作ってみようよ」

「それはありかもしれません。もしアイ様が傾国の乙女にならなかったとしてもそれはとても役に立ちそうですし」

「だよねー。神様はもうすぐ魔人をやるといっていたけど、神様のもうすぐってすぐではないかもだし。色々遊んで準備しよーっと!!」



 

 折角だから楽しい楽しい遊びにしないと。

 それでいてあれだよね。魔人の私と、街にいる私が同一人物だと分からないように出来れば一番良いよね。権力者とかをくびったけにして、その後に魔人だとばらしたりしたらどうなるんだろう?



 ……神様はまだまだ私の所に来る気配はないし、後輩魔人もすぐ来るとは限らないし、思いっきり遊ぶ準備を整えよう。




 目指せ傾国の乙女か、凄腕の冒険者か。はたまた別の選択肢を望むか。何でもいい。私が最も楽しめて、最も後輩魔人と遊べるような選択が出来るのなら。

 まぁ、どんな選択を選んだとしても私は思いっきり楽しむだろうけど。



 一先ずは人の世に入り込んで後輩魔人で思いっきり遊ぶことにしよう。——そのための準備を整えよう。敢えて、私のダンジョンを攻略させるための部隊でも編制してダンジョン攻略を目指させて……それで有力な冒険者を殺したりするのもありかもしれない。



 ああ、わくわくする。

 興奮が止まらない。

 自分が楽しむためにも、神様を楽しませるためにも――私は私に出来る限りのことをやって、この世界を絶望に追いやろう。

 そして結果的にこの『黒き死の森』の成長のための糧になれば一番良い。





「ふふふ、楽しみ」




 楽しみで楽しみで仕方がない。

 ああ、どれだけ後輩魔人たちは私を楽しませてくれるだろうか。



 ――どうか、私が楽しめるような死に顔を見せてくれますようにと神様に願った。




 

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